見落とされがちな天井の断熱性能と寒さの関係|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2023.12.14

寒さ・暑さ対策

見落とされがちな天井の断熱性能と寒さの関係

WRITER

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

こんにちは。《断熱リフォームの匠》の矢崎です。

家の寒さ対策には窓が効果的、という話はとても有名な話です。

しかし実は天井の断熱性能と家の寒さにも無視できない関係があるのをご存知でしょうか?

今回は天井の断熱性能と寒さの関係についてご紹介していきます。

窓を改修したのに床が冷たいのはどうして?


最近、調査にお伺いしたお客様からのお話しで増えてきているな、と感じるのが「他社で窓を改修してみたけどやっぱり床が寒いのが気になって相談してみた」というお悩みです。

ここ数年で窓の断熱性能の重要性は広く世の中に知られるようになったと思います。当ホームページでも「家の中でも窓が特に熱が逃げやすい」というお話は様々なコラムでさせていただいています。

ただもう1つ、家の寒さに関係する大切な視点に「空気の流れ」があります。

家を暖めると床が寒くなる理由

熱気球をイメージしてみましょう。

空気は暖めれば暖めるほど軽くなり、上昇しようとする力が強くなります。

実はその力が家でも作用しています。

室内で暖められた空気は天井を抜けて小屋裏から建物の外へと移動しようとする力が強くなります。

特に築年数が20年を超えるような住宅では十分な気密が取れていないケースが多く、間仕切り壁などから室内の熱気は簡単に抜けていきます。

間仕切り壁下の気流止め
また空気の性質上、抜けた分の熱気は必ずどこか別の場所から補充されるわけですが、それが「床下」です。

室内で作られた暖かい空気はどんどん上に抜けていき、その代わりに床下の冷たい空気が補充されている、というわけです。

床が冷たいと感じてしまうのにもちゃんとした理由があるということですね。

切り妻側の壁隙間
こちらは点検でお伺いしたお客様宅の小屋裏の様子です。

天井には袋入りのグラスウールが設置されているものの、断熱材の厚みは不十分ですし気流止めの施工もされていません。

このことから、室内の空気が壁内に逃げ込み、寒さの原因となってしまっています。

ちなみに古い家では小屋裏の棟換気の仕組みも設けられていないことがあり、そういった家では室内からの空気に混じる「湿気」が小屋裏に悪影響を与えてしまうこともあり、より空気の流れには気をつけるのが望ましいです。

天井の断熱で夏も冬も快適な暮らしを


天井の断熱性能や空気の流れ(気流)の問題を解決するもっともお手軽な方法は”小屋裏の非破壊工法による断熱リフォーム”です。

断熱改修で一般的によく行われるのは内装ごと壊して天井断熱を総取り替えする方法です。

しかしこのやり方では時間がかかる上に費用もかなり大掛かりになってしまいます。

小屋裏断熱のイメージ
一方、非破壊工法による断熱改修ですと内装はそのままに気流止めや天井断熱の充填を通して寒さ対策に重要な断熱性能や気密性能に的を絞ったリフォームが行えます。

「この機会に家全体を新しくしたい」という方はフルリフォームを、「寒さ対策にだけ焦点を当てた工事を行いたい」という方は非破壊工法による断熱改修がおすすめです。

さいごに


今回は部屋の寒さの原因を考えた時、天井の断熱性能がとても大切であるというお話をしてきました。

天井の断熱は室内側から行えるDIYでの対策がなかなか難しく、注目もあまりされていないケースが多いです。

しかし天井の断熱性能を高くすることで、冬も夏も快適のいい空間になります。

近年は窓以外にも補助金による断熱改修の支援が国や地方自治体により行われています。ぜひお家の断熱性能を見直してみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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