2階が暑いのには訳がある!原因は小屋裏の〇〇|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2021.07.30 / 更新日 2022.09.06

寒さ・暑さ対策

2階が暑いのには訳がある!原因は小屋裏の〇〇

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

「夏になると2階がとても暑くなります・・・どうすればいいのでしょうか?」

こんにちは、《断熱リフォームの匠》の矢崎です。今回はこのような疑問にお答えします。

私は毎年多くの住宅の断熱調査をしていますが夏の時期は、

  • 「2階が冷房をつけても涼しくならない」
  • 「夜も部屋の空気がムワッとている」
  • 「エアコンを切ると寝苦しくて目覚めてしまう」

 
といった「暑さ」についてのご相談を非常に多くいただきます。

はっきり断言できるのは、これらの問題は原因が明確で正しい対処を行えばちゃんと解決ができるという事です。

このページでは、夏の2階の暑さは何が原因なのか、どういった対策が有効なのか、詳しく解説していきます。

今回もしばしお付き合いください。

2階が暑くなる原因とは?

結論から言いますと、2階が暑くなる最大の原因は、建物の断熱性能不足にあります。

「断熱」とはその字の通り熱の移動を遮断することをいいますが、建物でいう断熱とは外の寒さや蒸し暑さといった不快な外気温を防いで室内の温度を快適に保つことを指します。

例えば外気温が35℃を超える猛暑日であったとしても、家の中が28℃で保たれていれば涼しく過ごすことができます。

その手段として非常に役立つのが断熱というわけです。

しかしながら、現在の日本では断熱がしっかり機能しておらず、2階が暑いと感じてしまう建物がとても多いのが実情です。

「暑さを何とかしたい」というご相談をいただく度に、それを実感させられます。

2階が特に暑い理由

小屋裏の暑さ
建物の温度を不快にする暑さは、「室外から室内へ」入ってきます。

室内よりも室外が高温であれば熱が移動してきますから、部屋の温度は上昇してしまうのです。外の気温が高いと室温も高くなるのは、簡単に想像できると思います。

では、どうして2階が特に暑くなりやすいのでしょうか?

その理由はズバリ、熱が移動する場所にあります。

実は夏の暑さは「屋根」からの熱がかなり大きな要因となっているのです。

夏の日中、屋根はかなりの高温になります。強い日差しに照りつけられた屋根から熱が建物へと侵入し、屋根裏空間をまるでサウナのような状態にします。

夏の屋根裏が何℃くらいになるかご存じでしょうか?

・・・屋根裏はなんと60℃まで温度が上がり、私たち調査スタッフも2,3分入っていただけで汗だくになってしまいます。

天井板1枚を隔てて、これほど暑い空間があるわけですから、2階が暑くなるのも当然のような気がしてきますよね。

エアコンをつけても涼しくならないのはなぜ?

天井のサーモグラフ、天井板が非常に高温であることがわかる

小屋裏が暑いことと、エアコンをつけても部屋が涼しくならないこととは大きく関係しています。なぜなら、小屋裏の影響を受けて高温になった天井板が「輻射熱」という形で暑さを室内に伝え続けているからです。

輻射熱とは高温の物体が放出する、周辺を暖かくする熱のことをいいます。例えば薪ストーブや真夏のアスファルトなどが当てはまりますね。

実はこれらと同じ現象が天井板で発生しているのです。

「2階にムワッとした熱がこもっている」「2階へ上がった瞬間、熱気の中に頭から突っ込んでいくような感じを覚えた」

こんな経験はありませんか?

それこそがまさに、天井板から輻射熱を受けている証拠です。

天井板が部屋を温めるような状態が続いている限り、いくらエアコンで部屋を涼しくしようと冷気を放出しても、なかなか部屋は涼しくなりません。

冷房と暖房を同時に使っているようなものだと言えるでしょう。

こう考えると、エアコンを使ったとしても涼しくならないことにも納得いただけるのではないでしょうか?

夜になっても2階は暑い!?

また、さらに厄介なのは「小屋裏の温度は夜になっても下がらない」という点です。

先ほども述べたとおり、日中の屋根裏空間は実に60℃もの高温になります。

これほどの温度になると、夜になったとしても中々すぐに冷めることはありません。そして、この高温の空気は夜の間もずっと天井板を温め続けています。

つまり、天井板は夜になっても冷めることなく熱を発し続けているのです。

このことが夜の蒸し暑さの原因となってしまっています。

「寝る時にエアコンを切った瞬間部屋が暑くなってしまう」というのは何も外が暑いことだけが理由ではありません。

本当の原因は「建物の中」に隠れているというわけです。

断熱材があっても暑くなるのはなぜ?

断熱材の厚みや施工品質に問題があると暑さを防げない

本来であれば、そういった状況にならないようにするのが断熱材の役割です。断熱材をしっかりと設置してあれば、夏の暑さが室内に侵入することはありません。

冷房もちゃんと効きますし、冷房を切っても涼しさが持続します。

しかし残念ながら、断熱材が「しっかりと」設置されている住宅は極めてまれです。

断熱にこだわりを持って家を建てている工務店さん以外では、断熱のことは軽視されていると言っても過言ではないでしょう。

特に築年数が20年以上の住宅では、私の経験上ほぼ全ての住宅において断熱材がしっかり設置されているとは到底言えないのが現状です。

例えば隙間だらけの状態で施工されていたり、そもそもの厚みが足りていなかったり・・・

断熱材が不十分な状態であることは本当に日常茶飯事です。

しかしそれでは断熱材を活かすことはできず、建物の暑さも解決できないのです。

ちなみに断熱材の不足についてはこちらのコラムで細かく解説していますので、合わせてお読みいただくとより理解ができるようになります。

◯暑さの原因は屋根裏の断熱材不足!?あなたの家は大丈夫?
https://www.dannetsu-takumi.com/contents/column/yaneura_glasswool/

暑さの対策はどうすれば良い?

ここまで、エアコンを使っても室内が暑いのは熱の移動が原因であること、建物の断熱が不十分であるがゆえに熱の移動を防げていないことが原因であると解説してきました。

では、夏でも快適に過ごすにはどうしたら良いのでしょうか?

それは断熱性能の補強です。

つまりは、室外から室内へ熱が入ってこないよう断熱性能を底上げすれば良いわけです。

ここからは、暑さを遮るための代表的な対策をご紹介していきます。

手軽に熱を遮る方法


まずは一番手軽な方法は、カーテンやブラインドで窓からの日差しを遮ることです。

特に遮熱カーテンと呼ばれる厚手のカーテンでしたら、窓からの日差しが室内に入らないようにする効果があり、室内に侵入する熱を抑制することができます。

開け閉めも普通のカーテンと同じように扱えますので、手間もかかりません。

ただ注意すべき点として、状況によりかえって室温を上昇させるリスクがあることも覚えておかなければいけません。

そもそもカーテンやブラインドでは隙間が多く、設置するのは必然的に室内側であることから遮熱効果には限界があります。

しかも、室内に入り込んだ熱を自らが遮る形になるので、先ほどご紹介した天井板のようにカーテンそのものが熱を持ち、それを放出し続けることになります。

これらの事から、カーテンやブラインドが真夏のような暑い日に長時間にわたって強い日差しを受け続けた場合、逆に室温を上昇させる一因になってしまうのです。

お手軽である反面、どうしても効果は限定的と言えるでしょう。

効果的に熱を遮る方法


夏場の室温の上昇を抑えるのであれば、窓の「外側」で日差しを遮ることを強くお勧めします。

具体的には、スダレやヨシズを窓際に立てかける昔ながらの方法です。

日差しをそもそも室内に入れないようにすることで、カーテンやブラインドに比べてより効果的に暑さ対策ができます。

費用対効果は想像以上に優れていると言えるでしょう。

欠点としては劣化が早いことです。使い方や日照条件にもよりますが、1年未満で交換が必要な場合もあります。

また、強風の際には倒れたり飛んでしまったり、破損してしまうこともありますので、固定したり取り外すといった手間が必要になることも想定されます。

しかし、元々の費用が比較的安価であることから最初からワンシーズンで使うつもりくらいに割り切っておけばいいのではないかと思います。

日差しを遮るためには非常に効果が高い方法ですので、まずは家の外側から日射対策を始めてみてください。

より確実に熱を遮る方法(推奨)


とはいえ、上の2つの方法はどちらかと言うと応急処置的な対策です。

天井や窓など「熱が移動できる箇所」そのものに対策を施したわけではないので、結局はあまり変化を感じられなかったという方も多いです。

最終的には部屋は暑くなってしまいますし、根本的な対策になるというわけではありません。

3つ目の対策は、根本的に熱の移動を遮ることで、冷房の効果をぐんと高め、部屋の中を今までとは別次元に快適な空間にすることができる方法です。

その方法とは、《断熱リフォームの匠》が推奨している”非破壊工法”による断熱リフォーム工事を実施することです。

断熱材の性能が低いのであれば、新しい断熱材を入れて断熱性能を底上げすれば解決するのは当然の道理でしょう。

天井や窓を壊す必要がなく、短期間で工事ができるため、費用も大幅に削減しながら格段に過ごしやすい部屋に生まれ変わります。

断熱リフォームのことは以下のコラムでも詳しく解説していますので、ぜひ合わせてお読みください。

◯天井断熱リフォームの効果とは?実際に調べてみた
https://www.dannetsu-takumi.com/contents/column/tenjo-dannetsu/

◯内窓は暑さ対策にも最適!夏を涼しく過ごそう
https://www.dannetsu-takumi.com/contents/column/uchimado_hot/

まとめ

小屋裏の断熱施工
今回は、家の2階が暑いと感じてしまう原因やその対策についてご紹介してきました。

2階の暑さは、一戸建て住宅に住んでいるほとんどの人が経験する悩みだと思います。

この悩みはほぼ全ての場合、家の断熱性能の不足が原因です。

日差しを遮ることで室温の上昇をある程度は抑えられますが、やはり根本的な解決をするためには断熱性能の底上げが一番です。

確かにエアコンを使えば一応は涼しくなりますが、暑くなった室内を冷房で冷やすよりも建物を暑さから守る工夫をする方がはるかに効率的です。

実際、天井断熱のリフォームをしていただいたお客様からは、「2階の暑さがなくなった」というお喜びの声を非常に多くいただいております。

毎日のように「暑い!」と感じながら過ごすよりも、適度な冷房だけで涼しく過ごせるなら、心身のストレス軽減にもつながり、自宅が今までよりもリラックスできる空間にできるのではないでしょうか?

断熱リフォームで非効率な生活から脱却し、涼しくて快適な生活を手に入れましょう。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

具体的な費用の目安や施工の流れはこちらのページで詳しく紹介していますので、是非あわせてご覧ください。