天井断熱リフォームの効果とは?実際に調べてみた。|断熱リフォームの匠

コラム

2018.06.07 / 2021.10.13

断熱リフォーム

天井断熱リフォームの効果とは?実際に調べてみた。

天井の断熱

WRITER

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

株式会社テオリアハウスクリニック入社後、断熱事業に携わる。現在は既存住宅の断熱調査を中心に、セミナー講師や各媒体からの取材など、社内の断熱体制強化にも取り組む。

「天井の断熱リフォームを検討中だけど、どんな効果があるの?涼しくなるの?」

 
こんにちは。断熱リフォームの匠の矢崎です。今回はこのような疑問にお答えします。

このページをご覧になられたということは

「夏になると2階が暑い」
「冷房で足元は冷たいけど、上半身はモワッとする」
「夜になっても室温が下がらない。」
「寝室が寝苦しい。」
「1階はそうでも無いのに2階は暑くて仕方ない」

日頃からこのような不満を感じておられるのではないでしょうか。実は、家の暑さに関する悩みの多くは「天井断熱の性能の低さ」が原因です。

日本では2階の天井が十分に断熱された家はとても少なく、8割の家が断熱性能が不十分と言われています。

とは言っても、どうして天井断熱の何がいけないのか、そもそも天井断熱とは何なのか、何をしたら解決できるのか、よくわからないと思います。

今回は2階の暑さを解決するカギとなる「天井断熱」について詳しくご紹介していきます。

天井断熱ってそもそも何?


天井断熱とは、屋根裏に使われている断熱材です。天井断熱は何のためにあるのでしょうか。

それは建物を暑さから守るためです。

夏の小屋裏の室温は太陽の影響をもろに受け、40度をゆうに超えてしまいます。

暑くなった小屋裏の熱はすぐ下の私たちが暮らしている部屋まで伝わってきます。夏の2階で冷房をつけていても「暑さ」を感じるのは、すぐ真上の小屋裏がものすごく暑い状態になっているからです。

ここで活躍するのが断熱材です。

断熱材は「熱を伝えない物質」です。

天井断熱が小屋裏にしっかりと充填されている家では断熱材が熱を食い止めるので、真下の生活空間まで暑さが伝わるのを防ぐことができます。

ちなみに天井断熱と一概に言っても使われている断熱材は

  • グラスウール
  • セルローズファイバー
  • 現場発泡ウレタン

 
など、さまざまな種類があります。

例えば、グラスウールはガラス繊維から、セルローズファイバーは古紙から、現場発泡ウレタンはポリイソシアネート成分とポリオール成分という特殊な化学物質でできています。

いずれの天井断熱にも共通しているのは断熱材の内側に小さな「空気の層」を作っているということです。空気の層が暑さを伝わりにくくする役割を果たしているのです。

天井断熱が薄いと2階が暑くなる!?

天井断熱が建物を暑さから守っていることをお伝えしてきました。では、もしその天井断熱が本来あるべき場所になかったらどうなるでしょうか。

夏になると2階が暑くてモヤモヤしてしまう原因はまさに「天井断熱の薄さ」にあります。

天井の上には、断熱材が施工されています。この断熱材の性能が低かったり、施工に不備があったり、そもそも断熱材が無かったりすると、屋根裏の熱気が2階に伝わってしまうのです。

もし「冷房を使っているのになかなか効かない」「上半身は暑くて下半身は寒い」と感じるでしたら、一度天井断熱が機能していないことを疑いましょう。

まずは天井断熱の調査から

天井断熱が薄かったり入っていないと2階が暑くなる原因となってしまうことをお伝えしてきました。

では天井断熱に問題がないかどうかを確かめるにはどうすればいいでしょうか。

実際に小屋裏を直接確かめてみるのが一番です。

断熱リフォームの匠では現在の断熱性能の無料調査を実施しています。私をはじめ、専門の調査スタッフが小屋裏に入り、

  • 断熱材の性能の確認
  • 施工の状態
  • 換気の状態
  • 雨漏りなどの異常の有無

 
などについて確認して回ります。

断熱材の調査がどのように行われるのか、一緒に見ていきましょう。

天井点検口から小屋裏に進入

小屋裏への進入は天井点検口から行います。もし押入れがある場合は天井点検口の代わりに天袋から行うこともあります。

今回は押し入れの上から進入することにしました。

天井熱材が入っていない小屋裏・・・

天井点検口から小屋裏を確認してみます。

天井の点検口から覗いてみると…。断熱材が全く存在していないことがわかりました。これでは夏に2階が暑くなるのも当たり前です。

このように実際に小屋裏がどうなっているかを確かめることで、現在の断熱性能がどれくらいの基準であるのか確認することができます。

補足として、既に断熱材が入っていたとしても安心は出来ません。なぜかというと、

  • 施工品質がよくない
  • 断熱材が劣化している
  • 最新の基準に比べて薄すぎる

 
ということもあるからです。

このように、普段から「2階が暑い」と感じる場合、断熱材に問題があるケースが考えられますので一度小屋裏を調査してみるのがおすすめです。

もう1つの暑さの原因:「窓」

ちなみに、暑さの原因としてもう一つ考えられるのは「窓の断熱性能」です。

窓は構造上他の部位より薄く作られていることから、外の暑さが伝わりやすくなっています。窓と天井、両方の断熱性能を上げることが暑さを解決するためにもっとも効果的な方法です。

断熱リフォームの匠では天井断熱の点検と併せて窓の調査も行っていますのでぜひご活用ください。

天井断熱の施工の流れ

小屋裏の調査を行えば現在の天井断熱がどうなっているのか、暑さの原因となっているかどうかを確かめることができます。

では、もし天井断熱が入っていなかったり、不十分だった場合はどうすればいいのでしょうか。

この問題は「天井断熱リフォーム」を行うことで解決できます。天井断熱リフォームは小屋裏に新しい断熱材を充填し、天井断熱の性能を最新の基準まで引き上げるリフォームです。《断熱リフォームの匠》では、断熱リフォームを完全自社施工で行っています。

屋根裏に高性能な断熱材が敷き詰められれば、屋根裏の熱気が部屋まで伝わりにくくなり、冷房をつけた時にお部屋の中でムラを感じにくくなり、涼しい空気が逃げにくくなることで省エネ効果も高まります。

先ほど点検を行った《断熱リフォームの匠》の研修施設の天井面に断熱材を入れて断熱材の力を確かめてみましょう。

ちなみに研修施設は、築25年以上、2階建てのごくごく普通な木造住宅です。

しかし、天井全面に断熱材を充填してしまうと、「施工を行わなかった場合」と「施工を行った場合」との違いが比較できません。

そこで今回は特別に、下の図のように施工エリアを区切ってみました。


小屋裏を”断熱リフォーム施工エリア”と”未施工エリア”の2つに分割します。そして施工後にそれぞれの天井面の表面温度を測って比較してみよう、というわけです。

天井断熱の調査から施工までの流れをよりイメージしてもらうためにも、今回は断熱リフォームの流れを写真と一緒にご紹介します(※写真は別々の場所で撮影したものを1つの流れのイメージとしてまとめています)。

天井断熱の実際のリフォームの流れを一緒に見ていきましょう!

施工前の説明

まずは名刺をお渡ししてご挨拶。お客様のご要望などに基づいて、タブレット端末にて施工の流れと内容をご説明します。

施工前の養生

《断熱リフォームの匠》は「非破壊工法」という特殊な工法で断熱リフォームを実施します。

非破壊工法は建物を壊さずに断熱材だけを新たに充填するリフォーム方法です。既存の建物に手を加える必要がない分、部屋が汚れないようにするための養生はとても重要になってきます。

施工中は点検口が空いたままになるため、断熱材を運ぶ際や天井からのホコリでお部屋を汚さないようにしなければいけません。専用の用具で天井の点検口付近を養生し、全体をポリフィルムで囲います。


また、外から点検口までの通り道にも養生をしっかり行います。

リフォームに使う機材・断熱材の準備

続いて断熱材の準備を行います。《断熱リフォームの匠》ではセルロースファイバー(商品名:ダンパック)という断熱材を採用しています。セルローズファイバーは天井断熱のリフォームにとても適している断熱材です。

機材一式とセルローズファイバーを車から降ろし、準備をしていきます。

セルローズファイバーはホコリのような形状の断熱材です。どのように小屋裏まで持っていくかというと、風の力を利用します。


まず外にセルローズファイバーを吹き出す専用の機械を設置します。そしてその機械にホースをくっつけ、送風によってホースの先からセルローズファイバーを噴出させていくのです。掃除機を逆にしたようなイメージですね。

ホースは外から窓を介して2階の部屋、小屋裏へと繋げます。

気流止めの施工

いざセルローズファイバーを小屋裏に施工・・・と言いたいところですが、実はその前にもう一つやらないといけない事があります。それが「気流止め」です。

小屋裏から壁上を見てみると写真のように隙間が空いていることが多いです。この隙間から夏場は60℃以上にもなる小屋裏の暑い熱気が壁の中に侵入して結果的に室内に入ってきてしまいます。

断熱リフォームを行う業者の中でも意外と忘れられがちな工程なのですが、これをやらないと断熱材の効果が大きく下がってしまいます。


気流が発生している1つ1つの隙間に断熱材を充填していきます。

ちなみにですが、小屋裏は床のように普通に歩くことはできません。私たちは「足場板」で梁と梁を繋げながら移動を行っています。

断熱材の吹き込み

気流止めが完了すれば、いよいよ断熱材の吹き込みです。

点検口上はセルロースファイバーを吹き込んでしまうと、その後出入りが出来なくなってしまうので“せき板”を取り付け、吹き込んだ後でも出入りができるように施工します。

セルローズファイバーの吹き込みは、写真のような機材からホースを通じて小屋裏まで送風しながら断熱材を運びます。

施工後

施工後は、このように小屋裏一面に断熱材が充填された状態となります。

また、どのくらいの量の断熱材を使うかは直感で決めているわけではありません。このくらいの断熱材を使っていればこのくらいの性能を持っている、という「断熱性能の基準」が国によって決められており、《断熱リフォームの匠》でもその基準に則って必要な厚みを決めています。

例えば関東地方であれば、160mmの厚みでセルロースファイバーを吹き込めば現在の新築レべルを満たすことができます。

とはいえ、実際は経年で断熱材が沈下してしまうことも考えられますので、《断熱リフォームの匠》では基準よりも2割増しの190mm~200mmの厚みで施工を行っています。

点検口周りの施工

最後に加工したボード状グラスウールを点検口の上に蓋をするように施工します。

断熱材は1箇所でも断熱性能が低い部分があるとそこからどんどん熱が漏れてきてしまいます。

そういった事がないように、しっかりと細かい部分まで施工を行います。

片付け・完了報告
施工が終わったら後片付けをします。点検口周りを保護していたビニールや、機材周りの断熱材、端材などをホコリが舞ってしまわないように慎重に片付けます。

施工が終わりましたら、施工写真をタブレットで見せながら施工内容を確認頂き工事完了になります。ある程度の広さであれば1日で施工完了できます。後日、別途施工写真などをまとめた施工完了報告書を提出致します。

天井断熱の効果を確かめてみる

無事に完了した天井断熱のリフォームですが、効果はいかほどのものなのでしょうか。

実際に確かめてみましょう。天井の温度計測には「サーモグラフィー」を使います。サーモグラフィーはレンズを通して映る色を見て表面温度を計測することができる優れモノです。

計測は梅雨入り前の最高気温30℃の5月下旬、室温が約20℃のタイミングで行いました。

どのような結果になったのでしょうか。まずは施工をしていないエリアから見ていきましょう。

室内から見上げた景色です。早速サーモグラフィーを使って表面温度を確かめてみます。

真っ赤になっていますね。表面温度は26.3℃と表示されています。

室温が約20℃だったことから、天井の温度が室内よりもかなり違っていることがわかります。これはまさに小屋裏の熱が伝わってきているからと言えるでしょう。

また、実はこのことが「クーラーで室温を下げているのになぜか暑く感じる」という体感温度の違いを生み出す原因にもなっています。(学術的な専門用語では「平均放射温度:MRT」と呼ばれています)

今回計測したのは5月で本格的に暑い季節がやってくる前でしたが、夏になると天井はさらに高温化してしまうことが考えられます。

続いて天井断熱を施行したエリアです。

こちらもサーモグラフィーを使って表面温度を計測してみると・・・

一目瞭然の結果となりました!表面温度は20.7℃と表示されています。

天井断熱をリフォームをした後では約6℃ほど天井の表面温度が下がっていることになりますね。6℃は結構大きな差なのではないでしょうか。室温との差がほとんどないことから、小屋裏の熱を天井断熱が食い止めてくれていることが分かります。

まとめ


今回は天井断熱の役割やそのリフォーム方法についてご紹介してきました。

現在日本では多くの家で断熱性能が不足していると言われています。

しかしそれは裏を返せば、多くの家は今よりも居心地のいい環境を手にすることができるポテンシャルを秘めている事を意味すると思います。

「麦わら帽子は冬に買え」ということわざがありますが、まさに断熱リフォームそのものだなと思います。実際夏になると、小屋裏はとてもではないですが施工を行えるような状態ではなくなってしまうのです・・・

もし、

「夏になると2階が暑い」
「足元は冷たいけど、上半身はモワッとする」

ということであれば、夏がやってくる前に本格的な暑さ対策を検討してみてはいかがでしょうか。

もし断熱リフォームに興味を持っていただけたようでしたら、こちらのページで詳しくご紹介していますのでぜひご覧ください!