ユニットバスが寒い原因と床下断熱の具体的な対策方法を徹底解説|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2024.12.20 / 更新日 2025.01.15

寒さ・暑さ対策断熱リフォーム

ユニットバスが寒い原因と床下断熱の具体的な対策方法を徹底解説

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廣澤 健一郎

環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。

浴室やユニットバスが寒い
ユニットバスの寒さを改善したい

このようなお悩みは断熱リフォームの匠にも問い合わせの多いお悩みです。浴室が寒いことで入浴が億劫になったり、よく言われるのがヒートショックのリスクですよね。身体を暖めるはずのお風呂で冷えに悩まされるのは、考えてみれば不思議な話しです。

住宅の断熱の観点から浴室を見ると、実は非常に冷えやすい構造をしていることがわかってきます。なぜ浴室が寒いのか、対策としてどのようなものがあるのか解説していきます。

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なぜユニットバスは寒いのか

比較的築浅の物件であっても、ユニットバスはかなり冷えるという印象がありますよね。これはユニットバスの構造そのものが関係しています。

在来浴室の断面図

(写真)タイル張りの浴室は壁や床に隙間なく作られる。
ユニットバスの断面図

(写真)ユニットバスはカプセル状になっており、床下の冷気が伝わりやすい。

 
ユニットバスは昔ながらのタイル浴室とは構造が異なり、浴室の納まる箇所の内側に部屋を作るようにはめ込む造りになっています。この構造はタイル浴室の悩みどころである水漏れや躯体の腐れ、シロアリの発生といった諸問題を一気に解決できるため、現在の住宅の大半で用いられています。

一方で、近年盛んに取り上げられる、断熱化の面ではまだまだ課題が残っています。というのも、ユニットバスは内側に部屋を作る造りということは、全周が空気の通り道になっているということでもあるのです。

ユニットバスの床下は隙間だらけ

下の写真は実際に床下に潜り込み、ユニットバスの裏側を撮った写真です。右側の平たい部分が体洗い場の部分で、左側が浴槽ですね。

ユニットバスの床下

(写真)右のグレーの部分が床で左半分が浴槽。
ユニットバスの床下

(写真)こちらも右側が床で左側が浴槽。特に断熱されている様子はない。

 
見てみると断熱材が無いことが分かります。比較的新しい物件でもこういうことは珍しくありません。床下空間は換気のために換気口から外の空気が流れ込みます。真冬の寒い時期には、床下もほぼ同じ温度まで冷え込みますので、床面に断熱材が施されていないと、ダイレクトに床面が冷やされてしまいます。

ユニットバスの床面は厚みはとても薄いですので、そのすぐ下に5度や0度の空気が流れていると考えると、それだけで冷たいのも当然と思えてきませんか?

壁側に隙間が続く構造のユニットバス

(写真)壁と壁の間に空間があり、そこから冷気が伝って入り込んでしまう。
ユニットバスの下から冷気が流れ込む

(写真)このユニットバスは浴槽に断熱材が貼られているが、壁を通って冷気が入り込んでいる。

 
さらにユニットバスは床下側から壁面、天井面までずっと空気が繋がっていることは非常に多いため、浴室がぐるりと冷たい空間に囲われてしまうことになります。

壁面が冷たいとそこからの冷輻射が寒さをより一層助長します。冷輻射とは、冷たい物から発せられる周囲に冷たさを伝える現象で、保冷剤や冷凍食品は触れなくても冷たさが伝わってくるのはこのためです。全方位からユニットバスの室内が冷やされていると考えると、何か対策を考えずにはいられませんよね。

寒いユニットバスを改善する方法

では、どのような対策をすれば、浴室の寒さを解消できるのでしょうか?いくつか対策例を挙げてみましょう。

暖房などで暖める

浴室の寒さを解消する最も基本的な方法は、暖房を活用して空間を暖めることです。冷え切った浴室でも、適切な暖房器具を使えばシンプルに暖かさを確保できます。

浴室暖房

(写真)浴室乾燥機の暖房機能を使って暖める。
浴室暖房機の後付け

(写真)浴室暖房専用機を後付けする方法もある。

 
たとえば、浴室専用の暖房機を設置することで常に快適な温度を保つことが可能です。また、入浴前に小型のミニヒーターやファンヒーターを使って事前に浴室内を暖めると、寒さによる不快感を軽減できるでしょう。

洗面所の暖房

さらに、浴室だけでなく脱衣所も一緒に暖めることで、入浴中や後に生じる温度差による体への負担を減らし、ヒートショックの予防にもなります。特に冬場は、脱衣所が冷えていると温度差が大きくなりがちですので、浴室と脱衣所を一体的に暖めるのが効果的な対策といえるでしょう。

浴室すのこ・浴室マットを敷く

これは直接的な断熱対策というよりも、足元の冷え感を解消することに注目した方法です。昔ながらの方法ではありますが、すのこなどを敷いて冷たい床を踏まないようにするだけでも、体感的にはかなりの違いが生まれます。

接触冷感という言葉がありますが、やはり冷たい床に乗るのは相当に不快感があるものです。最近ではプラスチック樹脂製のすのこも販売されているので、破損や腐朽もしにくいのでは無いでしょうか。反面、すのこがない部分は当然踏めば冷たいですし、段差ができて躓きやすくなる点には注意が必要ですね。

浴室マットのイメージ

同じ理屈で、柔らかい材質のお風呂マットもホームセンター等で売られていますので、すのこの代わりとしてはむしろこちらの方が冷たさは感じにくいかもしれません。躓きやすさもすのこよりは軽減できますし、柔らかいので角で足を痛くすることも少ないと思います。

ただし、どちら場合も敷きっぱなしにするとカビの発生が問題ですので、入浴が終わったら立て掛けて乾燥させるようにするのが良いかと思います。

床下に断熱材を追加、気流止め

より効果的な対策はユニットバスに断熱材を追加することです。ユニットバスは全周が空いていることが多いということは、断熱材を追加することができることを意味します。全く断熱材が無いところから、断熱材がある状態になれば、冷たさは解消しやすいでしょう。

壁側に隙間が続く構造のユニットバス

(写真)このような冷気の通り道を塞ぐ対策は効果的だが、施工ができないことが多いのが現状。
ユニットバスの下から冷気が流れ込む

(写真)浴室下はフレームや配管が密集しており作業者が入れない場合が多い。

 
気をつけなければならない点は、空間は空いていたとしても、作業自体はできないことも実は多いということです。ユニットバスも水回りですので、上下水管が周辺には通っています。

床下からユニットバスを見た場合、配管に阻まれて断熱材を貼りたい場所に近づけないことは非常に多いです。また、そのような限られた空間では、効果的に断熱材を張ることも一苦労です。

実際、断熱リフォームの匠でも、浴室の断熱材追加をご要望いただくことは非常に多いのですが、現状としてはほとんどが作業困難となっており、非常に残念ながら設置ができないことが大半です。

一方で、ユニットバスには天井点検口がついていることも多く、天井側への断熱材の追加は比較的容易にできることが多いです。床下面ができないのなら、せめて天井だけでも断熱材を設置できれば、その分だけ寒さを軽減することが可能です。

浴室用の床シートを貼る

これは先述したすのこの発展系の考え方で、ユニットバスの洗い場部分に軟性のプラスチックシートを1枚貼り付ける方法です。

ユニットバスの冷たい床を直接踏まないようにするのはすのこと同じことですが、床面に直接貼り付けるため洗い場全面を覆うことが可能です。柔らかいため踏んだ時の感触はフロアマットに近いかもしれません。洗い場全面が冷たさから解放されるので、接触冷感の対策としてはかなり優れていると言えるでしょう。

床シートの貼り付け場所

一方で、シートの縁の部分は防水のためにシーリング処理が必要になりますので、DIYで行うにはややハードルが高めの対策だと思います。DIYが得意な方であれば、難なくこなせる対策かもしれませんが、そうでない場合はやはり業者にお願いするのがベストだと思います。

断熱性能の高いユニットバスに交換

根本的かつ確実な対策としては、やはりユニットバスを高性能・高断熱なものに交換するリフォーム工事を実施することです。

「断熱浴槽」はお風呂のお湯が冷めにくい商品で、「断熱ユニットバス」が洗い場まで含めた全体的な断熱が施された製品です。

解体された浴室

(写真)浴室を解体して、断熱性能に優れたユニットバスへ交換する。
新しいユニットバス

(写真)交換後の新しいユニットバス。見た目も大きく変わるため、リフォームする価値は大きい。

 
お湯がすぐに冷めてしまうのが気になるのか、足元の冷たさを解消したいのかで選ぶものは変わってきますので、ご自宅の浴室のどういうところに悩んでいるかで考えてみてください。

原因は床以外にあることも

ここまでご紹介した対策は、断熱ユニットバスへの交換を除いて浴室の寒さが解消しない場合もありますので、導入の際には気をつけなければなりません。例えば、床面にシート貼ったのに浴室が寒いとなると、他の原因が潜んでいると考えるべきです。

よくあるのがお風呂場の窓からの冷気で、窓の断熱性能が低いために、浴室内まで冷たさが伝わってきてしまっている状態です。

窓からの冷気

(写真)窓は断熱の弱点のため、冷気が入ってきやすい。
建物から逃げていく熱の割合

(写真)実は窓からの熱の損失が最も大きい。

 
試しに入浴中に窓を見て欲しいのですが、結露が発生しているのではないでしょうか?結露は空気中の水蒸気が冷却されて水に戻る現象ですので、窓で結露が発生するということは、その部分から暖かさが逃げてしまっていることを意味しています。

ユニットバスの内壁でも結露するとは思いますが、おそらく一番冷える窓が最も結露が多く発生していると思いますので、窓の断熱対策を考えることは非常に重要です。具体的には、内窓を設置するなどの方法で窓の断熱性能を高めましょう。

内窓の構造

(写真)内窓は既存窓の内側に新たな窓を取り付けて二重窓にするリフォーム。断熱性がぐんと上がる。
浴室の内窓

(写真)浴室の施工例。

 
熱が逃げにくくなれば、その分浴室内の暖かさが保たれるようになりますので、それだけでも感じ方はだいぶ違ってきます。実は窓は一番取り掛かりやすい断熱リフォームでもありますので、浴室の断熱化では真っ先に検討しても良いでしょう。

まずは専門家に相談して何ができるかを確認

浴室やユニットバスの床の寒さ対策には、窓のリフォームや断熱材の追加、ユニットバスそのものの交換など、さまざまな方法があります。しかし、これらの対策が自宅の浴室で実施可能かどうかは、実際に浴室の構造を確認しなければ判断できない場合がほとんどです。

例えば、既存の浴室のサイズや配管の位置、建物全体の構造などによっては、希望する対策が難しい場合もあります。また、対策の選択肢や効果は浴室の状態や使用状況によっても異なるため、プロの視点でアドバイスを受けることが重要です。

そのため、まずは専門家に相談し、自宅の浴室に適した断熱対策を確認することから始めましょう。専門家による現地調査や診断を受けることで、最適なリフォーム方法やコストについても具体的な提案が得られるはずです。相談を通じて安心して計画を進めることができます。

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まとめ

今回は浴室の寒さの原因や、その対策について解説しました。ユニットバスは構造上全周囲に空気が流れる構造になっており、特段の対策がされていない限りは床下の冷たい空気に直接さらされています。

洗い場などが冷たいと不快感の原因にもなりますので、すのこ等の比較的お手軽な対策でもずいぶんと感じ方は変わってきます。

とはいえ、お手軽な対策はあくまでも接触冷感を和らげるための応急的な対策ですので、ヒートショックなどのリスクを軽減するには断熱対策が欠かせません。

窓などの対策を採りやすい箇所から断熱化を検討し、根本的な解消を望む場合には断熱ユニットバスへの交換も含めたしっかりとした対策を検討した方が良いでしょう。

特にヒートショックによる身体へのダメージやその後の療養のことを考えると、身体面・精神面・金銭面などあらゆる面で断熱化を検討した方がメリットは大きくなると思いますので、これを機会にぜひ浴室を快適な場に変えていくことを本格的に考えてみてください。

廣澤
廣澤
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1974年の創業から50年を超える歴史を持ち、住宅メーカーなど1200社以上の住宅のプロとも取引実績を持つ当社。日本でも数少ない断熱リフォーム専門店として、断熱工事に関するあらゆるお困りごとを解消すべく、技術とサービスを磨いて参りました。断熱性能は快適な暮らしを守る影の立役者。私どもはその裏方の仕事に誇りを持ち、期待を超える品質でお応えします。

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