暖房の設定温度は何度?上げても寒いのには原因がある!|断熱リフォームの匠
コラム
投稿日 2018.09.08 / 更新日 2023.09.08
建物・暮らしの知識
暖房の設定温度は何度?上げても寒いのには原因がある!
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矢崎 拓也
環境省認定うちエコ診断士
大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。
こんにちは、《断熱リフォームの匠》の矢崎です。
今回は理想的な暖房の設定温度についてお話しします。
環境省は室温について
としています。
しかし実際には暖房を20℃で使っても「弱すぎる!」と感じてしまうことは珍しくないと思います。
暖房が推奨温度の20℃で寒いのはなぜ?
暖房の設定温度を理想的な室温であるはずの20℃では寒いと感じてしまう大きな原因は断熱性能の不十分さにあります。
このことはサーモグラフで建物を見てみるとよく分かります。
こちらは断熱がしっかりした住宅です。
暖房を使い始めるとだんだん室内全体の温度が均一(約20度)に落ち着いていきます。
一方こちらは断熱が不十分な住宅です。
室温にムラができ、一定の温度になっていきません。
エアコンによって作られた暖かい空気は、室内の上側(天井側)にたまります。逆に、冷たい空気は部屋の下側にたまっていきます。
断熱性能が低いと暖房の設定温度を20℃にしても部屋のあちこちに20℃ではない部分が残ったままとなります。
そのため、より高い温度に設定しないとなかなか暖かさを感じられないというわけです。
暖房の設定温度を上げすぎると危険!?
十分な暖かさを感じるためにはどうしても暖房の設定温度を20℃よりも高くする必要があるわけですが、それは同時にたくさんのよくないことの原因にもなります。
- 窓や床に結露がつく
- 窓のそばが冷える
- 頭がボーっとする
- 朝起きたらノドや目が痛い
- 電気代がとても高い
もしこれらに心当たりがあるようでしたら、暖房の設定温度が高すぎる証拠です。
暖房の設定温度を上げすぎない方法
「暖房の設定温度を上げないと寒いけど、暖房の設定温度を上げるとそれはそれでストレスを感じる空間になってしまう・・・」
この問題を解決するには、いくつかのアプローチが考えられます。
- ①風向きと風量を調節する
-
エアコンの吹出口は下向き、風量は強めに設定しておくのがおすすめです。暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まりやすい性質を持っていますが、エアコンは部屋上部にあることから暖かい空気と冷たい空気がうまく混ざらない傾向にあります。
下に向かって暖かい空気を送ってあげることで効率的に部屋全体を温めることができます。
もしエアコンの風が当たるのが苦手に感じてしまう場合は市販の風除けカバーを取り付けてみてもいいと思います。
- ②室内の空気を循環させる
-
同じ部屋の中での温度差をなくすには、「かき混ぜる」のがとても効果的です。サーキュレーターで室内の空気を循環させましょう。もしサーキュレーターがない場合は扇風機を使うといいと思います。
暖かい空気は天井側に溜まっていますので、扇風機を上向きに運転することで暖かい空気を足元まで運ぶ事ができます。
- ③暖房空間を小さくする
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小さな部屋ほどより早く、より少ないエネルギーで部屋を暖かくすることができますし、寒さも感じにくいです。
無駄にドアを開けずに、しっかり暖房エリアと非暖房エリアで区切る事が大切です。
外の冷気が伝わりやすい玄関周りに仕切りをつけたり、室内を細かく区切ることで暖房の効果を感じやすくなります。
- ④窓に厚手のカーテンやプチプチをつける
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窓からは室内にたくさんの冷気が入り込んできます。カーテンを厚手のものに交換したり、プチプチを付けることで伝わってくる冷気を和らげる事ができます。
注意点として、プチプチはガラス面だけに貼ってもサッシから外の冷気が伝わってきますし、カーテンも下部に隙間があるとうまく冷気を防げません。
また、カーテンの裏側は結露でカビの温床となるリスクもあるので気をつけましょう。
しっかりと効果を得たいという方にはこちらの施工事例で紹介しているような断熱ブラインドもおすすめです。
- ⑤内窓を取り付ける
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他の方法よりも費用はかかりますが、内窓を取り付ければ室内はグンと暖かくなります。
結露対策にもなりますし、オマケとして防音効果や防犯効果も期待できます。
近年では国の意向で、内窓改修やそれに関連する断熱リフォームなどで多額の補助金が給付される傾向にあります。お得に工事を行いたい方にとってはいい傾向ではないかなと思います。
さいごに
今回は暖房の設定温度のご紹介をさせていただきました。
もし推奨温度である20℃で物足りなさを感じるようでしたら、それは「寒い家」である証拠です。
先ほどご紹介させていただいたような工夫をしてみたり、専門家に自宅の窓や断熱材について調べてもらうといいかも知れません。
最後までお読みいただきありがとうございました。