暖房の設定温度は何度?上げても寒いのには原因がある!|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2018.09.08 / 更新日 2024.12.04

建物・暮らしの知識

暖房の設定温度は何度?上げても寒いのには原因がある!

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

暖房の設定温度は何度?
エアコンの推奨温度ってどれくらい?

この記事では理想的なエアコン暖房の設定温度についてお話しします。環境省は室温について「20度になるようにすれば健康面でも電気料金の面でも丁度いい空間になる」としています。しかし実際には暖房を20℃で使っても「弱すぎる!」と感じてしまうことは珍しくないと思います。

暖房が推奨温度の20℃で寒いのはなぜ?

暖房の推奨設定温度 20℃

 
繰り返しになりますが、環境省が推奨する暖房の設定温度は20℃です。しかし、理想的な室温であるはずの20℃では寒いと感じてしまうのはなぜなのでしょうか?実はそれにはいくつかの原因があります。

  •  20℃では暖かく感じにくい
  •  実際の室温が実は20℃よりも低い
  •  住宅の断熱性能が不十分

1.設定温度20℃では暖かく感じにくい

20℃は「省エネに適した室温」とされていますが、寒さを感じやすい人にとっては十分に暖かいとは言えないことがあります。特に、冷え性の方や長時間じっと座っている方は体が冷えやすいため、22℃程度まで室温を上げないと快適に感じにくい場合があります。また、足元が冷えると体感温度がさらに低くなり、寒さを感じやすくなります。

なお、体感温度と室温は必ずしも一致するわけではありません。たとえば、室温が20℃であっても、窓や壁の表面温度が15℃であれば、体感温度は約17℃に感じられます。これは家の断熱性能に大きく影響されるため、設定温度を20℃にしても寒さを感じる原因の一つとなっています。

【ポイント】20℃で無理はしないこと

寒さを感じる場合は、暖かい上着やルームシューズを使って体を暖めてみましょう。また、設定温度を多少上げて自分が快適に感じる室温を作ることも大切です。

2. 実際の室温が設定温度より低い

エアコンの設定温度を20℃にしても、部屋全体が均一にその温度になるとは限りません。例えば、窓やドア付近から冷気が入り込んでいたり、天井付近は温まっても足元が冷えたままだったりする場合があります。また、室温センサーがエアコン付近のみに設置されているため、部屋の隅などの温度が低くなることも多いのです。

【ポイント】温度計を設置しよう

設定温度を20℃にしても本当に室温が20℃とは限りません。普段座ることの多い椅子やソファの周辺に温度計を設置して、実際の室温を見えるようにすると良いでしょう。

3. 住宅の断熱性能が不十分

住宅の断熱性能が低い場合、部屋がすぐに冷えてしまい暖房の効果を感じにくくなります。断熱が不十分な家では外の冷気が壁や窓から侵入しやすく、設定温度を保つために暖房を強くしても足元や壁際が冷えたままです。そのため、室温が20℃でも肌寒く感じてしまいます。

このことはサーモグラフィで建物を見てみるとよく分かります。

(写真)断熱がしっかりした住宅。暖房を使い始めると室内全体の温度が均一に落ち着いていく。

(写真)断熱が不十分な住宅。室温にムラができ、一定の温度になっていかない。

 
エアコンによって作られた暖かい空気は、室内の天井側にたまります。逆に、冷たい空気は部屋の下側にたまっていきます。断熱性能が低いと暖房の設定温度を20℃にしても部屋のあちこちに20℃ではない部分が残ったままとなります。そのため、より高い温度に設定しないとなかなか暖かさを感じられないというわけです。

【ポイント】断熱対策をしよう

温度ムラを改善するには、窓や床の断熱性能を強化して部屋が暖まりやすくすることが大切です。

暖房の設定温度の上げすぎは良くない

十分な暖かさを感じるためにはどうしても暖房の設定温度を20℃よりも高くする必要があるわけですが、それは同時にたくさんのよくないことの原因にもなります。

  •  窓のそばが冷える
  •  頭がボーっとする
  •  朝起きたらノドや目が痛い
  •  電気代がとても高い

もしこれらに心当たりがあるようでしたら、暖房の設定温度が高すぎる証拠です。

暖房の設定温度を上げすぎない方法

「暖房の設定温度を上げないと寒いけど、暖房の設定温度を上げるとそれはそれでストレスを感じる空間になってしまう」この問題を解決するには、いくつかのアプローチが考えられます。

①風向きと風量を調節する

エアコンの吹出口は下向き風量は強めに設定しておくのがおすすめです。

暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まりやすい性質を持っていますが、エアコンは部屋上部にあることから暖かい空気と冷たい空気がうまく混ざらない傾向にあります。下に向かって暖かい空気を送ってあげることで効率的に部屋全体を温めることができます。

もしエアコンの風が当たるのが苦手に感じてしまう場合は市販の風除けカバーを取り付けてみてもいいですね。

②室内の空気を循環させる

同じ部屋の中での温度差をなくすには、「かき混ぜる」のがとても効果的です。サーキュレーターで室内の空気を循環させましょう。もしサーキュレーターがない場合は扇風機を使うもの手です。

暖かい空気は天井側に溜まっていますので、扇風機を上向きに運転することで暖かい空気を足元まで運ぶ事ができます。

③室内の湿度を上げる

同じ温度でも湿度の高さで体感温度が大きく異なります。湿度が低いと寒く、湿度が高いと暖かく感じやすいため、エアコン暖房で乾燥しがちな部屋を加湿することで暖かさを感じやすくすることができます

暖房を使っているときに家庭用の加湿器も稼働させ、温度と湿度をコントロールしましょう。室温20℃で湿度50%前後まで上げることができれば体感温度も大きく変わります。

④暖房空間を小さくする

小さな部屋ほどより早く、より少ないエネルギーで部屋を暖かくすることができますし、寒さも感じにくいです。無駄にドアを開けずに、しっかり暖房エリアと非暖房エリアで区切る事が大切です。

外の冷気が伝わりやすい玄関周りに仕切りをつけたり、室内を細かく区切ることで暖房の効果を感じやすくなります。

⑤窓に厚手のカーテンやプチプチをつける

窓からは室内にたくさんの冷気が入り込んできます。カーテンを厚手のものに交換したり、プチプチを付けることで伝わってくる冷気を和らげる事ができます。

注意点として、プチプチはガラス面だけに貼ってもサッシから外の冷気が伝わってきますし、カーテンも下部に隙間があるとうまく冷気を防げません。また、カーテンの裏側は結露でカビの温床となるリスクもあるので気をつけましょう。

しっかりと効果を得たいという方にはこちらの施工事例で紹介しているような断熱ブラインドもおすすめです。

⑥内窓を取り付ける

他の方法よりも費用はかかりますが、内窓を取り付ければ室内はグンと暖かくなります。結露対策にもなりますし、オマケとして防音効果や防犯効果も期待できます。

近年では国の意向で、内窓改修やそれに関連する断熱リフォームなどで多額の補助金が給付される傾向にあります。お得に工事を行いたい方にとってはいい傾向ではないかなと思います。

さいごに

今回は暖房の推奨設定温度についてご紹介しました。20℃の設定温度で寒さを感じる場合は、お住まいの断熱性能が十分でない可能性があります。

寒さを軽減するためには、先ほどご紹介した対策を取り入れるほか、必要に応じて専門家に相談し、窓や断熱材の状態を確認してもらうこともおすすめです。適切な対策を施すことで、室内環境をより快適にし、暖房効率も向上させることができます。

矢崎
矢崎
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1974年の創業から50年を超える歴史を持ち、住宅メーカーなど1200社以上の住宅のプロとも取引実績を持つ当社。日本でも数少ない断熱リフォーム専門店として、断熱工事に関するあらゆるお困りごとを解消すべく、技術とサービスを磨いて参りました。断熱性能は快適な暮らしを守る影の立役者。私どもはその裏方の仕事に誇りを持ち、期待を超える品質でお応えします。

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