断熱リフォーム専門店が「費用相場」と「業者選びのコツ」を解説!|断熱リフォームの匠
コラム
投稿日 2020.07.04 / 更新日 2024.02.08
断熱リフォーム
断熱リフォーム専門店が「費用相場」と「業者選びのコツ」を解説!
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矢崎 拓也
環境省認定うちエコ診断士
大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。
こんにちは。《断熱リフォームの匠》の矢崎です。
断熱リフォームを検討の際、やはり大きな不安を感じるのが「価格」ではないでしょうか。
お客様からも「リフォーム業者のサイトをみても価格が掲載されていなかった」「不要なリフォームまで勧められたらどうしようと不安だった・・・」という話をよく伺います。
断熱リフォーム専門店の私が、施工内容による費用の目安をわかりやすく解説します!
目次
断熱リフォームの種類と費用(部位、方法別)
断熱リフォームと一口に言っても、建物の「どこ」で「どんな施工をするか」は、悩みによって変わります。
一般的には2階の暑さ対策なら天井断熱、寒さ対策なら床や窓ですが、予算に余裕があれば壁や床をすべて解体して大規模に改修するという方法も。
施工する場所や方法によっての費用を解説します。
窓の断熱リフォーム費用
窓の断熱リフォームで最も一般的なのは「内窓の取り付け」です。
内窓はネットショップで注文してDIYで取り付けることも可能です。
ただし内窓は商品種類が非常に多く、何を選ぶかで得られる性能が異なりますし、国からもらえる補助金も変わってきます。
不慣れな人ですと、注文した窓のサイズが誤っていたり、窓の形状が複雑で取り付けに苦労するといった面倒な状況も起こってしまうかもしれません。
不安な方は業者にお願いすることをお勧めします。
価格は断熱性能のレベルによって変わりますがたとえばYKKの「プラマードU」ですと、商品代がメーカー希望価格の約半額程度が相場となっています。
設置費用は取り付けの枚数によっても変動しますが、出張費は1枚でも5枚でも同じです。
《断熱リフォームの匠》で平均的な広さのお家を窓リフォームした場合の費用の目安は次の通りです。
- 1階のリビングと寝室 40万円~50万円程度
- 1階すべての窓 70万円~80万円程度
- 1階と2階すべての窓 100万円~180万円程度
ちなみに後ほど詳しく解説しますが、リフォーム業者を選ぶ際にみておいた方がいいのは「補助金についての知識があるか」です。
補助金申請の知識がないリフォーム業者は意外と多く、結果的には数十万円も損をしていたなんてことには注意してください。
床の断熱リフォーム費用
窓の断熱リフォームをしても、床の断熱材が正しくなければ足元の寒さは解決されません。ここでは、床を「はがして行う方法」と「床下に潜って行う方法」2つで説明します。
床をはがす場合と床下に潜って行う場合の費用の差は、
- 解体費用
- 新しい床の張り替え費用
- 廃材の処分費用
- 工期による人件費
- リフォーム中の宿泊費
などに違いがあります。
平均的な住宅の1階の床断熱リフォームをした場合ですと、床下から潜って行う方法で60万円〜80万円程度です。
壁の断熱リフォーム費用
壁断熱のリフォームはあまり一般的とはいえません。窓、床、天井のようには、いまの建物に手を掛けることなく施工できないからです。
室内壁に新たに断熱ボードを張る方法もありますが、エアコンやコンセントの問題がありますし、ドア枠の高さが不自然になることや室内が狭くなることを考えると、費用対効果を踏まえても現実的とはいえません。
もし壁の断熱リフォームを希望であれば、建物全体を断熱リフォームする大規模改修の検討がオススメです。
大規模改修での断熱リフォーム費用
土台や柱はそのままに、壁や床のすべてを新しくする大規模リフォームなら、わざわざ床下に潜らずに断熱ができます。
すべての壁も断熱が行えますし、理屈では100点満点の断熱リフォームが可能でしょう。
ただし費用は家を建て替えるよりは安いくらいのイメージでしょうか。
床・天井・窓の断熱リフォームを行ったとしても一般的には250万円程度ですから、浴室やキッチンなどすべてのリフォームを検討される方にオススメです。
注意点として、知識のない大工さんが断熱リフォームをすれば後悔することになりかねません。
せっかく大規模改修するのであれば、断熱の施工についての知識があるリフォーム業者に依頼されることが重要です。
(番外編)断熱用玄関ドアの費用と床暖房について
窓と同様に、玄関ドアも断熱のことは考慮されていません。最近は断熱が一般化してきたこともあり、断熱用玄関ドアもいろいろな種類が選べるようになりました。
商品はメーカー希望価格の6割程度で工事費を含めると玄関ドアは45万円〜60万円が目安です。
床暖房を検討されている方もいらっしゃると思いますが、床暖房は断熱材とはまったく違った考え方となります。
断熱材が熱(暑さ・寒さ)の移動を断つことが目的であるのに対し、床暖房はエネルギーを使って熱を生み出す商品です。
家の断熱性能が低いまま床暖房を使ってしまうと、ランニングコストは莫大になってしまうためオススメできません。優先するべきは熱を逃がさないための断熱を行うことです。
ただし、住宅の構造によっては断熱リフォームが難しい場合には床暖房も有力な選択肢になります。
結局どこまでやったらいいの?
まずは家の断熱材の状態を把握し、悩みや予算に応じて検討しましょう。
以下は予算に応じて、《断熱リフォームの匠》で過去に施工したお客様の平均的な施工と金額です。
- 予算を抑えたい場合「60点断熱」
-
主な生活空間のみに絞って断熱リフォームする方法です。
寒さ対策なら、リビングや寝室の窓に内窓を取り付けて断熱性能を高め、床下の断熱材も強化(厚みを増やす)して冷気をシャットアウトする方法です。
費用目安は100万円~140万円ほどになります。
暑さ対策なら、屋根裏や天井に断熱材を敷き詰めて室内への熱気を遮断する方法です。窓の断熱性能も同時に高めればエアコンの冷気を無駄にしません。
費用目安は70万円~90万円ほどになります。
- 予算は抑えつつ、可能な限り断熱したい場合「80点断熱」
- 天井裏や床下に潜って断熱材の厚みを増やし、断熱性能の高い窓や玄関ドアを設置する方法です。費用目安220万円~270万円
- フルリノベーションで完璧な断熱を行いたい場合「100点断熱」
-
床壁天井のすべてを解体して、正しく断熱材を設置し、断熱窓や玄関ドアを取り付けます。
直射日光の対策に日よけで室温上昇も抑えます。費用目安1000万円~1500万円以上
家の断熱リフォームを検討する場合、大きく分けて、60点〜80点を目指して予算を抑えるか、100点を目指してフルリフォームを行うかの2つの選択肢になります。
ただし80点と100点の差には大きな費用の差があります。
「20点の差で浮いたお金を老後や豊かな暮らしのために使ってほしい」というのが、私ども《断熱リフォームの匠》が事業を行う上での考えです。(プランの詳細はこちら)
リフォーム業者の多くは断熱知識がない事実
繰り返しますが、日本の家の断熱性能が低い理由は建てている住宅会社の断熱知識のなさが大きな理由の一つです。
しかし実は同様に、リフォーム業者の多くは断熱知識がありません。
断熱の知識は奥が深く、建築士ですら完全に理解している人は少ないくらいです。
さらには補助金制度も年度や自治体によって違い、申請方法も複雑になっています。
家の環境の違いによって断熱方法の提案も考える必要があり、トイレやキッチンの交換のようにはいきません。
断熱リフォームは住宅の構造・断熱知識・補助金制度・商品・現場対応など、幅広い知識が必要であり、それらを身に付けた人材や業者はなかなか少ないのです。
補助金の活用で大変お得に!国や自治体が省エネ施策で後押し
断熱リフォームをするのであれば、補助金の活用は確実に視野に入れておいてください。
政府は「2050年カーボンニュートラル」を宣言しており、その一環として断熱リフォームを後押ししています。
2024年度には新たに「子育てエコホーム支援事業」や「先進的窓リノベ2024事業」をスタートします。
地方自治体でも、東京都が窓・床・天井などの断熱リフォームを補助金対象にしたのを筆頭に、独自の補助制度を打ち出す自治体が増えてきました。
補助金制度で重要なのは、やはりリアルタイムな情報を把握している業者かどうかです。
情勢は刻一刻と変化しますし、その時々で一番得をするやり方も変わってきます。
実際のところ補助金のことを知らない業者は意外と多く、「うちは工事しかできないから申請は自分でお願いします」と言われてしまったとお客様からご相談を受けたこともありました。
補助金は自分で申請することも可能ですが、基本的にはリフォーム業者に申請代行もお任せした方が良いと思います。
交付要項は数十ページもあり、しっかり読み込まないことには書類に何を書けば良いのかわかりません。
また申請する補助金の種類によって、
- 事前申請か事後申請か
- 添付書類の種類
- 現場の写真の要否や種類
- 補助の対象になる工事内容
- 補助の対象になる製品
- 書類の提出方法
などがそれぞれ異なり、的確な書類作成には慣れている人でもある程度の時間がかかります。
業者選びで失敗すると、何十万円も損をしてしまうことになりかねませんので注意しましょう。
施工の際は補助金の申請を行っているか確認してみてください。扱い慣れている業者なら快く引き受けてくれるはずです。
補助金で気になるのはやはり「どれくらいお得になるの?」というところだと思いますので、お客様の事例も一部ご紹介します。
- (1)国の補助金を使い、床下・天井・すべての窓を断熱リフォーム
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埼玉県内の木造一戸建てお客様で、国の補助金を活用して工事を実施しました。
工事費用は約190万円で、補助金が約38万円交付されました。
- (2)補助金を2種類使って、天井と窓の断熱リフォーム
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東京の多摩地域のお客様で、東京都の補助金と、グリーン住宅ポイント(※現在は終了)を活用して工事を行いました。
かかった費用は約92万円で、補助により約21万円の還元を受け取れました。
- (3)補助金3種類をフル活用し、床下とすべての窓をリフォーム
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東京23区内にある住宅で、床下への断熱材追加と、すべての窓への内窓設置を実施しました。
工事費用はおよそ150万円で、国・都・区の補助金3つを活用し、およそ50万円が戻ってくることになりました。(※東京都は補助率改定前)
詳しい国の補助金情報は「断熱リフォームの匠サイト」のお知らせで随時更新しています。
さいごに:良い業者の見極めの「コツ」とは?
今回は断熱リフォームの費用相場と業者選びのコツについて詳しくお話ししてきました。
リフォーム業者は、大規模改修の断熱リフォームを勧めたいのが本音です。そちらの方が断熱施工に手間がかかりませんし(知識があまり必要ない)、当たり前ですが金額も大きくなります。
決して業者の言いなりにはならないでください。
正しい業者の見極め方ですが、まずは調査員が断熱にまつわる知識があるか確認しましょう。断熱にまつわる有資格者なら安心です。
また必ず補助金や気流止めについても質問してみましょう。その場である程度は答えられる業者であれば後悔しない断熱リフォームとなるに違いありません。
この解説が、皆様の快適な暮らしのお役に立てば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。