断熱リフォーム専門店が「費用相場」と「業者選びのコツ」を解説!|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2020.07.04 / 更新日 2023.07.10

断熱リフォーム

断熱リフォーム専門店が「費用相場」と「業者選びのコツ」を解説!

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

「断熱リフォームの費用はどれくらいかかりますか?価格の目安を知りたいです」

 
こんにちは。《断熱リフォームの匠》の矢崎です。

断熱リフォームの検討で大きな不安があるのが「価格」についてです。

お客さまからも「リフォーム業者のサイトを見ても価格が掲載されていなかった」「不要なリフォームまで勧められたらどうしようと不安だった・・・」といった話をよく伺います。

断熱リフォーム専門店の私が、施工内容による費用の目安を分かり易く解説します!

断熱リフォームの種類

費用を解説する前に、断熱リフォームと一口に言っても、建物の「どこ」を「どのように施工するのか」は、悩みによって変わります。一般的には2階の暑さ対策なら天井断熱、寒さ対策なら床や窓です。予算に余裕があれば、壁や床を全て解体して大規模に改修するという方法も。

断熱リフォームの費用(部位、方法別)

ここでは、施工する場所や方法によっての費用を解説します。

窓の断熱リフォーム費用


ここでは窓リフォームで一般的な「内窓」を解説します。

内窓はネットショップで注文し、自分で取り付けることが可能です。ただし注文した窓のサイズを誤って取付に失敗したり、窓の形状が複雑で難しい場合があるので、不安な方は業者にお願いすることをお勧めします。

価格は断熱性能のレベルによって変わりますが、YKKの「プラマードU」の例で商品代がメーカー希望価格の約半額程度が相場です。設置費用は取付の枚数によっても変動しますが、1枚でも5枚でも出張費は同じです。

断熱リフォームの匠で行った、一般的な広さのお客様が窓リフォームした費用の目安です。

  • 1階のリビングと寝室 40万円~50万円程度
  • 1階全ての窓 70万円~80万円程度
  • 1階と2階全ての窓 100万円~180万円程度

 
また、後ほど詳しく解説しますが、補助金申請の知識が無いリフォーム業者は意外と多く、結果的には数十万円も損をしていたなんてことには注意してください。

床の断熱リフォーム費用

窓の断熱リフォームをしても、床の断熱材が正しくなければ、足元の寒さは解決されません。ここでは、床を「はがして行う方法」と「床下に潜って行う方法」2つで説明します。

床をはがす場合と床下に潜って行う場合の費用の差は、

  • 解体費用
  • 新しい床の張り替え費用
  • 廃材の処分費用
  • 工期による人件費
  • リフォーム中の宿泊費

 
などに違いがあります。

平均的な住宅の1階の床断熱リフォームをした場合ですと、床下から潜って行う方法で60万円〜80万円程度です。

壁の断熱リフォーム費用

断熱リフォームではあまり一般的ではないのが壁の断熱です。理由は窓、床、天井のようには、いまの建物に手を掛けることなく施工することが出来ないのが壁の断熱だからです。室内壁に新たに断熱ボードを張る方法もありますが、エアコンや電気のスイッチ、コンセントなどの問題があります。また、ドア枠との高さの不自然さや、断熱材の厚み分は室内が狭くなるなどを考えると費用対効果を踏まえても現実的ではないからです。もし壁の断熱リフォームを希望であれば、建物全体を断熱リフォームする大規模改修を検討されることをお勧めします。

大規模改修での断熱リフォーム費用

土台や柱はそのままに、壁や床の全てを新しくする大規模リフォームなら、わざわざ床下に潜らずに断熱が出来ます。全ての壁も断熱が行えますし、理屈では100点満点の断熱リフォームが可能です。ただし費用は家を建て替えるよりは安いくらいのイメージでしょうか。床、天井、窓の断熱リフォームを行ったとしても、一般的には250万円程度ですから、浴室やキッチンなど全てのリフォームを検討される方にお勧めです。

また、知識のない大工さんが断熱リフォームをすれば後悔することになりかねません。せっかく大規模改修するのであれば、断熱の施工についての知識があるリフォーム業者に依頼されることが重要です。

(番外編)断熱用玄関ドアの費用と床暖房について

窓と同様に、玄関ドアも断熱のことは考慮されていません。最近は断熱が一般化してきたこともあり、断熱用玄関ドアもいろいろな種類が選べるようになりました。商品はメーカー希望価格の6割程度で工事費を含めると玄関ドアは45万円〜60万円が目安です。

また、床暖房を検討されている方もいらっしゃると思いますが、こちらは断熱とは全く違った考え方です。断熱とは、熱(暑さ・寒さ)の移動を断つことです。逆に床暖は家の断熱性能が低いまま、強制的にエネルギーを使って解決する商品で、優先するべきは熱を逃がさない断熱を行うことです。ただし、住宅の構造によっては断熱リフォームが難しい場合には、床暖は有力な選択肢になります。

結局どこまでやったらいいの?

床下の断熱リフォーム前

まずは家の断熱材の状態を把握し、悩みや予算に応じて検討しましょう。以下は予算に応じて、「断熱リフォームの匠」で過去に施工したお客様の平均的な施工と金額です。

予算を抑えたい場合「60点断熱」
主な生活空間を断熱する方法です。

  • 寒さ対策なら、リビングや寝室など、窓の断熱性能を高め、床は断熱材強化(厚みを増やす)で冷気をシャットアウトする方法です。費用目安100万円~140万円
  • 暑さ対策なら、屋根裏や天井に断熱材を敷き詰め室内への熱気を遮断する方法です。更に窓の断熱性能を高めれば、エアコンの冷気を無駄にしません。費用目安70万円~90万円

 

予算は抑えつつ、可能な限り断熱したい場合「80点断熱」
天井裏や床下に潜って断熱材の厚みを増やし、断熱性能の高い窓や玄関ドアを設置する方法です。費用目安220万円~270万円
フルリノベーションで完璧な断熱を行いたい場合「100点断熱」
床壁天井の全てを解体して、正しく断熱材を設置し、断熱窓や玄関ドアを取付。直射日光の対策に日よけで室温上昇を抑える。費用目安1000万円~1500万円以上

家の断熱リフォームを検討する場合、大きく分けて、60点〜80点を目指して予算を抑えるか、100点を目指してフルリフォームを行うかの2つの選択肢になります。ただし80点と100点の差には大きな費用の差があります。断熱リフォームの匠は、20点の差で浮いたお金を老後や豊かな暮らしのために使ってほしいという考えのもと、事業を行っています。

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リフォーム業者の多くは断熱知識が無い事実

繰り返しますが、日本の家の断熱性能が低い理由は、建てている住宅会社の断熱知識がないことが大きな理由の一つです。実は同様に、リフォーム業者の多くが断熱知識はありません。

理由は断熱に必要な知識は奥が深く、建築士でも完全に理解している人は少ないくらいだからです。さらには補助金制度も年度や自治体によって違い、申請方法も複雑です。

当然、家の環境の違いによって断熱方法の提案も考えなくてはいけません。トイレやキッチンの交換のようにはできないのです。断熱リフォームは住宅の構造、断熱知識、補助金制度、商品、現場対応など、沢山の知識が必要になり、それらを身に付けた人材や業者は正直、あまりいません。

補助金の活用で大変お得に!国や自治体が省エネ施策で後押し

断熱リフォームをするのであれば、補助金の活用は確実に視野に入れておいてください。

というのも、政府は「2050年カーボンニュートラル」を宣言しており、その一環として断熱リフォームを後押ししているからです。2022年1月には新たに「こどもみらい住宅支援事業」がスタートしており、国は住宅の断熱化にかなり本腰を入れているようです。

また、独自に補助制度を打ち出している地方自治体もあり、特に東京都は2021年12月に補助率を6分の1から3分の1に引き上げました。

また2022年5月には、埼玉県の補助金において、窓の断熱改修が補助申請の要件に加えられました。
(従来は燃料電池などの設備のみ補助対象でした)

さらに2022年9月になって、国土交通省が新たな補助制度として、「住宅エコリフォーム推進事業」を創設しました。

このように、補助金制度はどんどん情勢が変わってきていますので、リアルタイムな情報を把握している業者を選ぶことが重要です。

実際のところ、補助金のことを知らない業者は意外と多く、「うちは工事しかできないから、申請はご自分でやってください」と言われてしまった、というお客様からご相談を受けたこともありました。

なお、補助金はご自分で申請することも可能ですが、基本的にはリフォーム業者に申請代行もお任せした方が良いと思います。

なぜかというと、数十ページある交付要項をよく読み込まないと、書類に何を書けば良いのか分からないこともあるからです。

また、申請する補助金の種類によって、

  • 事前申請か事後申請か
  • 添付書類の種類
  • 現場の写真の要否や種類
  • 補助の対象になる工事内容
  • 補助の対象になる製品
  • 書類の提出方法

 
などがそれぞれ異なっていて、的確に書類を作るには慣れている人でもある程度の時間がかかります。

業者選びで失敗すると、実は何十万円も損をしていたことになりかねません。補助金の申請をしたことがあるか、業者に確認してみると良いでしょう。扱い慣れている業者なら、申請代行も快く引き受けてくれるはずです。

また、補助金と聞いて気になるのは、「どれくらいお得になるの?」というところだと思いますので、過去に断熱リフォームをしたお客様の事例の一部をご紹介します。

(1)国の補助金を使い、床下・天井・すべての窓を断熱リフォーム
こちらは埼玉県内の木造一戸建てお客様で、国の補助金を活用して工事を実施しました。工事費用は約190万円で、補助金が約38万円交付されました。
(2)補助金を2種類使って、天井と窓の断熱リフォーム
こちらは東京の多摩地域のお客様で、東京都の補助金と、グリーン住宅ポイント(※現在は終了)を活用して工事を行いました。かかった費用は約92万円で、補助により約21万円の還元を受けることができました。
(3)補助金3種類をフル活用し、床下と全ての窓をリフォーム
東京23区内にある住宅で、床下への断熱材追加と、全ての窓への内窓設置を実施しました。工事費用はおよそ150万円で、国・都・区の補助金3つを活用し、およそ50万円が戻ってくることになりました。(※東京都は補助率改定前)

詳しい国の補助金情報は「断熱リフォームの匠サイト」のお知らせで随時更新しています。

良い業者の見極めの「コツ」とは?

リフォーム業者は、大規模改修の断熱リフォームを勧めたいのが本音です。なぜなら、断熱施工に手間がかからない(知識があまり必要ない)ことと、当たり前ですが、金額が大きくなるからです。決して業者の言いなりにはならないでください。

正しい業者の見極め方ですが、まずは調査員が断熱にまつわる知識があるか確認しましょう。断熱にまつわる有資格者なら安心です。必ず補助金や気流止めについても質問し、その場である程度は答えられる業者であれば、後悔しない断熱リフォームに繋がります。

この解説が、皆様の快適な暮らしのお役に立てば嬉しいです。

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