【東京都】窓・ドアの断熱改修で補助金が受け取れる!条件や流れを詳しく解説【2023年最新】|断熱リフォームの匠
コラム
2022.06.23 / 2023.05.06
内窓・窓リフォーム
【東京都】窓・ドアの断熱改修で補助金が受け取れる!条件や流れを詳しく解説【2023年最新】

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廣澤 健一郎
環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。
受付再開は5月中旬以降となる見込みですので、東京都補助金の活用を検討されている方はご注意ください。
こんにちは、《断熱リフォームの匠》の廣澤です。
このページでは、東京都で令和4年(2022年)6月22日から実施している、「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」による補助金について解説していきます。
住宅の断熱性能は身体への寒さや暑さの負担軽減、快適な空間作りには欠かせない存在です。
しかしそれと同時に、実は断熱は「災害対策」としての側面も持っています。万が一の災害で電気やガスなどのライフラインがストップしてしまった際、建物の断熱性能が高ければ低体温症をはじめとした諸々の体調不良のリスクを抑えられるからです。
こういった背景もありスタートしたのが東京都の「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」です。
本事業を活用すれば、断熱向上で重要な窓やドアの改修にかかる費用の一部を補助金として東京都から受け取ることができます。
交付額や申請の方法、交付までの流れ等について分かりやすく説明していきますので、しばしお付き合いください。
目次
受け取れる補助金の額はどれくらい?
「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」で受け取れる補助金の金額は、
- 窓:補助対象経費の3分の1で、上限は100万円
- ドア:補助対象経費の3分の1で、上限は16万円
となっています。
たとえば窓の工事に120万円かかるとすると、その3分の1にあたる40万円の補助が出ます。仮に360万円かかる場合には、補助額は上限額の100万円となるわけですね。
ちなみにこの金額はかなり大盤振る舞いと言えます。
近隣の県と比較してみても、
- 神奈川県:経費の3分の1で上限7.5万円
- 埼玉県:経費の5分の1で上限10万円
となっており、上限額に10倍以上もの開きがあります。
東京都が窓の断熱化にかなり力を入れて取り組んでいることが分かりますね。
それはさておき、受け取れる補助金額を計算する上でポイントになるのは「補助対象経費とは具体的に何を指すのか?」です。
ここで言う補助対象経費とは、
- 窓の改修に使う資材の本体価格
- 副資材の費用
- 窓の取り付け工賃
- 材料の運搬費用
のことを指し、窓の工事にかかわる費用のみが対象となります。
たとえば窓の断熱化と一緒にシャッターを交換したとしても、シャッターの材料費や工事費には補助がつきませんのでご注意ください。
またここで重要なのは、窓の取り付け工賃は改修方法で大きく変化するという点です。
窓の断熱改修と一概にいっても、内窓を設置して二重窓にする方法、窓そのものを交換する方法など様々なやり方があり、どれを選ぶべきかは窓の構造、居室の種類、ライフスタイル等によって違ってきます。
どのような改修方法が適しているか、どれくらいの費用が妥当なのか、などを知るためには実際に専門の工事店に一度建物を見てもらうことをおすすめいたします。
手続きの期限は?
補助金を受け取るためには、
- 申請書類の提出
- 完了報告書類の提出
という2つの手続きを行う必要があります。
申請書類の受付期限は令和4年(2022年)6月22日から令和7年3月31日となっており、それまでに提出する必要があります。
また、完了報告書類の受付期限は令和7年(2025年)9月30日までとなっており、それまでに工事を完了させておくことが必須条件です。
- 交付申請書提出期限:令和7年(2025年)3月31日
- 完了実績報告書提出期限:令和7年(2025年)9月30日
ただし、申請期限内であっても都の予算がなくなった時点で受付は終了してしまいます。補助金は言わば「はやい者勝ち」なのです。
実際、昨年度(令和3年度)においては年度末の締切日を待たずに3月上旬に受付終了となっています。
期限日まで予算がなくならない保障はありませんので早めの申請をおすすめします。
ちなみに、補助金の申請をまだ受付けているかどうかは『クール・ネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター)』のホームページで確認することができます。
申請に必要となる書類
補助金の申請をするときには、
- 助成金交付申請書
- 実施計画書
- 費用総括表
- 費用明細書
- 工事費用の見積書
- 助成対象住宅の写真
- 住宅の平面図
- 住宅の立面図
- 建物の登記事項証明書
- 申請者の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード等)
などの書類が必要となります。
リース契約をしている場合や集合住宅の場合、窓とドアの両方を改修する際などは、さらに追加で書類が必要となります。
申請のための専用書式や必要な添付書類の一覧は、先ほどのクール・ネット東京のホームページで公開されていますので、これを確認しておけば書類作成を進められると思います。
とはいえ、補助金申請の書類作成は非常に手間がかかる煩雑な作業となります。
やはりおすすめなのは改修工事と一緒に書類作成も業者に代行してもらうことです。しっかりした断熱改修業者であれば、補助金の代行申請も業務の一環として取り扱っているはずです。
書類は身分証明書などの必要書類があれば本人以外でも作成できるものですし、そちらの方が手間が掛からないのでおすすめです。
補助金を活用したいことや申請の代行業務をお願いしたいことを事前に相談してみましょう。
補助の対象となる製品
補助金の対象となる窓やドアは、環境省が推進している助成制度「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」で補助金の対象になっている製品です。
対象商品は公益財団法人北海道環境財団が公開している対象製品のページをご確認ください。
当然ながら、補助対象となっていない製品(断熱性能が低くて断熱化にあまり貢献しない種類の製品等)を使っても補助金は申請できません。
業者で見積もりをとる際に補助金を使用したいことを伝えれば、対象となる製品で見積もりを作成してくれると思います。その際、補助金額の見込みも一緒に聞いてみるといいでしょう。
申請から補助金の交付までの流れ
申請書の提出と通知書の送付
申請は、工事に取り掛かる前におこなう必要があります。まずは窓改修を依頼する業者に見積もりをとり、必要書類をそろえたらクール・ネット東京に申請書を提出します。
申請が通れば、クール・ネット東京から交付決定の通知が送られてきますので、案内が届いてから工事の契約書を取り交わすことになります。
交付決定通知書が届く前に契約や工事を実施してしまうと、その時点で補助金の対象ではなくなってしまいますので要注意です。
必ず通知書が届いてから次の段取りに移行するようにしましょう。
(※2023.3.20追記)募集要項が改訂され、交付決定通知が届く前に契約書を取り交わす場合であっても補助の対象となりました。
これにより、申請書類の提出後であれば契約書を締結して工事に着手することができるようになりました。
ただし、申請の書類に不備があれば、補助金が交付されない可能性は捨てきれません。いずれにしても、補助金の手続きに精通している業者を選ぶことが重要でしょうね。
早めに申請しないと損!?
申請書の提出は早めに行ってしまうのがおすすめです。
というのも、提出後にすぐに工事を実施できる訳ではなく、しばらく待たなければなりません。(審査期間は現在3~4ヶ月待ちになってるようです)
例えば「本格的な夏が来る前に工事をしたい!」と6月頃に思ったとしても、おそらく一番暑い時期には間に合わない計算になります。
せっかく工事を行うのですから、その恩恵をたくさん受けられた方がいいと思います。
しっかりした計画立てが大切ですね。
工事完了と報告書の作成
工事完了後、工事店はお客様から費用が支払われたのを確認してから報告書の作成に取り掛かります。
工事後に提出するのは、
- 事業実績報告書
- 工事請負契約書のコピー
- 工事金額の領収書のコピー
- 窓の出荷証明書
- 助成金の振込先口座の書類
などです。
これらの書類をクール・ネット東京に送理して審査が完了すると、ようやく指定口座に補助金が振り込まれることになります。
申請〜交付までのまとめ
申請から交付までの流れを整理すると、
①見積もりをとる→②申請書類を送る→③交付決定通知書が届く→④契約・工事→⑤お支払い→⑥工事の実績報告書を送付→⑦補助金交付
となっています。
審査期間がかなり長いことを考慮すると、最初の見積もりから最後の補助金交付までは、場合によっては半年ほどかかることもあります。
最終的な振り込みまでは、気長に待つ必要があるでしょうね。
補助金の申請を行う際の注意点
本事業を活用される際にご注意していただきたいこととして、
- 申請に必要な最低限の施工条件
- 環境省の補助金との併用
などにフォーカスを当ててお話ししていきます。
施工条件の敷居は低め
補助金を受け取るための施工条件ですが、まず東京都にある既存住宅が対象となります。新築は対象にはなりませんので注意しましょう。
また、改修の単位は一部屋、つまり一つの部屋の窓すべてを改修すれば補助金の対象となります。例えばリビングに窓が2か所あるのなら、その2か所を改修すれば施工条件は満たされます。
窓の断熱改修による補助金といえば、家全部の窓の改修が条件となっている場合が多いです。
そういう意味では、本事業の施工条件はとても敷居が低いと言えるでしょう。
改修必須の部位がある事に注意
ただし、特別な施工条件もあります。
それは、「居室」の窓の改修が必要だということです。
居室とは「生活空間としてそこに居る時間が長い部屋」を指します。具体的にはリビングダイニングや寝室などです。
反対に「非居室」に分類されるのは、玄関、廊下、階段、洗面所、浴室等です。これらの部位だけをいくら改修しても補助対象にはなりませんので注意しましょう。
環境省の補助金と併用できる?
本事業の補助金は、環境省の補助金(「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」)とも同時申請が可能で、両方から補助金を受け取ることができます。
ただし、環境省の補助金を併用する場合は交付額の上限が変わります。
具体的には、
- (東京都の補助対象金 × ⅔ ) – 環境省の補助金
- 東京都の補助対象金 ×1/3
これらの額を比較して小さい方が上限となります。
例えば、120万円の窓の工事をおこなった場合、環境省の補助額が25万円だったとすると、
①:(120×⅔)-25=55
②:120÷3=40
となりますので、交付される補助金額は40万円となります。
とはいえ、併用すれば受け取れる補助金の総額は大きくなりますので積極的に活用していくべきでしょう。
先ほどの例だと、環境省から25万円、東京都から40万円の補助金を受け取ることができます。
120万円の工事で65万円が返ってくるとしたら、かなり魅力的な還元率だと思います。
浮いたお金で高性能な暖房器具を買ったり、床や天井の断熱リフォームに回して断熱性能をさらに充実させる、といったこともできるでしょう。
併用の際は施工条件の違いに注意
ちなみに東京都と環境省とでは補助金の条件が異なります。併用するためにはどちらの条件も満たす必要がありますので注意しましょう。
具体的には「省エネ効果の改善」です。
環境省の「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」では、「改修工事前と比べた15%以上の省エネ効果の改善」が補助金の条件となっています。
どこをどう改修すればいいのか、リフォームプランはしっかり業者とすり合わせるようにしましょう。
(2023.1.29追記)あえて東京都に申請を出さない選択肢も
ここまで、東京都の補助金をぜひとも活用すべきと説明をしてきました。その一方で、2023年に入って新たな選択肢が見えてきました。
それは「あえて東京都の補助金を使わずにリフォームを実施する」です。
要因として、
- 東京都の補助金窓口が混んでおり着工まで3〜4ヶ月かかる
- 国の補助金が改定され、受け取れる額が大幅に増えた
- 東京都の補助金は国と併用すると目減りする
の3つが挙げられます。
東京都からもらえる額が減るかも?
大まかな目安として、内窓の改修で受け取れる補助金は対象金額に対して国が4割、東京都が1割程度です。
「あれ?東京都は工事費用の3割が貰えたんじゃなかったっけ?」と思われたかも知れません。
実は東京都の補助金にはもうひとつ、補助額に関する条件があります。
簡単に言うと、「国と都の補助額の合計が、対象経費の3分の2を超えないように都の補助金は減額になる」という条件です。
つまり、国からの補助率があまりにも大きい場合には都の補助額は目減りする仕組みになっているのです。
今回国の補助金額が大幅に増えたことで、東京都の補助金額は目減りする可能性が大きくなりました。
国が新たに創設した「先進的窓リノベ事業(窓リノベ)」の補助額がそれだけ大きいということでもありますね。
「窓リノベ」の詳しい解説はこちらに掲載しましたので、合わせて読んでいただければと思います。
施工までに時間がかかる
確かにたとえ東京都の補助額が目減りしたとしても、受け取れる額は国と併用した方が基本的には多いです。
しかも先ほどもご紹介したように東京都の補助金は国と異なり事前申告であることから、着工までに「待ち時間」が発生します。
この審査期間は1ヶ月半~2ヶ月程度だったのが、現在どんどんと延びており、3ヶ月以上待たされるのが常態化しています。
今後さらに延びる可能性もあり、こういった事情から弊社のお客さまでも「この額のためにわざわざ待つ必要があるなら国の補助金だけで早くリフォームしたい!」という方も珍しくありません。
申請する補助金選択のコツとは?
時間がかかってでも併用して少しでも多く受け取るのか、国の補助金だけで早いところ着工してしまうのか
選択のポイントは「リフォームの規模」です。
たとえば「リビング一部屋だけを断熱改修できればそれでいい」という場合、受け取れる金額はおのずと少なくなります。しかしそれでも断熱改修を実施できるまでには3〜4ヶ月ほどかかります。
一方建物全体の断熱改修を行うとなると、いくら目減りするとはいっても額面自体はそれなりの数字になるはずです。
この辺りのバランス感で判断すればいいのではないかと思います。
いずれにしてもリフォーム業者には、
- 国だけの補助金で断熱改修する場合
- 国+東京都の補助金で断熱改修する場合
この両パターンで見積もり額と着工日の目安を教えてもらい、その上でどちらにするか決めるのがおすすめです。
まとめ
今回は東京都の補助金:「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」を活用した、家庭における窓とドアの改修工事で補助金を受け取るための流れについてご紹介してきました。(住宅の断熱リフォームをお考えでしたら、こちらもぜひ合わせてお読みください)
これまでの事業と比べてもかなり補助金を受け取るための敷居が低いこともあり、ぜひ積極的に活用してみてください。
しかしもしかすると「補助金の申請は、条件も申請書類も多くて大変だ」と思われたかも知れません。
確かに不慣れな人が申請作業を自分で行うのは中々難しいだろうな、というのが私の率直な感想です。
弊社のお客さまでも、「自分でやる」と仰る方は時折いらっしゃいます。しかし途中でほぼ全ての方が「やっぱり補助申請を代わりにやってくれないか?」と手を上げてしまっている状態です。
《断熱リフォームの匠》では、内窓リフォームをご検討されている方に対して無料の断熱調査でお見積りや補助金の計算をおこなっておりますが、施工いただいたお客様には補助金の代行申請も承っております。
この機会に窓を高断熱のものに変え、快適な空間作りをしてみてはいかがでしょうか。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。