掃き出し窓の交換で快適リビングに!費用・工法・断熱効果を徹底解説|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2025.10.27

内窓・窓リフォーム

掃き出し窓の交換で快適リビングに!費用・工法・断熱効果を徹底解説

WRITER

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廣澤 健一郎

環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。

「掃き出し窓からのヒヤッとした空気で足元が冷える」
「窓が大きいせいで冷房の効きが悪いと感じる」

家で過ごしているときに感じる暑さや寒さには、窓の断熱性能が低いことが要因であることが多いです。その中でも特に、「掃き出し窓」は面積が大きく、その分だけ室内外の熱の移動に非常に大きな影響をおよぼしています。

今回は暑さ・寒さの改善に重要なポイントとなる掃き出し窓の断熱化について解説していきます。

掃き出し窓とは?

リビングの大きな掃き出し窓。

リビングや和室の居住部でよく見かける床までガラスがある大きな引違い窓のことを、一般的に「掃き出し窓」と呼びます。

もともとは、室内をホウキで掃いたごみをそのまま外に掃き出せる構造だったことからこの名がつきました。現在では掃除スタイルが変わっても、「外に出入りしやすい窓」として、住宅の南側に設置されることが多く、庭やベランダとの行き来にも便利です。

和室の掃き出し窓。

(写真)和室の掃き出し窓。昔は窓を開けて掃き掃除をしていた。
掃き出し窓の下部の拡大。

(写真)ほとんど床と段差のない掃き出し窓の下部。

 
ただし、この便利で開放的な構造こそが、断熱の観点では弱点にもなります。掃き出し窓は面積が大きいため、壁よりも熱の出入りがはるかに多く、夏は室温の上昇、冬は足元の冷えの原因になります。

築年数の経過した住宅では、アルミ製フレームと単板ガラスの組み合わせが多く、断熱性能は現行の基準より大きく劣ります。外気温が低ければ冷気が伝わりやすく、反対に強い日差しを受けると室内温度が急上昇してしまうのです。

アルミサッシのサーモグラフィーで夏に熱が伝わっているのがわかる。

(写真)夏場のアルミサッシの掃き出し窓。熱が伝わっているのがわかる。
断熱している窓と無断熱の窓の表面温度の比較。

(写真)冬の掃き出し窓。左が無断熱、右が内窓による断熱。無断熱の窓が冷たいことがわかる。

 
つまり、リビングなどで感じる「寒い」「暑い」といった体感の多くは、掃き出し窓の性能が直接影響しているといっても過言ではありません。そのため、窓を断熱化することは、エアコン効率を高め、快適で省エネな空間づくりにつながる非常に効果的な手段といえます。

掃き出し窓の交換・リフォームの方法

住宅に設置された窓の中でも、掃き出し窓は一番大きい部類に入りますので、この窓を断熱化することは快適性の向上度合いから見ても優れていると言えます。

代表的な手法は「カバー工法」と「内窓(インナーサッシ)設置」の2種類で、これに加えて条件次第では「ガラス交換」や「はつり工法」が用いられるケースもあります。それぞれの特徴を理解しておくことが、後悔のないリフォームにつながります。

カバー工法(サッシ交換リフォームの主流)

最もオススメの方法はカバー工法による窓の交換です。カバー工法とは、既存のサッシ枠を撤去せずに、その上から新しい断熱サッシを被せて施工する方法です。外壁や内装を壊さずに済むため、近年の窓リフォームにおいて利用が増えています。

掃き出し窓のカバー工法の施工前。

(写真)掃き出し窓のカバー工法施工前。YKK APより。
掃き出し窓のカバー工法施工後。

(写真)掃き出し窓のカバー工法施工後。YKK APより。

 
古いサッシのフレームを残すため構造への影響が少なく、施工は1か所あたり半日〜1日程度で完了します。また、窓専門業者のみで施工が完結するため、外壁補修工事が不要であり、工期・費用ともに大幅な削減が可能です。

採用するサッシには、断熱性能に優れた樹脂フレームLow-E複層ガラスなどが多く、気密性・遮音性も大きく向上します。断熱リフォームを目的とする場合、現実的かつ効果的な選択肢といえるでしょう。

(写真)カバー工法施工前の窓。

(写真)カバー工法施工後の窓。若干の段差があるのがわかる。

 
ただし、既存枠の上に新しい枠を被せる構造上、出入口に3〜6cm程度の段差が生じる場合があります。掃き出し窓のように人の出入りが多い箇所では、この点を事前に確認しておくことが重要です。

内窓(インナーサッシ)による二重窓化

もうひとつの選択肢として挙げられるのが、内窓の設置による二重窓化です。既存の窓はそのままに、室内側に新しい断熱サッシを取り付けることで、二重窓(複層構造)とする方法です。

窓が二重になることで間の空気層がクッションの役割を果たし、熱の移動を抑えることができます。また、内窓自体も断熱性能を高めた素材や構造をしているため、断熱性能の向上という点ではカバー工法よりも優れている場合もあります。

掃き出し窓の内窓を取付けた解説図。

工事は1か所あたり30分〜1時間程度で完了し、壁や外装を壊す必要がないため、費用・工期ともに非常にコンパクトです。施工コストはカバー工法のおおよそ半分程度で済むケースが多く、コストパフォーマンスに優れた断熱改修といえます。

ただし、二重窓にすることで窓の開閉動作が二重になるため、掃き出し窓から頻繁に出入りする場合には、利便性の面で不便を感じる可能性があります。出入りが少ない部屋や冷気対策を重視した空間では、最も効果的な方法のひとつです。

(写真)和室の掃き出し窓に内窓を設置する前。障子を内窓に変更する。

(写真)和室の掃き出し窓に内窓を設置した後。障子風窓により、和室の雰囲気を壊さずなじんでいる。

その他の方法(ガラス交換・はつり工法)

上記2つ以外にも、状況に応じた施工方法があります。

ガラス交換のみ

既存のサッシを残したまま、ガラスのみを高断熱ガラスに交換する方法です。ただし、サッシの断熱性が改善されないため、体感できる効果は限定的です。フレームがアルミ製の場合は、依然として熱の出入りが大きくなる傾向があります。

廣澤
廣澤
実はガラス面だけを交換しても断熱化の効果は限定的になり、「思ったよりも快適にならなかった」という事例がいくつもあります。

はつり工法(外壁開口工事を伴う全面交換)

古いサッシ枠を完全に撤去して新しい枠を設置する方法で、カバー工法のように窓が小さくなることがありません。しかし、外壁の一部を削って施工する必要があり、工期・費用ともに大幅に増加します。

もちろん、住宅の構造や立地条件等によっては、これらの方法の方が良いこともありますが、掃き出し窓の断熱化を考えたときに、プランの主軸に据えるのはカバー工法と内窓が多いのではないかと思います。

はつり工法による窓サッシの交換。

(写真)従来の「はつり工法」によるサッシ交換。枠を取り外すには壁を切断する必要があった。
はつり工法で既存窓をを解体したところ。

(写真)壁を切りサッシを外したところ。壁を復旧させるのには時間がかかる。

掃き出し窓の交換費用

掃き出し窓の交換費用は、採用する工法やサッシの仕様によって大きく異なります。ここでは、一般的なリビング用掃き出し窓を想定した参考価格を示します。

参考価格 工期目安
カバー工法 約30~45万円 半日〜1日
内窓 約15~23万円 30分〜1時間
はつり工法 約72~108万円 数日〜1週間

※上記はあくまで参考価格であり、サイズ・地域・メーカー・施工条件によって変動します。

費用を抑えるポイント

補助金の活用

国や自治体による断熱改修支援(例:子育てグリーン住宅支援事業先進的窓リノベ事業など)を利用すれば、1か所あたり数万円〜10万円以上の補助を受けられる場合があります。年度によって制度が変わるため、事前に確認しておくことが重要です。

補助金コラムバナー

複数箇所の同時施工

1窓ごとの単価よりも、複数窓を同時にリフォームする方が1か所あたりのコストが下がる傾向があります。

掃き出し窓の交換で得られるメリット

掃き出し窓を断熱タイプに交換することで得られるメリットは、単に「寒さ・暑さが和らぐ」だけではありません。
断熱性能・省エネ・快適性・安全性・美観といった複数の面で、住まいの質が大きく向上します。

1.夏の暑さ・冬の寒さを大幅に軽減
最も顕著なのが、室内の温熱環境の改善です。Low-E複層ガラスや樹脂サッシを採用した掃き出し窓では、外気温の影響を受けにくくなり、夏場は冷房効果の維持、冬場は暖房効率の向上が期待できます。
外の熱を遮断しつつ、室内の冷気・暖気を逃さないことで、エアコンの稼働時間が短縮され、光熱費削減にも繋がります。
2.結露の抑制とカビ・ダニの発生予防
断熱性の低いアルミサッシや単板ガラスでは、冬場に室内側のガラス面やアルミ部分が冷やされて結露が発生します。これが放置されると、カーテンや床材のカビ、ダニの繁殖につながり、健康や建材への悪影響を及ぼすこともあり得るのです。
一方、断熱タイプの掃き出し窓に交換することで、ガラス面温度の低下を抑制し、結露の発生頻度を大幅に減らすことができます。
3.開閉のスムーズさと気密性の向上
築年数の経過した住宅では、サッシの歪みやレールの摩耗により、開閉が重くなるケースが多く見られます。カバー工法で新しいサッシに交換すると、建付けのズレが解消され、操作性が改善されます。
また、最新の断熱サッシは高精度の気密パッキン構造を採用しており、外気の侵入やすき間風を防ぎます。この気密性能の高さは、エアコン効率を高めるだけでなく、外部騒音の低減にも寄与します。
4.防犯性の強化
新しいサッシやガラスには、防犯合わせガラスや防犯性の高いクレセントなどが採用できるため、侵入抑止力が向上します。特に掃き出し窓は人の出入りが可能な大開口部であるため、防犯性能の強化は非常に重要です。
内窓の設置についても、ガラスを破る手間が2倍になるため防犯効果を得られます。
5.外観・内装のリフレッシュ効果
意外と多い喜びのお声として、「窓がリフレッシュできて綺麗になって良かった」というものもあります。
カバー工法でサッシを交換する場合、外観・内観ともに見た目が一新されるため、満足度も高いリフォームです。

カバー工法と内窓どちらがおすすめ?

掃き出し窓の断熱リフォームを検討する際に、最も多いご相談が「カバー工法と内窓、どちらを選べばいいですか?」というものです。どちらの工法にも明確なメリットがあり、住宅の使い方や目的によって最適解は変わります

カバー工法が向いているケース

カバー工法は、既存のサッシ枠に新しい樹脂製サッシを被せて施工するため、「断熱」「見た目」「利便性」のバランスが最も良いリフォーム方法です。

●こんな方におすすめ
【暮らし方】
  •  洗濯物を干すために毎日開け閉めをする
  •  ガーデニングや草むしりのために窓から出入りをする
  •  毎日掃き出し窓を開けて換気をしている
  •  飼い犬が庭と室内を行き来する
【考え方】
  •  見た目も新しくしたい
  •  開閉に時間をかけたくない
  •  窓自体を交換したい

普段お過ごしの中で、どのように掃き出し窓を使っているかをイメージしてみてください。上の表のように、掃き出し窓を普段からよく使っている生活スタイルの場合には、断然カバー工法を選択したほうが良いでしょう。

二重窓にする選択もありますが、その場合は出入りするために窓を2回開けなければならないため、若干の手間を感じるだろうと思います。

内窓(二重窓化)が向いているケース

内窓は既存窓の内側に新たな樹脂サッシを取り付け、「窓を二重構造」にすることで断熱・遮音性能を高める方法です。施工が容易で費用が安く、補助金の活用もしやすい点が魅力です。

●こんな方におすすめ
【暮らし方】
  •  掃き出し窓からあまり出入りしない
  •  そもそも窓を開けることがほとんどない
【考え方】
  •  コストを抑えて断熱・結露対策をしたい
  •  防音効果も重視している

窓からの出入りが少なかったり、あまり窓を開けないということでしたら、内窓の設置でもほとんど問題はないでしょう。

廣澤
廣澤
1年間を通して、どの程度掃き出し窓を出入り等で利用しているか、この点から選択していくのが、最も理にかなっているのではないでしょうか。
カバー工法 内窓
費用相場 約30~45万円 約15~23万円
工期 半日~1日 30~60分
断熱性能 高い
(新サッシ)
非常に高い
(二重空気層)
出入り △(二重開閉)
外観
専門業者のおすすめポイント

掃き出し窓は「開口部としての利便性」が高い位置にあります。したがって、人の出入りが多いリビング・テラス面はカバー工法、出入りが少ない寝室・和室などは内窓というように、用途に応じて併用するのが最も合理的な判断です。
どちらも断熱性能の向上効果は非常に高く、補助金を併用すれば費用対効果はさらに高まります。現地調査では、サッシの状態・躯体の歪み・内装干渉なども確認した上で、最適なプランを業者と検討するのがおすすめです。

よくある質問

掃き出し窓をカバー工法などでリフォームする際に多い質問についても解説していきます。

雨戸やシャッター付きでも交換できますか?

基本的には交換が可能なことが多いです。ただし、構造によっては製品が取り付けられない場合もあるため必ずできるというわけではありません。
リフォームするに当たっては、現地の確認が必須になりますので、リフォーム業者に見積もりを取る際に実際に窓を見てもらうことをおすすめします。

1枚だけ交換しても意味はありますか?

掃き出し窓1ヶ所だけを交換しても効果がないわけではありませんが、できれば1居室の窓はすべて断熱化することをオススメします。
掃き出し窓だけが断熱化されて、同じ部屋の別の窓が古いままとなると、古い窓に結露が集中して発生する可能性があります。

まとめ

今回は掃き出し窓の交換による断熱化について解説しました。掃き出し窓はリビングや寝室といった居住部に設置されており、古い窓は大量の熱が出入りするため、室内の快適性を損なう大きな要因となりがちです。

室内を快適にするためには、大きな窓を断熱化することで、外気温の影響を受けにくくすることが重要で、断熱化によって冷暖房の効果も今までより良くなります。

リフォームを検討する上でメインとなるとはカバー工法と内窓になりますが、掃き出し窓をどの程度使用しているかでどちらを採用するかが変わってきます。1年を振り返ってみて、掃き出し窓をどれくらい使っているかをイメージしてみてください。

実際にカバー工法等を使用して窓を交換する場合には、専門業者による現地確認が必須になってきますので、実際に窓を見てもらいながら、ご自宅に合った最適な方法を提案してもらいましょう。

廣澤
廣澤
断熱リフォームの匠では工事前に必ず無料断熱調査を実施しています。断熱リフォームや補助金のことなど、お気軽にご相談ください!
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窓・床下・天井を壊さず断熱

1974年の創業から50年を超える歴史を持ち、住宅メーカーなど1200社以上の住宅のプロとも取引実績を持つ当社。日本でも数少ない断熱リフォーム専門店として、断熱工事に関するあらゆるお困りごとを解消すべく、技術とサービスを磨いて参りました。断熱性能は快適な暮らしを守る影の立役者。私どもはその裏方の仕事に誇りを持ち、期待を超える品質でお応えします。

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