アスベストと見た目が似ている「グラスウール」、安全性は大丈夫?|断熱リフォームの匠
コラム
投稿日 2021.09.28 / 更新日 2024.12.10
断熱材
アスベストと見た目が似ている「グラスウール」、安全性は大丈夫?

WRITER

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廣澤 健一郎
環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。
今回はこのような疑問にお答えします。
結論から申し上げると、グラスウールはアスベストとは全く別の物質であり、もちろん人体への影響もなく、安心して使っていただけることができます。(国土交通省のホームページにもQandAが掲載されています)
今回はグラスウールの安全性ついて、詳しくお話ししていきます。
グラスウールとアスベストは全くの別物
確かにアスベストも昭和50年までは、マンションなどの断熱材として使われた歴史があります。
その後アスベストが人体にとても悪影響(肺がんなどのリスクが上がる)であることがわかり、使用・製造が禁止となりました。
もしかすると「グラスウールも実は人体に有害なのでは?」と思われるかも知れません。
しかし冒頭でもお話しした通り、グラスウールとアスベストは全くの別物です。なぜかというと、原料となる成分も違えば、安全性も異なるからです。
グラスウールとアスベストの違い
グラスウール断熱材はガラスを高温で溶かし、細かい繊維状にしてコンパクトに縮めたものです。一方アスベストは、石綿とも呼ばれている天然に作られる繊維状の「けい酸塩」の鉱物です。
ガラス繊維とアスベストには
- 飛び散りやすさ
- 溶けやすさ
- 体外への排出のされやすさ
- 発がん性
の部分で大きな違いがあります。
- 飛び散りやすさ
-
アスベストは物質そのものが何か特別な放射線のようなものを出しているわけではなく、そこにあること自体が問題となるわけではありません。危険である理由はその「飛散性」にあります。
アスベストの繊維はとても軽く飛び散りやすいので、肺の中に直接入り込んで細胞を傷つけてしまうことが大きな問題となりました。
一方グラスウール断熱材のガラスの繊維はアスベストに比べてとても重たく、見えない繊維が飛散するリスクはありません。
- 溶けやすさ
-
「飛散するリスクがなくてももし万が一体の中に入ったら危ないんじゃないの?」と思うかも知れません。
しかしグラスウール断熱材はアスベストと違い、万が一体の中に入っても悪影響を及ぼすことはありません。
両者の違いは「結晶かどうか」です。
アスベストは「結晶」という、溶けにくい物質です。そのため、一度体の中に入ってしまうと溶けることがなく残り、体を傷つけてしまいます。
一方グラスウールは、非結晶ですので、体液に溶けやすい成分です。
- 体外への排出のされやすさ
-
通常、肺や気管支の中に入り込んだ異物は、「これを中に入れるのはまずい」と体が反応し、外に出そうとします。
しかしアスベストの繊維はとても細かく、体が認識することができないので奥まで入り込んでしまいます。
グラスウールは繊維が太く、体の奥まで入り込む前に体外に追い出されるため、人体に悪影響を及ぼすことがありません。
- 発がん性
-
詳しいメカニズムはまだ十分に解明されていませんが、国際がん研究機関では、アスベストを「発がん性がある物質」として、万が一体内に入ったときにガンが起きやすくなるとしています。
発がん性の区分は5段階(リスクが明確に分かっている4段階+リスクが不明な1段階)に分けられていますが、アスベストは最もリスクが高い区分に分類されています。
一方グラスウールは、発がん性のリスクが低いことがはっきりと分かっていて、区分も最もリスクが低いクラスに分類されています。
ちなみにアスベストと同じクラスにはタバコ、アルコール飲料、カドミウムなどがあり、グラスウールと同じクラスには紅茶などがあります。
まとめ
今回はグラスウール断熱材とアスベストの違いについてご紹介してきました。
グラスウール断熱材もアスベストも、同じ繊維状の物質ですが、人体への悪影響のリスクには天地雲泥の差があります。
現にアスベストの使用が禁止された昭和50年から40年以上経った今でもグラスウール断熱材は住宅の主要な断熱材として広くつかわれています。
断熱リフォームの匠で使用している断熱材も、グラスウール断熱材の中でも特に性能の高い「高性能グラスウールボード」と呼ばれるものです。もちろん人体への害もないものですのでご安心ください。

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