結露の原因と対策方法|断熱リフォームの匠

コラム

2018.12.05 / 2023.09.14

建物・暮らしの知識

結露の原因と対策方法

窓の結露

WRITER

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

寒い時期になると、家の窓や壁に発生する結露が悩みの種となってしまう方が多いのではないでしょうか?

毎朝1つ1つの窓についた水滴をふき取るのは非常に面倒ですよね。しかし結露は放っておくとカビが発生し建物や私たちの身体に悪い影響を及ぼすので何もしない訳にはいかず、非常に厄介な存在です。
今回はそんな結露の対策方法についてご紹介していきます。

そもそもなぜ結露は発生するのか?

結露について知る上で一番重要なキーワードは「温度差」です。空気は人間の目に見えないぐらいの大きさの水分を含んでいますが、空気が含むことができる水分の量は、空気自体の温度により変化します。そしてその量は温度が低くなればなるほど少なくなっていきます。家の中の暖かくて水気を多く含んだ空気が様々な原因によって冷やされたとき、空気はそれまで含んでいた水分を手放してしまいます。その水分が壁や窓にくっつくことを、私たちは結露と呼んでいるのです。

結露を防止するには?

では、その結露の対策はどのように行えばいいのでしょうか。先ほどもご説明したように結露は空気が冷やされることによって発生します。ですので結露対策の基本的な方針は

  • ①家を冷やさない
  • ②空気中の水分の量を減らす

となります。この方針を踏まえて、具体的な結露対策の方法をご紹介していきます。

空気中の水分を増やす暖房器具の使い方に注意する

開放型のストーブ

冬に使われる暖房器具の中には空気中の水分の量をグッと増やしてしまうものがあります。それは開放型の石油ストーブです。灯油やガスを燃やすと大量の水が発生します。1ℓの石油を燃やすと、1.13ℓの水分が発生するといわれています。暖められて水気を多く含んだ空気が、建物の中に充満されるので結露が非常におこりやすくなっているのです。

ストーブとやかん

また、加湿の為に開放型ストーブの上にヤカンを置く光景は馴染みが深いと思います。しかし実は先ほどご説明したようにストーブ自体が多量の水分を発しているので、加湿を行う必要はありません。行き過ぎた加湿は室内の湿度をグンと上げ、結露の原因となるのでヤカンの仕様は控えたほうがいいでしょう。

エアコン

エアコンはストーブと違い空気中の水分を外に出す働きがあります。ですのでエアコンを使用する事自体が結露対策と言えるでしょう。しかし、エアコン単体では、今度は空気の湿度を下げすぎてしまう可能性があるので加湿器を設置するなど何かしらの湿度対策も同時に行う必要があります。

湿度を上げすぎないようにするには?

室内の湿度は40~60%が目安目安では、それくらいになる様に調整をしましょう。他に室内の湿度が上がる要因として考えられるのは

  • 観葉植物
  • 洗濯物
  • 浴室の水気

などです。

換気を行う

湿度が上がりすぎているようなら換気をして湿度を調整しましょう。開放型のストーブを使用しているのであれば燃焼時の有害物質も外に出す必要があるのでマメに行うようにしましょう。

換気は、窓や換気口、建物に備え付けの換気システムの他に、キッチンや浴室の換気扇を動かすのもいいでしょう。エアコンを使用している場合でも、長時間部屋を閉じたままにしていると部屋全体がホコリっぽくなってしまうので、換気自体は定期的に行った方がいいでしょう。

ワンルームほどの空間であるならば、5分程度の換気で室内のすべての空気の入れ替えができるようです。

室内に冷たい空気がたまる場所を作らないようにする

押し入れと結露

冷たい空気は室内の下の方にたまりやすく、壁際に置いた家具の裏側の空気などは暖房では温まりにくく、室内の暖かい空気と触れることで結露が発生しやすい場所です。

同様に押し入れの奥も熱が届かず温まりにくく、布団自体が水分を多く含んでいるというのもあり小さな結露ができやすく、カビが発生しやすいので注意が必要です。

調湿材・吸湿材を使用する

新聞紙

室内の冷たい空気がたまる場所をできるだけ減らし、結露が発生しない環境を作ることが先決ですが、どうにもできない場合もあると思いますので、そういったときは湿気取り、乾燥剤、調湿材を使いましょう。

これらは使い捨てのものもあれば湿気の吸放湿の両方を行い、繰り返し利用できるものもあります。また、古新聞を使うというやり方もあります。ただし、いずれも吸い取れる湿気には限界があるので、あくまでも補助的なツールとして使うものだと思っておいた方がいいでしょう。

結露対策が難しい場合も

中には湿気をなくすのが難しい場合もあります。例えば窓はカーテンを使用することが多いと思いますが、先ほどもご紹介したように窓とカーテンの間に湿気が入り込むと結露の原因となります。

とは言っても寒さ対策であるカーテンを取り除くのも難しいと思います。結露防止のための窓用ヒーターなどもありますが、その窓の結露は防げても別の場所で結露が発生する可能性はあります。

雨戸がある場合はある程度発生を抑えることができるので是非活用しましょう。また、いっその事とらえ方を転換して「窓で結露することで押し入れの布団などで結露が発生するのを防いでいる」と思うようにするのも手かもしれません。

まとめ

湿度は上げすぎても下げすぎてもデメリットがあるので現在の湿度が適切か、マメにチェックするようにしましょう。住まいや身体の健康に繋がると同時に、掃除にかかる手間や労力を減らすことにもなります。少し意識を変えるだけでも大幅な効果を得ることができると思いますので是非試してみてください。

さいごに・・・もうひとつの結露対策

内窓

結露対策には「部屋そのものの断熱性能を高くする」というアプローチもあります。例えば、室内の熱の約半分が逃げていくと言われている窓に「内窓」を取り付ければ、2つの窓の間にできる空気の層が「断熱」の役割を果たし、外気の冷たさが伝わりにくくなるので結露を軽減することができます。

また、壁や床下や天井に断熱材を充填させることで更に断熱性能をあげることができ、壁の表面に発生するような結露を抑えることができます。

その他にも室内の温度差が少なくなる、暖房効率が良くなるなどのメリットもあるので、本格的に快適な空間をリフォームで作りたいと思われている方はこちらの方法も検討してみてはいかがでしょうか。