気流止め|断熱リフォームの最重要ポイント|断熱リフォームの匠

コラム

2018.06.04 / 2021.07.02

建物・暮らしの知識断熱リフォーム

気流止め|断熱リフォームの最重要ポイント

気流止め

WRITER

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木村 健人

環境省認定うちエコ診断士

断熱事業立ち上げメンバーとして、断熱工事等の社内標準化に携わる。断熱調査、工事を経験した後、現在はウェブサイト運営を担当。

”気流止め”ってあまり馴染みのない言葉ですよね。でも、断熱についてちょっと調べた方なら「聞いたことある!」と思うのではないでしょうか。実は断熱リフォームにおいて非常に重要な気流止め。知らない人にも絶対に知ってほしい断熱知識です。ですから今回はそこを深く掘り下げてみていきましょう。

気流止めってなんだ?

読んで字の如く、気流を止めるための作業が気流止めです。でもちょっと待ってください。「建物の気流を止めてしまって良いの!?」というお言葉や、「通気があるのは木材も乾燥して良いことだ!」そんなお話よく聞きますよね。果たしてどっちが正解なのでしょうか?

正直に答えてしまうと、どっちも正解です。「場所による」というのが正解かもしれません。例えば、湿気が溜まりやすい床下は通気を十分とる必要があります。外壁で言えば、通気層を作って湿気が抜けるようにするのも大切です。

でも、今回の気流止めは、上の2つの通気とは全く違う場所で発生している気流を止めてあげる作業です。それがどこか言うと、床下と壁内の通気と壁内と小屋裏(屋根裏)の通気です。気流止めとは、これら壁内の空気の流れを作らないようにする作業のことです。

気流止め

壁内の気流は厄介者!

この壁の内部を流れる気流は実はとても厄介です。良いことは全くありません。では、どんな悪いことが起きるのでしょうか?

・壁内を空気が流れてしまい断熱材の効果が無意味に
・冷たく湿った床下の空気が壁内で結露に
・結露で柱や土台が腐ってしまう

主にこの様な問題が発生してしまいます。

 

実はほとんどの家に気流止めが必要!

気流止めですが、実はほとんどの家で対策がとられていません。

問題ないと断言できるのは「ツーバイフォー住宅」くらいです。ツーバイフォーは床や壁は別々に作られますので通気的に繋がっていることはありません。逆に、一般的な在来木造家屋は構造的に壁内と床下が空間的に繋がっています。構造的に繋がっているということは、決して欠陥住宅ではありません。しかし現代の住宅で断熱や気密を考えると、この空間的な繋がりは致命的なのです。

 

気流止めのメリットを考える

気流が起こることで悪いことが起こるのはお分かりいただけたと思いますが、気流止めをすることで得られるメリットはどんな事があるのでしょうか。

・壁内結露の防止
・断熱性能の向上

主にこの2つが大きなメリットです。むしろこの2つのために気流止めが絶対に必要といえます。

家を長持ちさせるうえで、木材を腐らせない事はとっても大切です。断熱性能の低い家で暮らす健康リスクだって無視できません。それに、気流止めをするだけで断熱性能は格段にアップします。

 

気流止めが必要な箇所を見てみよう!

気流止めが必要なのは、床下と小屋裏の2箇所です。では、実際に写真を見ながら場所を確認してみましょう!

床下の気流止めポイント

こちらは床下から外壁側の基礎方向を撮った写真です。矢印の部分で床下と壁の内部が繋がっており、ここから床下の冷たく湿った空気が壁内へと流れていきます。外壁沿いの壁内には断熱材が入っていることがほとんどですが、断熱材があるからといっても気流止めが必要ない訳ではありません。気流止めがない状態で壁内に断熱材を入れても実は意味が無いのです。

間仕切り壁の気流止め

間仕切り壁(部屋を仕切る壁)の下にも空気の通り道は存在します。間仕切り壁内には断熱材は普通入っていません。ですから間仕切り壁は特に空気が流れやすい構造です。ここはしっかり気流止めを施工する必要があります。

階段室の気流止め

床下から階段を見た写真です。建物によっては階段下が床下と同じ空間として作られることがあります(階段下物入れなどとして使用しない場合)。この場合、階段下は人が立てる大きな空間となっています。

写真では壁に断熱材が施工されていますが、よく見ると断熱材と階段の間に隙間が生じています。このような隙間からも床下の湿った冷たい空気が入っていきます。
また、気流止めとは関係ないですが、階段自体は常に床下の空気に触れていることが分かりますよね。これでは階段付近から断熱性能が失われてしまいかねません。

小屋裏の気流止めポイント

小屋裏の気流止め

小屋裏は、外壁沿いを確認するのは構造的にむずかしいのですが、基本的に床下と同じく隙間があります。床下から直接空気が小屋裏まで流れてくるのがこの写真を見れば分かりますよね。
また、夏場の小屋裏は50℃から60℃近くの温度になります。この気流止めが無いと60℃近い温度の空気が壁内に直接伝わることになります。夏に天井や壁沿いが暑く感じるのはこのためです。

間仕切り壁の気流止め
間仕切り壁も同様です。特に夏場の熱い空気が壁内に伝わり2階のお部屋を不快にさせています。

 

気流止めの方法

気流止めのやり方をご説明します。気流止めの方法は色々とあります。先ほどの隙間を塞げばいいので、気流が流れなくなれば何を使っても大丈夫です。しかし実際には、木材や気密テープ、袋入り断熱材、発泡ウレタンフォームが気流止めの方法として有名です。

ただ、私の経験だと「木材」を使用して床下から気流止めを行うのは困難です。もちろん、壁や床を剥がす大工事なら木材は有効です。しかし、床下に潜って気流止めを施工する訳ですから木材はあまりに施工性が悪いのです。

発泡ウレタンフォームは細い隙間に使う場合とても良いのですが、床下から斜め上方向に向けて吹き付けるのが非常に難しい作業となります。床下空間の特性上、ノズルに土が付着して詰まることもあります。また、冬場は寒さの影響で上手くウレタンフォームが発泡しないため、取扱には慣れが必要です。

そのため、断熱リフォームの匠では気流止めの施工方法に袋入り断熱材を使用しています。では、その施工方法をみていきましょう。


袋入りの断熱材は予めカットしてはめ込み易いサイズにしておきます。これを床下や小屋裏に持っていくのですが、結構嵩張るので圧縮して搬入する必要があります。

床下の気流止め

床下の気流止め

小屋裏の気流止め

小屋裏の気流止め

いずれも隙間が出来ないようにガッチリ袋入りの断熱材を詰め込みます。気流を止めるのが目的ですので、ただ断熱材を詰め込めば良いわけではなく、袋入り断熱材の気密側を山折りにして気流を止めます。

見た目はすごく簡単な作業に見えますが、気流を止めることを考えて施工しないと意味がありません。気流止めに関しては見栄えよりも性能を優先して施工をすべきでしょう。

 

まとめ

気流止めについてご説明しましたがいかがでしたか?とっても地味ですが、気流止めは断熱リフォームにおいて非常に重要な施工です。木造の構造的にほとんどの木造家屋で気流止めが不十分なのは明らかです。

せっかくお家を断熱リフォームしたのに、気流止めが見逃されていたら全く意味がありませんよね。気流止めについてはあまり知られていないですし、住宅のプロでもまだまだ詳しい人は少ないです。

断熱リフォームの匠の床下断熱リフォーム、屋根裏(水平天井)断熱リフォームでは気流止めを必須作業としております。ただ単に断熱材を施工するだけでなく、その断熱材が十分に性能を発揮できるよう、断熱を理解した上で断熱リフォームをさせていただきます。