窓サッシの種類と選び方|アルミ・樹脂・複合サッシの断熱性能と価格を比較|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2025.08.19

内窓・窓リフォーム

窓サッシの種類と選び方|アルミ・樹脂・複合サッシの断熱性能と価格を比較

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廣澤 健一郎

環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。

「サッシの種類ってどれがいいの?」
「そもそも窓とサッシってどう違うの?」

窓リフォームを考え始めたとき、そんな疑問を持つ方は少なくありません。

実は、窓の性能はサッシの構造によって大きく左右されます。特に築年数の経過した住宅の場合、サッシの断熱性能が低いために、快適性に大きなマイナスとなっていることが多いのです。近年では、断熱性や気密性に優れた高性能サッシが数多く登場しており、快適な住まいづくりには欠かせない存在です。

そこでこの記事では、アルミ・樹脂・複合・木製サッシの特徴をわかりやすく解説し、選び方のポイントもご紹介します。

窓のサッシとは?

まずは基本として「サッシ」とは何かを簡単にご説明します。

サッシとは、窓などの「開口部」でガラスをはめ込むフレームの部分のことを指します。壁に接合されたフレーム部分が「枠」(わく)、ガラスの周囲をぐるっと留めている部分が「框」(かまち)と呼ばれ、両方を合わせてサッシと言います。

サッシの部分解説

つまり、窓ガラスが落ちないよう固定していて、さらに窓を開閉する仕組みの部分全般を含めて「サッシ」と呼んでいるわけですね。言い換えれば「窓」というのは、「ガラス」と「サッシ」で構成されたものと言えます。

また、サッシには窓の開閉機能だけでなく、閉めたときに雨風の侵入を防ぐ役割もあります。そのため、日々の快適な暮らしを支える上で、非常に重要なパーツと言えるでしょう。

【ひとこと解説】サッシとは

窓を構成する3部材(枠、框、ガラス)の部材の中で、の2つをあわせてサッシと呼ぶ。

サッシの種類と特徴(素材別)

サッシと一口に言っても、その素材にはいくつかの種類があります。それぞれ断熱性能や耐久性、見た目、価格などに違いがあり、住まいや地域の環境に応じた選択が大切です。

ここでは、住宅用として主に使われている「アルミ」「アルミ樹脂複合」「樹脂」「木製」の4種類のサッシについて、特徴やメリット・デメリットを順に見ていきましょう。

アルミサッシ

今ある日本の住宅で最も普及しているのがアルミサッシです。ある程度年数の経過した住宅においては、そのほぼ全てに設置されていると言っても過言ではありません。

普及した理由は「軽量」「耐久」

アルミは金属の中でも軽量でありながら強度が高く、加工がしやすいという特徴があります。さらに、雨風や紫外線、サビなどによる劣化も少なく、長期的な使用に適した素材です。

長期間の使用が前提となる住宅においては、まさしく「もってこい」だったことから、長年にわたりサッシといえばアルミという程に流通していました。流通量が多いことから価格も安くできた点も、普及の一因と言えるでしょう。

問題点は「熱を伝えやすいこと」

一方で近年になり、断熱性能の低さが問題視されるようになりました。金属全般に言えることですが、アルミは熱を非常によく通します。専門用語では熱伝導率が高いと表現され、暑ければすぐに温度があがり、寒ければ逆にすぐ温度が下がります。

住宅に当てはめた場合、アルミサッシからは夏の気温や日差しによる熱があっという間に室内に伝わってきてしまうことを意味します。夏場の日差しが当たるアルミサッシに触れてみると、驚くほど高温になっていることに心当たりはないでしょうか?

それだけ熱が室内に侵入してきていることを意味しており、窓を締め切っていたとしても室温はぐんぐん上昇してしまいます。

アルミサッシのサーモグラフィー

(写真)真夏のアルミサッシは50℃を超えることもある。
エアコンを付けたときの窓の温度

(写真)エアコンを付けても窓サッシの熱は無くならない。

 
エアコンを使えば室温は下げることができますが、窓からは熱が常に侵入し続けているため、実態としては窓から入り続ける熱をなんとかエアコンで相殺しているような状態といえるのです。

そう考えると、非常に効率の悪いことをしていると感じられませんか?断熱の観点から考えた場合は、断熱化を検討しなければならない箇所と言って良いでしょう。

【ひとこと解説】アルミサッシの特徴

軽量で安価、加工がしやすく高耐久のため普及したが、現在では断熱性能の低さが問題となっている。

アルミ樹脂複合サッシ

アルミ樹脂複合サッシは、アルミサッシの弱点である断熱性能の低さを補うために、室内側の一部に樹脂を組み合わせたタイプです。

ここでいう樹脂とは合成樹脂、具体的には「ポリ塩化ビニル(塩化ビニル樹脂)」で、熱伝導率が低く、外気温の影響を室内に伝えにくい特性があります。これにより、アルミだけのサッシに比べて断熱性が向上します。

アルミ樹脂複合サッシ

(写真左)アルミ樹脂複合サッシの断面図。(写真右)カバー工法のアルミ樹脂複合サッシ。ともにYKK AP

近年の新築住宅ではアルミ樹脂複合サッシが主流になりつつあり、アルミサッシの採用は減少傾向です。また、塩化ビニルは雨風や紫外線にも強く、排水管など長期使用が前提の住宅部材にも使われるほど耐久性に優れています。

注意点は「樹脂がどこに使われているか」

アルミと比較して断熱性能が良いアルミ樹脂複合サッシですが、製品仕様によっては断熱性能に差があります。ポイントは「室内側の枠や框がすべて樹脂かどうか」です。

中には「枠は樹脂でも框はアルミ」という製品もあり、この場合は室内側のアルミ部分から熱が伝わりやすくなります。断熱性を重視するなら、室内側の枠・框ともに樹脂製のものを選ぶ方が望ましいです。

既存住宅では、断熱性能が十分でないタイプのアルミ樹脂複合サッシが使われていることも少なくありません。その場合は、さらなる性能向上のためにリフォームや改修を検討する価値があります。

【ひとこと解説】複合サッシの特徴

アルミと樹脂を組み合わせたサッシで、室内側に樹脂を使用することで断熱性を高めている。

樹脂サッシ

アルミ樹脂複合サッシの発展型といえるのが「樹脂サッシ」です。室外側まで樹脂を使用しているため、アルミ樹脂複合サッシよりもさらに断熱性能が高くなります。

熱を通しにくい素材でサッシ全面が覆われているため、窓全体としての断熱性能を高めることができます。

(写真)樹脂サッシ。サッシ全体が樹脂で構成されている。
二重窓の構造

(写真)内窓のほとんどは樹脂が使われる。

 
一方で、樹脂はアルミに比べて強度が劣るため、枠や框を太くして補強する必要があります。そのため、やや重厚な見た目になる傾向があります。

それでも断熱リフォームを検討する際には、基本的には樹脂サッシを第一候補にするのが望ましいでしょう。性能面での安心感から、快適な住まいづくりには欠かせない選択肢といえます。

【ひとこと解説】樹脂サッシの特徴

サッシ全体を断熱性に優れた樹脂で構成した高性能なサッシで、アルミサッシよりも重くなる。

木製サッシ

木製サッシ

木製サッシは、断熱性能とデザイン性を両立させた製品といえるもので、最近注目が集まっているタイプのサッシです。

木材は熱伝導率が低く、実は窓の構成材として優れた一面を持っています。樹脂サッシが内部に空洞を抱える構造なのに対し、木製サッシは厚みがあるため、より高い断熱性を確保できるのが特徴です。

また、木ならではの質感や意匠性は、こだわりの家づくりを求める方にとって大きな魅力といえるでしょう。

木製サッシの課題

一方で、課題も少なくありません。製造しているメーカーが限られるため価格が高くなりやすく、また木材である以上、定期的なメンテナンスが欠かせません。塗装の塗り直しや部品調整を怠ると、劣化によって断熱性や気密性が低下してしまいます。

初期費用を含め、樹脂サッシやアルミ樹脂複合サッシに比べて負担が大きい点は考慮すべきでしょう。

外来種シロアリの危険性も

木製サッシならではの懸念として、アメリカカンザイシロアリによる食害があります。

このシロアリは輸入家具などに紛れて国内に侵入した外来種で、乾燥した木材でも加害できるのが特徴です。地下から侵入する一般的なシロアリと違い、飛行して木材内部に直接入り込み、内部から食害を進めるため防止が難しい点が厄介です。

アメリカカンザイシロアリ

(写真)アメリカカンザイシロアリの食害を受けた木枠。
アメリカカンザイシロアリの糞

(写真)アメリカカンザイシロアリは特徴的な砂粒状の糞を出す。

 
弊社スタッフの中には、実際に古い木製サッシがアメリカカンザイシロアリに被害を受けていた事例を確認した者もいます。発生地域は限られますが、該当地域で木製サッシを採用する場合には十分な注意が必要です。

【ひとこと解説】木製サッシの特徴

断熱性能・デザイン性で魅力的な一方、コスト・メンテナンスという課題も抱えているサッシ。

サッシごとの断熱性能比較

前章ではサッシの特徴を断熱性能をメインに解説しましたが、ここで実際の断熱性能を比較してみようと思います。サッシとガラスの代表的な組み合わせの性能値一覧を参照してみましょう。

窓の熱貫流率(国立研究開発法人 建築研究所の資料から抜粋)

(表)窓の熱貫流率(国立研究開発法人 建築研究所の資料から抜粋)

こちらは実際の性能値ではなく、国の研究機関である建築研究所が発表している計算プログラムによって算出された推計値ですが、基本的にアルミサッシの性能が低く樹脂サッシの性能が高くなっていることが分かります。

サッシだけでなく、ガラスの部分もより高性能なものが普及しつつありますので、両方の性能が高まれば窓からの熱の出入りを大幅に削減することができます。

なお、上記はあくまでも理論値であり、メーカー各社が製造しているサッシの中には、より性能を高めたものも登場しています。

窓リフォーム商品の熱貫流率(各社発表のデータから抜粋)

(表)窓リフォーム商品の熱貫流率(各社発表のデータから抜粋)

上の表では、わかりやすさを優先して窓の仕様をある程度揃えたものを表記しました。ガラスの厚みや種類、窓種によっても細かく性能値は異なってきますので、あくまでも一例としてお考えください。

もともとが古い窓であれば、アルミ樹脂複合サッシへのリフォームでも2倍以上、樹脂サッシでは3倍以上も性能を向上できることが分かると思います。

窓から逃げる熱量が3分の1に減少するわけですから、そう聞いただけでも冷暖房の効き目が変わってきそうな気がしませんか?

実際にリフォーム後には、「窓辺に立ったときに冷たさを感じなくなった」という方が多くいらっしゃいますので、その効果を実感しやすいのも、窓リフォームの魅力であるわけです。

サッシの種類はどう選べばいい?

基本的にはある程度は断熱性能を高めたほうが良いですので、窓リフォームを実施するのであれば、最低でもアルミ樹脂複合サッシできれば樹脂サッシをオススメします。

とはいえ、性能値がメーカー各社で少しずつ異なり、加えて同じメーカーのものでも窓の種類やガラスの種類が変わるだけでも変動しますので、細かなところは専門の窓業者に相談するのが最も確実です。

また、上の表は窓の交換(カバー工法)によるリフォームの場合を取り上げましたが、改修の方法はカバー工法以外にも内窓の設置(二重窓化)という方法もあります

先ほどの表に内窓も当てはめた場合には、以下のような性能値になります。

窓リフォーム商品の熱貫流率:内窓と合わせて見た場合

(表)窓リフォーム商品の熱貫流率:内窓と合わせて見た場合

二重窓の場合は今ある窓はそのまま残して、室内側に新たに窓を設置しますので、リフォームによって交換するよりも断熱性能を高めることが可能になります。

既存住宅の窓リフォームで選ばれるサッシとは

このようにして見ていくと、樹脂サッシの性能は非常に高いものがありますので、窓からの冷気や熱気を抑えるためには、非常に効果的であるといえるのです。

窓の断熱リフォームを検討する際には、最低でもアルミ樹脂複合サッシ、できれば樹脂サッシの商品で検討した方が良いでしょう。

サッシの選び方【まとめ】

最低でも「アルミ樹脂複合サッシ」、できれば「樹脂サッシ」が理想。

カバー工法か内窓か

カバー工法による交換か、内窓の設置による二重窓化については、使い勝手や費用の面から判断を分けるようにした方が良いと思います。

費用対効果を考えるのであれば、内窓の方に大きなアドバンテージがあります。材料費や工賃、工期のいずれの面でも、内窓の方が小さくできますので、窓の断熱化で考えるのであれば、真っ先に候補としても良いくらい優秀なものなのです。

一方で二重窓には特有の不便さがあります。単純に二重窓ということは2回窓を開けないと外に通じないことになり、例えば掃き出し窓から庭やバルコニーに出入りすることが多い場合には、手間を感じることが多いと言えます。

その場合には断熱性能だけを追い求めるのではなく、使い勝手も考えてカバー工法による交換を考えたほうが良いでしょう。先述のように内窓に比べるとやや性能が劣ることになりますので、性能のことも考慮してできれば樹脂サッシによるリフォーム工事を検討しても良いと思います。

内窓
  •  費用・工期がコンパクトで、断熱効果も高い
  •  ただし出入りの多い掃き出し窓では不便さがある
カバー工法
  •  使い勝手は良いが、性能は内窓にやや劣る
判断基準

コスト重視 : 内窓(二重窓)
使い勝手重視 : カバー工法(できれば樹脂サッシ)

もちろん、製品によってはアルミ樹脂複合サッシでも十分に高い性能を持っていますので、費用の面から検討するのも間違いではありません。

ご自身の追い求める理想のリフォームプランの実現に向けて、積極的に専門の業者に問い合わせをしてみることが良いと思います。

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まとめ

今回は窓のサッシについて解説しました。

サッシは窓の開閉機能だけでなく、断熱性能や住まいの快適性に直結する重要な部分です。かつて主流だったアルミサッシは耐久性に優れる一方、熱を通しやすいため断熱性に課題があり、近年は問題視されるようになっています。

その弱点を補うために登場したのが、樹脂を組み合わせたアルミ樹脂複合サッシや、さらに断熱性能を高めた樹脂サッシです。特に、室内側まで樹脂で構成された樹脂サッシは、夏の暑さや冬の寒さの影響を最小限に抑えられるのが大きな魅力です。

また、木製サッシは高い意匠性と断熱性を備えていますが、コストやメンテナンス、地域によってはアメリカカンザイシロアリ被害のリスクに注意が必要です。

住宅のリフォームでは、窓の使い方やご予算に応じて、「カバー工法による交換」か「内窓による二重化」のいずれかを選ぶことが可能です。

費用対効果や断熱性能のバランスを見ながら、理想の住まいに近づける選択をしていきましょう。

廣澤
廣澤
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首都圏で年間200棟の施工実績
業界初の10年間工事品質保証
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1974年の創業から50年を超える歴史を持ち、住宅メーカーなど1200社以上の住宅のプロとも取引実績を持つ当社。日本でも数少ない断熱リフォーム専門店として、断熱工事に関するあらゆるお困りごとを解消すべく、技術とサービスを磨いて参りました。断熱性能は快適な暮らしを守る影の立役者。私どもはその裏方の仕事に誇りを持ち、期待を超える品質でお応えします。

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