樹脂サッシ(樹脂窓)とは?断熱性能・メリット・費用をリフォームのプロがわかりやすく解説|断熱リフォームの匠
コラム
投稿日 2025.08.21
内窓・窓リフォーム
樹脂サッシ(樹脂窓)とは?断熱性能・メリット・費用をリフォームのプロがわかりやすく解説

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廣澤 健一郎
環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。
「樹脂サッシってなに?」
「樹脂窓はアルミや複合サッシとどう違うの?」
最近、リフォームや新築の情報を調べていて、こんな疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか。これまで日本の住宅ではアルミサッシが主流でしたが、いま注目を集めているのが断熱性に優れた樹脂サッシ(樹脂窓)です。
省エネや結露対策の観点から需要が伸び続けており、新築住宅の多くや窓の断熱リフォームで採用されるケースが増えています。
本記事ではそんな樹脂サッシについて、そもそも樹脂サッシとはどんなものか、アルミや複合サッシとの違い、リフォーム費用や補助金の最新情報をプロの視点でわかりやすく解説します。
目次
樹脂サッシ(樹脂窓)とは?
そもそも「サッシ」とは、窓ガラスをはめ込み、開閉できるようにするフレーム部分のことを指します。壁に固定される「枠」と、ガラスを支える「框(かまち)」を合わせてサッシと呼び、窓の開閉や雨風の侵入を防ぐ役割を担っています。
つまり、私たちが普段「窓」と呼んでいるものは、ガラス+サッシの組み合わせでできているのです。
そして「樹脂サッシ」というのは、このサッシ部分が樹脂で作られているから樹脂サッシと呼ばれるというわけです。ここで言う樹脂とは合成樹脂のことを指しており、言わばプラスチックです。
具体的な種類としてはポリ塩化ビニル(いわゆるPVC、塩ビ)で窓のフレームを形成していることになります。
窓のフレーム部分を樹脂でつくったサッシのことで、アルミより熱を通しにくく断熱性・結露防止に優れている
樹脂サッシが選ばれる理由
窓サッシの材料として見た場合、ポリ塩化ビニルは非常に熱伝導率が低いという特徴を持っています。
従来の主流素材であったアルミと比較すると、熱の通しやすさ(熱伝導率)が1/1000〜1/1300程度と非常に低く、圧倒的に高い断熱性能を発揮します。そのため、冬の冷気や夏の暑さを窓辺で大きく遮り、冷暖房の効率を高めて光熱費の削減にもつながります。
これまでアルミは強度や加工性、耐候性など様々な理由で長い期間にわたり重宝されてきました。ところが近年になってアルミサッシの断熱性能の低さが問題視されるようになったため、別の選択肢として注目を集めているのです。
また、「プラスチック=すぐに劣化しそう」と心配される方もいるかもしれません。しかし、実際には樹脂サッシに使われる塩ビ素材は雨風や紫外線に強く、住宅の排水管(塩ビ管)にも使われるほど耐久性の高い素材です。
結露が発生しにくく、メンテナンス性にも優れていることから、新築住宅や断熱リフォームに広く採用されるようになっています。
アルミよりも圧倒的に断熱性が高く、結露しにくく、省エネ・快適な住まいを実現できるから
樹脂サッシと他のサッシの違いを比較
樹脂サッシ(樹脂窓)は断熱性に優れていることで注目されていますが、実際にアルミサッシ・アルミ樹脂複合サッシ・木製サッシと比べてどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、断熱性・結露・耐久性・デザイン・価格帯といった視点から比較していきます。
樹脂vsアルミサッシ
日本の住宅で最も長く使われてきたのがアルミサッシです。価格が安く、軽量で加工しやすく、耐候性も高いことから普及しました。
しかしアルミは金属のため熱を伝えやすく、断熱性能が低いという弱点があります。その結果、結露が発生しやすく、冷暖房効率も下がる傾向があります。一方の樹脂サッシは、アルミに比べて熱伝導率が約1/1000と非常に低く、圧倒的に高い断熱性能を誇ります。

樹脂vsアルミ樹脂複合サッシ
アルミ樹脂複合サッシは、屋外側をアルミ、室内側を樹脂で構成した「ハイブリッドタイプ」の窓です。アルミの耐久性と樹脂の断熱性を兼ね備え、バランスの良さから築浅住宅で多く採用されています。
ただし、アルミを一部使用しているため、断熱性能や結露防止の効果は樹脂サッシに及びません。

樹脂vs木製サッシ
木製サッシは、自然素材ならではの風合いや高いデザイン性が魅力で、こだわり派の住宅に人気があります。木はアルミよりも熱を伝えにくいため、断熱性能は十分に高いです。
一方で、木材は紫外線や湿気による劣化が避けられないため、定期的な再塗装や点検といったメンテナンスが必須です。長期的にみるとランニングコストがかかりやすい点がデメリットといえるでしょう。

樹脂サッシのリフォーム費用はどれくらい?
古いアルミサッシの窓を樹脂サッシにリフォームする場合、どの程度の費用がかかるのでしょうか。代表例として、リビングなどで多く使われる腰高窓と掃き出し窓を例に挙げると、以下のような費用感になります。
※材料の参考価格は商品カタログからの抜粋(定価)であり、実際の販売価格とは異なる場合がありますのでご了承ください。
断熱性能と費用の関係
基本的には、断熱性能が高いサッシほど価格も高くなる傾向があります。つまり、「アルミサッシ<アルミ樹脂複合サッシ<樹脂サッシ」の順番で価格が上がります。
ただ、アルミ樹脂複合サッシの断熱性能はアルミの約3倍、樹脂サッシはアルミの約4倍近い性能です。窓から出入りする熱量が1/4になると考えると、それだけで冷暖房の効率が大きく改善します。
逆に断熱性能の低いアルミサッシのままでは、「夏:冷房をかけても窓から熱が侵入」「冬:暖房で温めても窓が冷気の通り道に」といった状態になり、まるで冷房と暖房を同時に使っているような非効率な暮らしになってしまいます。
「できるだけ費用を抑えたい」という理由でアルミ樹脂複合サッシを選ぶ方もいますが、実際には補助金制度を利用することで、樹脂サッシの方が結果的にお得になるケースもあります。
断熱性能の低い窓を交換するなら、できるだけ樹脂サッシを選ぶのが長期的に見て賢明です。
内窓(二重窓)の費用対効果
さらに注目すべきは、内窓(二重窓化)の高い費用対効果です。カバー工法と比較して、断熱性能が高い上に、材料費、工賃ともに低コストとなっています。
先ほどの表を見るとカバー工法と内窓では、材料費工賃含めて10万円以上の価格差があります。「断熱性能を向上させたい」という目的であれば、樹脂サッシの内窓が適している、と言えそうです。
- 今ある窓を残したまま、室内側に樹脂サッシの窓をもう一つ設置
- 工事費用が少なく、1ヶ所あたり30分~1時間で施工可能
- 既存窓と内窓の間に空気層ができ、断熱性・防音性が大幅に向上
その一方で、窓が二重になるため「開閉の手間が増える」というデメリットもあります。特に掃き出し窓や形状が特殊な窓では、内窓よりもカバー工法での交換が適しています。
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樹脂サッシリフォームの補助金
窓の断熱リフォームを実施する場合、工事にかかる費用の一部を補助金で賄うことができます。現時点で最も活用するのは主に以下のふたつの制度です。
- 先進的窓リノベ事業
- 子育てグリーン住宅支援事業
先進的窓リノベ事業
先進的窓リノベ事業は、その名称のとおり窓の断熱化に特化した補助制度で、補助の要件としてはかなり高性能な窓を設置することを求められます。
アルミ樹脂複合サッシでは要件を満たせない、あるいは要件を満たせる製品が限られているため、その要求される性能の高さが分かるかと思います。
その分、受け取れる補助金の金額が大きく設定されているため、窓の断熱化をするなら必ずといって良いぐらい活用すべき制度です。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業は窓そのものよりも子育て世帯向けに住宅を快適にすることがメインの目的になっている制度です。リフォーム工事に関しては窓のリフォーム工事の他に、住宅の駆体(壁や床、天井など)の断熱リフォームも対象になります。
他にも防音や防犯の工事、高効率の給湯設備など幅広い補助対象に補助金を交付する仕組みになっています。どちらかというと「広く浅く」補助金を交付する制度ですので、ある程度の断熱性能がある窓のリフォームであれば補助金が受け取れます。
一方で、受け取れる補助金の金額は窓リノベ(先進的窓リノベ事業)ほど大きくはありません。窓リノベと比較すると半分以下の交付額となってくることが多いため、せっかく窓の断熱化をするのでしたら、できれば窓リノベの補助金が受け取れるリフォームプランを検討すべきでしょう。
先ほど前の章で、費用を抑えるためにアルミ樹脂複合サッシを選ぶよりも、できれば樹脂サッシにした方が良いとお伝えした理由がここにあります。
受け取れる補助金の種類が変わることで、逆に費用負担が大きくなってしまうリスクもありますので、工事費用に対してどの程度の補助が受けられるのかは、リフォーム業者に見積もりを取った上で補助金の金額も一緒に尋ねてみるようにした方が良いかと思います。
補助金に詳しい業者であれば、見積書と一緒に補助金の見込み額も計算してくれると思いますので、遠慮せずに聞いて見るようにしてください。
樹脂サッシを選ぶべき人とは
樹脂サッシ(樹脂窓)は、すべての人に必ず必要というわけではありません。
では、どんな住まいやライフスタイルの方に最適なのでしょうか。ここでは、暑さ・寒さ・結露、スキマ風、そして補助金を含めた費用面などを切り口に、樹脂サッシを選ぶべき人の特徴をわかりやすく整理していきます。
1.暑さ・寒さ・結露に悩んでいる人
窓の性能が低いことによる悩みの大半は、窓からの暑さ・寒さ、そして結露ではないかと思います。そのため、窓の性能の向上が第一目的の人にとっては、樹脂サッシを選択する十分な理由となるでしょう。
これらの悩みの解消のためには高い断熱性能が要求されるため、樹脂サッシへのカバー工法による交換工事や、樹脂サッシ製の内窓を設置する工事が推奨されます。
2.単純に「古い窓を新しくしたい」人
もし「結露や断熱はそこまで気にならないが、古くなった窓をリフレッシュしたい」という場合は、アルミ樹脂複合サッシを選んで費用を抑える方法もあります。
ただし、補助金の対象になるかどうかで最終的な費用は変わるため、見積もり時に補助金額も必ず確認しておきましょう。結果的に樹脂サッシの方が安くなるケースもあります。
3.スキマ風や騒音が気になる人
古い窓は経年劣化や枠の歪みで隙間が生じ、スキマ風の原因になります。樹脂サッシやアルミ樹脂複合サッシは気密性を重視した設計になっており、パッキンによって隙間を最小限に抑えられます。
その結果、冷気の侵入を防ぐだけでなく、防音効果も期待できるのが大きなメリットです。
4.アルミサッシの住宅に住んでいる人
現在のサッシがアルミサッシである住宅にお住まいの場合には、樹脂サッシへのリフォームはこれら多くの悩みを一挙に軽減できる手段となり得ます。
例えば築25年~30年以上の住宅にお住まいの場合、ほとんどは既存窓がアルミサッシになっていると思いますので、サッシの交換は十分に検討の価値があるでしょう。
まとめ
今回は樹脂サッシの特徴について、その断熱性や有用性について解説しました。
窓の断熱性能を高めることで、暑さ・寒さ・結露といった悩みを大きく軽減できます。特に樹脂サッシは、断熱性・耐久性ともに優れた選択肢で、補助金制度を活用すれば費用面の負担も抑えられますので、ある意味では理想的な窓のリフォーム工事が可能です。
窓リフォームを検討する際は、使用環境や予算に応じて、樹脂サッシとアルミ樹脂複合サッシ、そして樹脂サッシとしての内窓を賢く使い分けることが大切です。


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