ルーバー窓(ジャロジー窓)は断熱リフォームできる?寒さ・結露を改善する3つの方法|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2025.08.07

内窓・窓リフォーム

ルーバー窓(ジャロジー窓)は断熱リフォームできる?寒さ・結露を改善する3つの方法

WRITER

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廣澤 健一郎

環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。

「ルーバー窓の断熱リフォームがしたいです」
「ジャロジー窓って内窓取り付けできますか?」

お客様の住宅に調査でお伺いすると、一定の割合でルーバー窓(ジャロジー窓)を見かけます。そして話を聞いてみると、皆さんが「この窓が寒い」という同じ悩みに直面していることがよく分かります。

今回はそんなルーバー窓の特徴と断熱性の弱点、そして寒さ・結露を改善するためのリフォーム方法について、具体的に解説していきます。

ルーバー窓(ジャロジー窓)とは?

ルーバー窓

ルーバー窓(ジャロジー窓)とは、上写真のようにハンドルを回すと細長いガラスがカタカナの「ミ」の字のように角度をつけて開き、室内の空気を外に逃がす構造をした窓のことです。

その風通しの良さから、トイレや洗面所、浴室などの水まわりに多く使われてきました。実際、断熱リフォームの匠で調査に伺う住宅でも、築20年〜30年以上の戸建て住宅に設置されているケースをよく見かけます。

日本の高温多湿な気候に対応するため、しっかり換気ができるこの窓はとても重宝されてきた存在です。同じサイズの引き違い窓などと比べても、開口部全体を風通しに活かせる点が優れていたからです。

しかし近年では、そんなジャロジー窓に対してある大きな問題が指摘されるようになっています。

ルーバー窓の弱点は「断熱性能」

ルーバー窓(ジャロジー窓)の最大の弱点は、断熱性と気密性の低さにあります。もともと築年数の古い住宅に多く採用されているという背景もありますが、構造的にスキマ風が入りやすいのが最大の問題です。

小さな板状のガラスを何枚も組み合わせているため、それぞれのガラス同士が密着することが難しく、スキマ風が大量に入ってくる作りとなっています。

さらに、窓枠(サッシ)に使われている素材がアルミ製であることも断熱性を下げる要因です。アルミは熱を伝えやすい性質があるため、冬は冷気が室内に伝わりやすく夏は外の熱気が入り込みやすくなります。

研究者の中には、断熱の観点からは「最低の窓」と断言してしまう人もいる程ですので、それだけジャロジー窓が住宅の快適性を低下させてしまっているとも言えますね。

換気を重視して広まったこの窓ですが、時代とともに住宅に求められる性能が変化する中で、快適性を損なう存在となってしまっているのが現状です。

ルーバー窓を断熱するためのリフォーム方法2選

ルーバー窓(ジャロジー窓)は断熱性・気密性の両方から性能の低くなってしまっていることがおわかりになったかと思います。では、ルーバー窓の断熱性を高めるためにはどのような対策をとれば良いのでしょうか。

断熱リフォームをする場合、大きく分けて2つのやり方があります。

内窓(二重窓)を設置して窓を二重化する

費用対効果の高い対策としてまず検討されるのが、内窓(二重窓)の設置です。これは、既存の窓の室内側にもう一つ窓を取り付けることで、断熱層を確保し、冷気・熱気・スキマ風の侵入を大幅に抑える方法です。

ルーバー窓に内窓を設置できれば、断熱性は一気に向上します。

ルーバー窓に内窓施工前

(写真)ルーバー窓。内窓施工前。

(写真)ルーバー窓。内窓施工後。
ルーバー窓内窓施工前

(写真)ルーバー窓。内窓施工前。
内窓施工後

(写真)ルーバー窓。内窓施工後。

 
欠点としては、窓の造りによっては取付け方法に工夫が必要だったり、そもそも取付けられない場合があることです。ルーバー窓は開閉のためのハンドルが室内に出っ張っていることが多いためです。

実はこのハンドルが内窓の設置に必要な場所に干渉してしまうことが非常に多いのです。その場合は内窓が付けられなくなってしまうため、別の方法を考える必要がでてきます。

ハンドル干渉を回避する方法

①「ふかし枠」を使って内窓の位置をずらす

ふかし枠とは、内窓の取付け幅を確保できない場合に窓枠を室内側へ延長するための専用部材で、内窓の商品体系の中にはほぼ確実に組み込まれているものです。

つまり、ハンドルが当たらない位置まで内窓が室内側へ移動することで回避することができます。

ふかし枠で施工した内窓

(写真)ふかし枠を使用した事例。
ふかし枠使用時と通常時の違い

(写真)通常時(左側)とふかし枠を使用したとき(右側)の違い※YKK APより

 
上写真はジャロジー窓ではないですが、ふかし枠を使用した場合の写真です。最もお手軽な解決方法であると同時に「できれば避けたい」という人も多い対策方法でもあります。

理由としては、室内側へ窓がせり出してくるため、圧迫感があるのではないかと心配される方が多いのが一番の理由だと思います。

実際、壁から窓だけが2cm~4cm、場合によっては7cmほど出っ張ってきますので、かなり室内側にせり出してくることも現実に起こり得ることです。

廣澤
廣澤
さすがに7cm出っ張るとなると、私個人としてもかなり圧迫感を感じるのではないかと思ってしまいますね。
② ハンドル自体を薄型の「円盤型」に交換する

もう一つの方法としては、ハンドル側の出っ張りを短くする方法です。通常の手回しハンドルの代わりに円盤型のハンドルを取り付けることで、ハンドルの出っ張りを短くします。

円盤型のハンドル

(写真)円盤型のハンドル。
窓のハンドル

(写真)通常のハンドル。ハンドルが邪魔をして内窓と干渉する。

 
ただ、これはピッタリと合うハンドルを用意できないこともあるため、必ず採用できるわけではありません。窓サッシのメーカーは年代を経るほど変遷していきますので、古いサッシだと現在では製造されていないメーカーのものも非常に多いのです。

そのため、円盤型のハンドルが販売されていないサッシであったり、別のメーカーの円盤型ハンドルが合わない形状であることは決して珍しくありません。

廣澤
廣澤
この方法でも解決できない場合には、さらに別の方法を模索する必要があります。
内窓(二重窓)の利点まとめ
  • 既存の窓を活かして断熱・防音性能を向上できる
  • 工事が非常に簡単で、短時間で施工可能
  • 補助金の対象になりやすく、コストを抑えられる
内窓(二重窓)の注意点まとめ
  • ルーバー窓のハンドルと干渉する場合がある
  • ふかし枠を使うと、室内側に出っ張って圧迫感が出ることも
  • 窓の開閉が二重になるため、操作に手間を感じることがある

カバー工法で外窓を交換する

もう一つの有効な方法は、既存のルーバー窓(ジャロジー窓)を「断熱性の高い窓」に取り替えるという選択です。その際に現実的な工法として多く採用されているのが、「カバー工法」と呼ばれるリフォーム方法です。

カバー工法とは?

現在の窓のガラス部分と可動部だけを取り外し、壁に接合された元の枠はそのまま残すリフォーム手法です。その上から、新たな断熱性能の高い枠をかぶせるように設置するため、「カバー工法」と呼ばれています。新しい窓枠を取り付けたら、Low-E複層ガラスなどの高断熱窓ガラスを組み込んで完成となります。
※この構造上、窓の開口部は従来よりもやや小さくなります。

ルーバー窓

(写真)カバー工法施工前のルーバー窓。
カバー工法施工後

(写真)カバー工法での施工後。

 
この方法の大きな利点は、壁を壊さずにリフォームが可能な点です。従来の窓交換のように外壁を壊す必要がないため、工事期間は1箇所あたり半日〜1日で完了することがほとんどで、結果として費用や手間を最小限に抑えることができます。

一方で、カバー工法が使えないケースも存在します。特に注意が必要なのが、防火地域・準防火地域に指定されているエリアです。

これらの地域では、窓やドアなどの開口部に「防火設備」の設置が義務付けられていますが、現時点で住宅用として流通しているカバー工法製品の多くが、防火認定を取得していないという制限があるのです。

カバー工法の利点まとめ
  • 壁を壊さずにリフォームできる
  • 窓の開き方そのものを変更することも可能
  • 内窓のような取付制限がほぼない
カバー工法の注意点まとめ
  • 防火・準防火地域では適用できない場合がある
  • 窓サイズがやや小さくなる(開口面積が縮小)
  • 外観やデザインの変化を伴うケースもある

実例紹介

窓をカバー工法によって改修した施工事例をいくつかご紹介します。

施工前

(写真)施工前。
施工後

(写真)施工後。

 
洗面所のジャロジー窓をカバー工法によって改修した写真です。

施工前

(写真)施工前。
施工後

(写真)施工後。

 
トイレのジャロジー窓をカバー工法によって改修しました。

先述のように、ジャロジー窓は水回りの換気を目的として設置されている事例が多いため、必然的にカバー工法による工事もそのような場所が多い傾向になるわけですね。

費用の目安

カバー工法による交換費用

10万円~20万円程度/1箇所あたり

カバー工法の費用目安としては、1ヶ所あたりで見ると概ね10万円~20万円程度がかかってきます。ジャロジー窓は比較的小さい窓であることが多いため、1ヶ所あたりの金額で見ると、居室の窓をカバー工法で工事するよりは費用が小さく抑えられます。

換気を頻繁にする水回りだからこそ、内窓よりもカバー工法の方が使い勝手は良くなると思いますので、積極的に導入を検討しても良いと思います。

まとめ

今回はルーバー窓(ジャロジー窓)の特徴と断熱化の方法について解説しました。

高温多湿という日本の風土に合っていたため、換気を目的として普及したジャロジー窓ですが、時代の変化とともに窓からの冷気・熱気・スキマ風が問題視されるようになりました。

ジャロジー窓を断熱化するには二重窓にすることで性能を底上げするか、カバー工法により取替えてしまう方法が現実的です。

普段からどの程度ジャロジー窓を開け閉めしているかによって、二重窓では手間を感じるようでしたらカバー工法で取替えてしまうことをオススメします。

ただし、内窓・カバー工法ともにジャロジー窓の改修をする際に制限がかかる場合もありますので、希望に沿って窓のリフォームが可能かどうか、専門業者に相談してリフォームプランを一緒に考えてもらうようにしましょう。

断熱工事に精通している業者でしたら、窓ごとに適切なリフォーム方法を提案してくれることでしょう。この記事が少しでも、皆さまの暑い/寒いといった悩みを解消する手助けになれば幸いです。

廣澤
廣澤
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1974年の創業から50年を超える歴史を持ち、住宅メーカーなど1200社以上の住宅のプロとも取引実績を持つ当社。日本でも数少ない断熱リフォーム専門店として、断熱工事に関するあらゆるお困りごとを解消すべく、技術とサービスを磨いて参りました。断熱性能は快適な暮らしを守る影の立役者。私どもはその裏方の仕事に誇りを持ち、期待を超える品質でお応えします。

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