マンションの窓リフォームに補助金は使える?内窓・サッシ交換・二重窓への活用法を解説|断熱リフォームの匠
コラム
投稿日 2025.07.22
内窓・窓リフォーム補助金・減税・節約
マンションの窓リフォームに補助金は使える?内窓・サッシ交換・二重窓への活用法を解説

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廣澤 健一郎
環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。
「マンションの窓リフォームに補助金は使える?」
「内窓に補助金が出ると聞いたけど、どれくらい出るの?」
最近こうした声をよく耳にします。というのも、窓の断熱化はマンションの快適性を大きく左右するからです。ただ、リフォームには費用がかかるため、二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで頼りになるのが、国や自治体の補助金制度です。この記事では、マンションの窓リフォームに使える補助金と、その活用時の注意点を分かりやすく解説します。
目次
マンションの窓リフォームに補助金は使える?
結論から言いますと、マンションの窓リフォームにも補助金が活用できます。ただし、申請する補助金の交付要件をしっかりと理解する必要があります。
要件はそれぞれの補助金ごとに微妙な違いがあることが多く、工事する窓の種類やサイズ、工事する規模によっては補助金が受け取れないこともあるので注意が必要です。
【注意】そもそも窓リフォームできるか確認を
内窓を設置して二重窓化する工事は比較的簡単にできますが、窓そのものを交換する場合には、マンション特有の制約がある場合が非常に多いです。その点を理解しておくと、ご自身の住まいの窓リフォームの方向性が見えてきます。
ポイントは、「専有部」と「共有部」というマンションに住んでいる以上は必ず耳にするであろう言葉です。
共有部:住民全員で共有・管理する部分
専有部は、自分で自由にできる部分のことですね。居住スペース内は近隣に迷惑をかけない限りは、自由にリフォーム等をすることができます。
一方で共有部は、自分で自由にできる部分ではありません。エントランスホールやエレベーター、廊下などの箇所ですが、実は各住戸の窓やドアも共有部にあたります。窓や玄関ドアそのものを好き勝手にリフォームすることは、実は多くの場合は許されていないのです。
専有部 | 共有部 |
---|---|
・床 ・壁 ・天井 ・配線 |
・窓 ・玄関ドア(外側) ・廊下 ・エレベーター |
マンションの場合は、リフォームをする場合のルールが管理規約に書かれており、その多くは管理組合に申請を出して承認をもらう必要があると定められています。
承認の条件として「マンション全体の景観を損ねないようにすること」という旨が付加されている場合も多いです。そのため、ドアの形状や色を大幅に変更する計画だと、許可が得られないこともあるようですね。
窓やドアを入れ替えるリフォームをする場合には、事前にどのような手続きが必要なのか、どういう内容ならリフォームが可能なのか、事前に管理組合から情報を聞き取りしておくことをオススメします。このように、共有部のリフォームには管理組合の承認が得られることが前提となります。


その一方で、専有部であればリフォームの届け出をすれば問題ないことがほとんどですので、結果としてマンションの窓リフォームで大半を占めるのは「内窓の設置」ということになります。
専有部の工事となる「内窓の設置」は、マンションでも設置可能。一方、「窓自体を取り替える工事」は、窓が共有部であるため勝手に工事することができない。
【工事別】マンションの窓リフォームで補助金が使えるケース・使えないケース
マンションの窓リフォームとひと口に言っても、工事の内容によって補助金の対象になるかどうかは大きく異なります。この章では、よくある工事別に補助金が使えるケースを分かりやすく整理していきます。
1.内窓(二重窓)の工事をする
今ある窓をそのままに、窓枠の部分に新しい窓を取付けていく内窓は、マンションの窓リフォームにおいて最もメジャーな方法です。内窓を設置する窓枠は「専有部」にあたるため、管理組合への申請・承認(※)は必要ないことがほとんどです。
※マンションの管理規約に、専有部リフォームの場合でも何かしら制限がないかは確認した方が良いでしょう


また、他の改修方法と比較して費用対効果が非常に高く、補助金の恩恵も最大化できる点も、多くの方が内窓の設置を検討する理由ではないかと思います。補助金も受け取れる場合が大半を占めますから、その点でも検討する価値は十分にあるといえるでしょう。
ただし、工事内容によっては補助金が受け取れないこともあるため注意しなければなりません。詳細は後述しますが、補助金の制度上、ある程度の工事規模でないと補助金を受け取れないこともあります。
補助金が出ないケース
- 1ヶ所だけ窓を設置する等の小規模な工事
- 一室の窓を一部だけ改修する工事
例えば1ヶ所だけ窓を設置する等の小規模な工事の場合、補助金が貰えない場合がでてきます。また、リビングに窓が2ヶ所あるならば、2ヶ所とも改修をしないと要件を満たさない補助金制度もあります。
費用負担を少なくするためとはいえ工事箇所を極端に少なくすると、かえって損をすることになりかねないため、活用する予定の補助金の要件には注意を払う必要があります。

一番確実なのは、工事をお願いする窓業者に補助金の手続き等もまとめてお願いすることです。断熱の工事に精通している業者であれば、補助金の手続きにも慣れていますので、補助金を活用した工事をしたい旨をしっかりと伝えましょう。
2.ガラスの交換
内窓の次に検討されることが多いのが、既存のガラスを断熱性能の高いものに交換する工事です。
古い窓は1枚板の単板ガラスで構成されていることが多く、断熱性の低さが以前から問題視されています。高性能ガラスに交換することで、窓からの熱の出入りを抑え、省エネ効果が期待できます。
ガラス交換の注意点
ただし、補助金を活用するにはいくつか注意が必要です。まず、ガラスの交換は「共有部」のリフォームにあたるため、管理組合への申請が必要になります。
さらに大きな注意点は、性能が向上するのはガラス部分だけだということです。ガラスを交換しても、元のサッシ(フレーム)はそのまま使うことがほとんどです。多くの既存サッシはアルミ製で断熱性能が低く、そこから熱が逃げてしまいます。
せっかくガラスを高性能なものに替えても、サッシからの熱損失が多ければ、全体としての性能アップは限定的です。この点は、補助金の対象としても不利に働きます。
補助金が出ないケース
たとえば先進的窓リノベ事業の補助金では、窓全体を高い断熱性能にすることが求められており、ガラス交換だけでは要件を満たさないケースがあります。高性能ガラスにしても、古いサッシが足を引っ張り、窓全体として求められる基準に届かないというわけです。

こうした点から、ガラス交換は以下のような事情がある場合に検討するとよいでしょう。
- 内窓(二重窓)の開け閉めが面倒に感じる
- 窓の形状が特殊で、他の改修方法が適さない
何も手を加えないよりは効果がありますので、状況に応じて他の方法と組み合わせて検討するのがおすすめです。
3.窓の交換(カバー工法)
3つ目の方法は、古い窓を取り外して新しい断熱窓に交換するリフォームです。よく使われるのがカバー工法と呼ばれる工法です。これは既存の窓枠(フレーム)を残したまま、その上から新しい窓枠をかぶせて施工する方法で、外壁を壊さずに工事が可能です。
断熱性の高い窓枠とガラスを組み合わせて設置するため、サッシも含めて断熱性能を大きく向上させることができます。ただし、カバー工法も「共有部」のリフォームに該当するため、管理組合への申請・承認が必要です。
補助金が出ないケース
補助金の制度によっては、内窓の設置と同様に一定以上の工事規模が求められることがあります。1ヶ所だけの交換では補助金の対象外となることもあるため、利用予定の制度の条件を事前に確認しましょう。
費用は内窓設置やガラス交換に比べて高くなる傾向があるため、補助金の対象になる工事内容にすることがとても重要です。
窓の形状や色にも注意
もう一点、注意すべきなのが「窓の形状や枠の色」です。マンションでは景観保持のため、管理規約によって窓枠の色や仕様に制限があるケースがあります。既存の枠と色を合わせるよう求められることも多く、好みの色に自由に変更するのは難しいのが現実です。

マンションで活用できる補助金制度
マンションで窓の断熱リフォームを行う際に活用できる補助金制度は、国のものから自治体独自のものまで複数あります。ここでは代表的な補助金制度を取り上げ、それぞれの特徴や適用条件を解説していきます。
先進的窓リノベ事業
国の制度「先進的窓リノベ事業(窓リノベ)」は、その名称のとおり窓の断熱化に特化した助成制度です。
高性能な性能へ改修することで補助金が受け取れ、何と言ってもその補助額の大きさが最大の特徴と言って良いでしょう。
窓リノベが登場する以前の補助制度では、工事費用の1割~2割程度が還元されれば良い方でしたが、窓リノベは4割から大きいときには5割近くが補助金で還ってきます。
窓の断熱改修を検討しているのであれば、必ず申請できる工事内容にした方が良いと言っても過言ではありません。
子育てグリーン住宅支援事業
「子育てグリーン住宅支援事業」は、先進的窓リノベ事業と同じく国の助成制度ですが、補助の要件が異なっているものです。
名称にもあるようにメインは子育て世帯への支援を目的としており、新築住宅の購入などに補助をしていますが、リフォーム工事にも活用が可能です。
当補助金の場合は住宅の断熱リフォーム全般を範囲としており、窓の断熱化以外にも、床下や天井、壁やお風呂(断熱浴槽)のリフォームにも補助金が交付される制度になっています。

窓の改修に関しても窓リノベほど高性能を求められるわけではありませんので、ある程度の性能が確保できれば申請が可能になります。
子育てグリーン住宅支援事業の注意点
マンションの断熱リフォームに活用する際には注意が必要です。
交付申請の条件として、窓の改修と合わせて躯体の断熱改修、つまり床や天井、壁の断熱改修を合わせて実施しないと補助金の対象にならないように条件が設定されているのです。
ところがマンションにおいて躯体の断熱改修というのは、いわゆる大規模リフォーム工事となりますので、工期や費用が大幅に増大することになります。補助金を受けられると言っても、そもそもの工事規模がはるかに大きくなってしまうため、費用の面から決断が難しくなる可能性が出てきてしまうのです。

既存住宅の断熱リフォーム支援事業
上記の2種類が多くのwebサイトで紹介されている一方で、他の助成制度もあります。
それが既存住宅の断熱リフォーム支援事業で、こちらは「住宅の断熱化」そのものを目的とする助成制度になっています。
以前であれば断熱リフォームの助成制度といえば最も有力な制度でしたが、補助金の額がより有利な「窓リノベ」の方が活用しやすい状態となっており、活用する機会は減少傾向となっています。
とはいえ、住宅の構造や改修の規模によっては補助金の額が逆転することもありますので、全く使う機会がないとは言えません。
実際の工事の規模に応じて、補助制度ごとの見込額を比べてくれる業者なら、最も有利になる補助制度で試算してくれると思いますので、工事をお願いする際には積極的に質問をしてみてください。
各自治体の補助金
実は、各地方自治体で独自の助成制度を設けているところもあります。特に東京都の補助金は非常に還元が大きいため併用がおすすめです。
それに加えて、練馬区や江東区などの区の補助金を合わせて申請することで、費用負担を大幅に減らしながら窓の断熱化を実現することが可能になります。
「窓リノベ」と「子育てグリーン」ははじめから業者が申請することとなっている制度ですが、それ以外の補助金は対応していないという業者さんがほとんどです。
ご自身での申請手続きするのは面倒だとお考えの際には、補助金の申請手続きまでまとめてお任せできる業者さんを探すようにしてみてください。

窓リフォームの補助金シミュレーション
ここ最近で、断熱リフォームの匠でマンションの内窓リフォームを実施した実例をもとに、どの程度の補助金が受け取れるのかを見てみましょう。
内窓施工数 | 費用合計 |
---|---|
4窓 (5窓のうち) |
費用:約64万円 補助金(国):約18万円 補助金(都):約17万円 補助金(市区):約6万円 実質負担額:約23万円 活用補助金: 国 東京都 江東区 |
内窓施工数 | 費用合計 |
---|---|
4窓 (全窓) |
費用:約56万円 補助金(国):約25万円 補助金(都):約16万円 補助金(市区):約5万円 実質負担額:約10万円 活用補助金: 国 東京都 北区 |
内窓施工数 | 費用合計 |
---|---|
6窓 (全窓) |
費用:約68万円 補助金(国):約26万円 補助金(都):約20万円 補助金(市区):約9万円 実質負担額:約13万円 活用補助金: 国 東京都 文京区 |
内窓施工数 | 費用合計 |
---|---|
4窓 (全窓) |
費用:約65万円 補助金(国):約21万円 補助金(都):約19万円 補助金(市区):約6万円 実質負担額:約19万円 活用補助金: 国 東京都 練馬区 |
内窓施工数 | 費用合計 |
---|---|
5窓 (全窓) |
費用:約53万円 補助金(国):約18万円 補助金(都):約16万円 実質負担額:約19万円 活用補助金: 国 東京都 |
掲載した事例はすべて内窓の設置工事となっており、その人気ぶりがうかがえます。こうしてみると、同じ窓の数の工事であっても、値段に違いがあることが読み取れると思いますね。
これは窓の大きさにもよりますので、マンションによって窓のサイズも様々あり、基本的には大きな窓が多いほど、材料費は高くなります。
また、角部屋の方が窓の数が多い傾向にありますが、それでも補助金が活用できれば費用負担を最小限に抑えられることもよく分かると思います。
補助金に関する注意点
さて、ここまでお読みの方の中には、補助金を活用した断熱リフォームを本格的に検討されている方もいらっしゃるかと思います。ここでは、補助金を利用するうえで注意すべきポイントをいくつかの観点からご紹介します。
申請には期限と予算枠がある
補助金制度には、必ず申請期限と予算上限が設けられています。期限内であっても、予算が上限に達すればその時点で受付は終了となるため、実質的には早い者勝ちの制度です。
とくに人気の高い補助金制度では、期限を待たずに締め切られることも珍しくありません。工事のタイミングを検討する際には、申請スケジュールにも十分な注意が必要です。
来年度も同じ条件で補助金があるとは限らない
補助金制度は毎年見直しが行われ、補助額や条件が変更されることがあります。中には補助金額が減額されたり、制度自体が終了してしまうケースも過去に実際ありました。
「いつかは補助金を使って」と考えているうちに、制度が縮小されたり、そもそも補助の対象から外れてしまうこともあり得ます。
もちろん逆に、補助額が増える可能性もゼロではありませんが、不確定な要素に期待するよりも「今使える制度を活かす」ことが現実的と言えるでしょう。
大規模改修との兼ね合いも要チェック
マンションでは、管理組合の積立金を使った大規模修繕において窓の交換が計画されている場合があります。そのようなケースでは、個人で先にリフォームを行ってしまうと無駄になることもあるため、工事の予定を見極めることが重要です。
一方で、大規模改修に窓の断熱化が含まれていない場合は、自己負担でリフォームを行う価値も十分にあります。快適な住環境の実現のためには、補助金制度だけでなく、住んでいるマンションの状況もあわせて総合的に判断することが大切です。
まとめ
マンションの窓リフォームでも、内容によっては補助金を活用できます。内窓の設置が最も一般的ですが、工事内容や補助制度ごとの条件をきちんと確認することが大切です。
また、管理規約や申請期限など、見落としがちなポイントにも注意が必要です。タイミングを逃さず、無理のない範囲で快適な住まいづくりを進めていけるといいですね。


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