マンションのサッシは交換できる?断熱・不具合に悩む人向けに代替案も紹介|断熱リフォームの匠
コラム
投稿日 2025.10.14
内窓・窓リフォーム
マンションのサッシは交換できる?断熱・不具合に悩む人向けに代替案も紹介

WRITER

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廣澤 健一郎
環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。
「マンションのサッシを交換したいです!」
「窓を交換したいけど、マンションではどうすればいいのかな?」
サッシの老朽化による隙間風や結露、断熱性の低下、開閉のしづらさなど、窓まわりの不便さを感じると、「新しいサッシに取り替えたい」と考えるのは自然なことです。
しかし、マンションの場合は戸建てと違い、建物の構造や所有区分の関係で、個人の判断でサッシ交換を行うことは基本的にできません。
そこで今回は、マンションのサッシを交換したいときにはどうすればよいのか?また、交換が難しい場合には、どのような対策が現実的なのか?について解説していきます。
目次
マンションのサッシ交換はできる?
まず結論からお伝えすると、マンションのサッシ交換は基本的に難しいケースが多いです。その理由は、マンションという建物の性質・構造に深く関係しています。
マンションというのは戸建て住宅と違い、「専有部」と「共用部」に分かれて構成されています。マンションで自由にリフォームができるのは、原則として専有部のみです。たとえば、自分の部屋の中やトイレ、浴室、キッチンといった部分は専有部にあたるため、個人の判断でリフォームが可能です。
一方で、エントランスや廊下、階段などは「共用部」と呼ばれ、自由にリフォームすることができません。そして、実は「窓」も共用部に含まれているという点が、少し意外に思われる方も多いでしょう。
窓というのは一見すると、それぞれの部屋に属する個人の所有物のように思われますよね。しかし建物全体の構造や外観と一体になっている以上、窓は「共用部」に分類されるのが一般的です。
共用部というのはその名の通り、マンションに住んでいる全員が共同で所有している部分ということになりますので、勝手に交換したり、手を加えたりすることは基本的には認められていないのです。
結果として、サッシのように共用部に該当する窓のリフォームは、個人の判断だけで進めることができず、難易度が高いという結論になるわけですね。
とはいえ、「絶対にできない」というわけではありません。マンションそれぞれの事情はあるものの、一定の条件を満たせばマンションでもサッシの交換リフォームが可能になるケースが存在します。次章では、どのような場合にサッシ交換が可能になるのか、そして注意すべきポイントを具体的に見ていきましょう。
窓は共有部なので、マンションのサッシ交換、窓交換は現実的に難しい。
サッシ交換ができるケースと注意点
マンションではサッシが共用部にあたるため、原則として個人の判断で交換することはできません。
しかし、管理組合の承認を得られた場合や、大規模修繕工事のタイミングによっては、サッシ交換が認められるケースもあります。
管理組合の許可が得られた場合
最も一般的なのが、管理組合に正式な申請を行い、承認を得てから交換する方法です。多くのマンションでは、管理規約や細則に「共用部を変更する際は事前に承認が必要」と定められています。そのため、まずは管理組合に「サッシ交換を行いたい」と相談することが第一歩です。
制約・条件には注意
マンションでは景観を守るため、窓の形状や色に細かな指定が設けられている場合があります。外観の統一感を損なわないためです。そのため、サッシ交換が許可されても自由に選べるわけではなく、あくまで決められた範囲内での選択となります。
交換を希望する際は、まず管理組合に相談し、「工事が可能か」「条件や制約があるか」を確認することが重要です。先にリフォーム業者とプランを立ててしまうと、管理組合の基準に合わず、計画が無駄になる恐れがあります。再設計となれば時間も費用も余計にかかります。

大規模修繕のタイミングを狙う
もう一つの方法として、大規模修繕工事の際にサッシを交換するケースもあります。ただし、サッシ交換が行われるのは外壁や防水などの一般的な修繕周期(10〜15年)ではなく、築30年〜45年ほど経過した「3回目の大規模修繕」が目安です(国土交通省ガイドラインより)。
この時期になると、サッシや玄関扉などの開口部の劣化が進行し、気密性や断熱性の低下が問題化しやすくなります。
ただし、サッシ交換を大規模修繕に含めるかどうかは、各マンションの修繕計画や管理組合の判断に委ねられます。そのため、「自分のマンションではいつ頃サッシ交換が計画されているのか」を、事前に理事会や管理会社に確認しておくことをおすすめします。
サッシ交換に適した「カバー工法」とは?
マンションでサッシの交換が行われる際に、現在最も採用されている工法は「カバー工法」です。これは、既存の窓枠の一部を残したまま新しいサッシを上からかぶせて取り付ける施工方法で、建物の構造体に直接手を加えずに済むため、共用部での工事としても採用しやすいのが特徴です。
工法の仕組みと利点
カバー工法は、壁に接合されている既存の窓枠部分はそのまま残し、そこに新しい窓枠を上からかぶせるように取り付けていく方式です。
古い窓ガラスは取り外しますが、壁に埋めこまれた枠までは解体しないため、建物の構造部分に手を加えずに済むのが特徴です。そしてその新しい枠に断熱性能の高いガラスをはめ込むことで、窓全体の断熱性を高める効果が得られます。


カバー工法のメリット
このカバー工法の大きなメリットは、なんといっても「工期の短さ」と「コストの抑制」です。1ヶ所の窓につき、おおむね半日から1日程度で施工が完了するため、住みながらの工事にも適しています。
従来の全面的な窓交換(はつり工法)の場合は、壁に接合された枠も取り外す必要がでてくるため、バルコニーがある窓はともかく、バルコニーに面していない窓の交換には足場設置が必要でした。
個別の住戸だけのために足場を設置することは現実的ではないこともあり、そういった理由からもカバー工法の方がコストパフォーマンスの面で優れています。
対応できない条件
ただし、カバー工法も完全無欠というわけではありません。製品の仕様上、対応できるサイズに限界があり、特に幅の広い大開口の窓などでは施工が難しいケースがあります。
リビングにある窓がワイドタイプだった場合、カバー工法では対応できないこともあるのです。このように、サッシ交換を希望していても、条件によっては難しいと判断されるケースも出てきます。
マンションのサッシ交換が難しい場合の現実的な対処法
実際の現場では、サッシ交換を希望しても管理組合の承認が得られなかったり、申請手続きが煩雑すぎて断念したりするケースが少なくありません。また、窓の形状やサイズによっては、カバー工法の適用が難しいこともあります。
そうした場合の最も現実的な選択肢が、「内窓(二重窓)」の設置です。
内窓(二重窓)とは?
内窓とは、今ある窓の室内側にもうひとつ窓を取り付ける工事のことです。たとえばリビングの掃き出し窓や寝室の腰高窓など、既存のサッシをそのまま残した状態で「室内側」に新たな窓枠を取り付けます。


この工法の最大の利点は、専有部の工事として完結する点です。共用部(既存サッシ)には一切手を加えないため、原則として管理組合の承認を必要としません。(※専有部の工事であっても工事の届け出は必要というマンションもあるため、その点は事前に確認をしておくようにしましょう)
内窓設置のメリット
内窓の設置には多くのメリットがあります。
- 1.高い断熱効果
- 既存窓と内窓の間の空気層が断熱層となり、冬は暖かく、夏は涼しい室内を維持。
- 2.防音・防犯性能の向上
- 二重窓構造で騒音を軽減し、防犯性も向上。
- 3.結露の軽減
- 室内外の温度差が和らぎ、ガラスの結露を抑制。カビ・ダニ対策にも有効。
- 4.短工期・低コスト
- 1ヶ所あたり約30分〜1時間で施工可能。
費用は1窓あたり約8万〜15万円前後で、サッシ交換の半分ほど。
まず、断熱性能の向上という点では、外気の侵入と室内の熱の流出を大きく防ぐ効果があります。さらに、二重窓になることで防音性も高まりますし、結露対策にも効果的です。
施工時間についても非常に短く、1ヶ所あたり30分~1時間程度で設置が完了します。リビングや寝室など複数の窓に設置する場合でも、半日から1日あれば十分に対応可能です。
費用面でも優れており、1ヶ所あたりの平均的な費用はおよそ8万円~15万円程度。これはカバー工法によるサッシ交換と比べて、約半分程度のコストで済む計算になります。
内窓設置のデメリット
内窓の設置にはデメリットもあります。特に次の2点は事前に理解しておくとよいでしょう。
- 1.開閉が二重になる
- ベランダに出る際は外窓と内窓の両方を開け閉めする必要がある。
毎日洗濯物を外に干す方にはやや手間に感じる場面も。 - 2.窓枠が内側に張り出す
- カーテンレールや家具の配置によっては干渉することがあり、施工前に採寸とレイアウト確認が必要。
内窓を取り付けると、窓の開閉が二重になるため、例えばベランダに出るときには2回窓を開ける必要があります。洗濯物を毎日外に干す方にとっては、やや面倒に感じる場面もあるかもしれません。
それでも、内窓の設置によって得られる断熱性・防音性・結露防止の効果を考えれば、非常に有力な選択肢であることに変わりありません。
補助金を活用すればさらにお得に
現在、国や自治体では窓の断熱リフォームに対して補助金制度が設けられています。代表的なものとして、以下の事業が挙げられます。
- 1.先進的窓リノベ2025(環境省)
- 高性能窓リフォームを対象とした国の大型補助制度。
断熱性能に応じて最大200万円まで補助を受けられる場合があります。 - 2.子育てグリーン住宅支援事業(国土交通省)
- 築1年以上経過した住宅を対象に、内窓設置などの省エネ改修を支援。
- 3.地方自治体の独自補助制度
- 東京都や横浜市など、一部自治体では国の補助と併用できる制度も存在します。
上記のいずれかの制度を活用し、一定の条件を満たせば工事費の一部が助成される可能性があります。
これらの補助金は国が主体となって実施していますが、地方自治体が独自に制度を設けている場合もあります。リフォームを検討する際には、どの程度の補助金が使えるかについても必ず確認しておくようにしましょう。
最も確実な方法は、こうした補助金の申請までまとめて対応してくれる業者に依頼することです。経験豊富な業者であれば、必要書類の準備や申請手続きも代行してくれるうえ、どの程度の金額が交付される見込みかも教えてくれるはずです。
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まとめ|マンションでも快適な窓リフォームは可能
マンションのサッシ交換は、共用部にあたるため原則として個人の判断で実施することはできません。
ただし、管理組合の承認を得ることでリフォームが可能になるケースもあります。その際には、建物の景観を損なわないよう形状や色に制約が設けられる点に注意が必要です。
サッシ交換には「カバー工法」が主流ですが、サイズ制限などにより施工できない場合もあります。そのような場合、共用部に手を加えることなく断熱効果を高められる「内窓の設置」が非常に現実的かつ効果的な選択肢となります。
内窓は専有部に設置できるため管理組合の承認を必要とせず、費用・工期の面でも優れている点が魅力です。また、国や自治体の補助金制度を活用すれば、さらに費用を抑えてリフォームを行うことが可能です。
マンションの窓リフォームを検討する際には、それぞれの制約や特性を理解したうえで、最適な方法を選ぶようにしてください。


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