床下断熱と基礎断熱の違いは?それぞれの特徴を理解しよう|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2020.05.23 / 更新日 2021.05.24

建物・暮らしの知識断熱材

床下断熱と基礎断熱の違いは?それぞれの特徴を理解しよう

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

「床下断熱と基礎断熱の違いがよく分かりません。床下断熱と基礎断熱のそれぞれの特徴について詳しく知りたいです。」

このような疑問にお答えします。このページを読んで頂くと

  • 床下断熱と基礎断熱の仕組み
  • 床下断熱と基礎断熱のメリット・デメリット

これらについて知ることができます。

床下断熱と基礎断熱の仕組み

まずは床下断熱と基礎断熱のそれぞれの仕組みから見ていきましょう。

床下断熱

床下断熱は、床組みである大引きや根太の間に充填されている断熱材の事をいいます。床下空間は通気口や基礎パッキンなどを介して外とつながっています。

この構造は床下の湿度を調整するためになくてはならない仕組みですが、冬場は外の冷気が床越しに伝わってきてしまう原因にもなります。断熱材を充填させることで、床下の状態を良好に保ちつつ、外の寒さが室内に伝わってこないようにすることができます。

床下断熱には

  • グラスウール(ガラス繊維)
  • 押出法ポリスチレンフォーム
  • 現場発泡ウレタン

などが採用されています。

基礎断熱

基礎断熱は、床組みではなく基礎に直接断熱材を貼り付けているのが特徴です。

基礎断熱には

  • 内基礎断熱
  • 外基礎断熱

の2種類が存在します。内基礎断熱は基礎の床下側、外基礎断熱は基礎の外周側に設置されている断熱材です。

基礎断熱の素材には

  • 押出法ポリスチレンフォーム
  • 現場発泡ウレタン

などが採用されます。

床下断熱と基礎断熱のメリット・デメリット

床下全体の施工後

それぞれの大まかな特徴を知ったところで、それぞれの断熱材のメリット・デメリットを見ていきましょう。

床下断熱のメリット・デメリット

床下断熱のメリットとしては

  • 取り扱う業者が多い
  • 基礎断熱に比べてコストが低い
  • 新築時以外もリフォームでの施工が可能

などがあります。

現在日本の住宅の大半を占めるのは「床下断熱」です。様々な業者が様々な工法を取り扱っていますので、より多くの比較検討を行うことができます。また、基礎断熱は建物自体の構造も特殊であるため、既存の住宅であってもリフォームにより断熱材を新しくすることが可能です。

一方デメリットとしては

  • 浴室などで断熱性能を確保しにくい
  • 夏場に床下で結露が起きやすい

などがあります。

床の下側に充填させる断熱材は配管周りなど、特殊な場所では断熱材の性能が落ちやすい傾向にあり、そこから熱が漏れていってしまう可能性があります。特にユニットバスが入っている浴室下は断熱材の施工が難しい場所で、リフォームで断熱材を後から充填させる場合も「浴室下は施工範囲外である」としている業者もあります。

また、夏場には外の暑い空気がひんやりとした床下に入り込むのでそこで結露が起きてしまいます。床下の環境によっては木材のカビや腐朽などの原因にもなりますので別途対策が必要な場合もあります。

基礎断熱のメリット・デメリット

基礎断熱のメリットとしては

  • 建物全体を覆うのでしっかりと断熱できる
  • 床下エアコンが設置できる

などがあります。

基礎断熱の家には通気口や基礎パッキンなどの構造を採用せず(床下の湿度を調整するために断熱換気口や換気ガラリといった設備は採用されています)、外気が勝手に入り込まないようにしているため床下で結露が起きる心配がありません。また、床下断熱では難しかった浴室などの断熱性能も容易に確保することができます。

基礎断熱の物件では床下にエアコンを設置できるようになるので、建物全体を床下から温められるのもメリットの1つです。

一方デメリットとしては

  • シロアリの被害に遭いやすい
  • リフォームでの設置が難しい

などがあります。

基礎と断熱材の間には人間の目には見えないくらいの隙間がありますが、シロアリはそこを通り道にして建物へ侵入します。外見からは全く判断がつかないので気がつけば被害が拡大しているケースも報告されています。特に関東地方では寒冷な北海道や東北地方に比べて基礎断熱がシロアリの被害に遭いやすい傾向にあるので対策は必須です。

また、通気口や基礎パッキンがある物件では基礎断熱が効果を発揮できないので、既存の住宅に新たに基礎断熱を取り付けることが難しく施工業者の品質によってはリフォーム後すぐに結露やシロアリの被害に遭ってしまう可能性も考えられますので正しい知識を持った業者かどうか、見極めが重要です。

まとめ

今回は床下断熱と基礎断熱の違いについてご紹介してきました。基礎断熱工法は寒冷な地域以外ではまだまだ普及していません。もし新築住宅を購入予定で基礎断熱を採用するのであればシロアリ対策がしっかり行なわれているか確認するようにしましょう。

床下断熱を採用する場合は先程もご紹介したとおり様々な業者が様々な断熱材を取り扱っているので、それぞれのメリット・デメリットをしっかり把握して自分の理想にあった断熱材を選ぶようにしましょう。

断熱リフォームの匠では床下断熱のリフォーム工事を取り扱っています。現在の断熱材の状況を確認する無料調査も実施していますので興味がある方は寒くなる前に是非一度ご相談ください!