窓ガラスの交換・取り替え方法・費用・効果・選び方を徹底解説|断熱リフォームの匠
コラム
投稿日 2025.07.31
内窓・窓リフォーム
窓ガラスの交換・取り替え方法・費用・効果・選び方を徹底解説

WRITER

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廣澤 健一郎
環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。
「窓ガラスにヒビが入ってしまった…どんな交換方法がベスト?」
「冬の結露がひどい…ガラスを替えれば快適になるの?」
割れ・ヒビへの緊急対応はもちろん、断熱性アップや防犯強化など、窓ガラスの交換は住まいの小さなストレスをまとめて解決できる心強い手段です。
本コラムでは、そんなお悩み別に 交換のタイミング、選べる工法とガラス、気になる費用相場までを一気通貫で解説。まずは「どんなときに交換を考えるべきか?」を具体例で整理し、あなたの窓辺のモヤモヤをスッキリ晴らしていきましょう。
目次
窓ガラスを交換・取り替えるのはどんなとき?
窓ガラスを替えるきっかけは、おおむね次の4つに集約できます。
- ヒビ割れ・破損:安全確保のため一刻も早い対応が必要
- 断熱不足(暑さ寒さ)・結露対策:住まいの快適性を底上げしたいとき
- 経年劣化による曇りや汚れ:見た目も眺めも冴えなくなってきたとき
- 防犯性の強化:窓ガラスの防犯性を高めて安心を得たいとき
これらの典型シーンを具体例とともに整理し、「今が交換のベストタイミングか?」を見きわめるヒントをお届けします。続く工法や費用解説を理解するための前提を、ここで押さえておきましょう。
ガラスが割れた・ヒビが入った(事故・台風・防犯)
一番多いのは、必要に迫られて急ぎ対応しなければならない状況ですよね。窓ガラスにモノをぶつけてしまった場合や、台風による強風や飛来物による破損が最たるものです。空き巣被害で割られた場合も交換の動機になります。


意外と交換理由として多いのが、網入りガラスにヒビが入ってしまう「熱割れ」です。高温などの極端な環境ににさらされることにより、ガラスに挟まれた金網が膨張・収縮を重ね、ガラスの耐久度を超えてしまうことで亀裂が入ってしまう現象です。
窓ガラスが割れてしまえば雨風が室内に侵入してしまいますし、テープ等で補修ができたとしても景観はあまり良くないことでしょう。ヒビも放置すれば最終的に割れにも繋がるため、発生した時点で速やかに専門業者へ交換・修繕を依頼する必要があるでしょう。
結露・断熱不足で寒い/暑いとき(性能向上)
こちらは生活環境の改善のために、ガラスそのものをグレードアップさせるものですね。古い住宅の場合には、1枚板のガラス(単板ガラス)であることがほとんどで、これは近年になって断熱性能の低さが指摘されています。
断熱性能が低いと、エアコンの暖房・冷房によって適温の空気を室内に供給しても、その供給する端から熱が外へと奪われ続けていきます。結果として冷暖房費が多くかかる上に、冬場の結露も誘発します。


結露は空気中の水蒸気が冷やされることで水に戻る現象ですから、いかに冬場の窓ガラスが冷たくなっているかを如実に物語っています。「窓が冷たい=熱が外に奪われている」ということですので、暖房効率も良くなりません。
こういった状況を改善するために、窓の断熱性能を向上させることは非常に理にかなっており、ここ数年で大幅にご依頼が増加する傾向にあります。
ガラスが古く、曇る・汚れやすい(劣化・美観)
長年使用されてきた窓ガラスの表面は、風に運ばれたホコリなどにより表面に目には見えない微細なキズがついていきます。汚れがたまりやすくなることもあり、ガラスが曇って見えることもあります。
ガラスは半永久的な素材ではなく、経年とともに透明度と光沢が落ちていきます。眺望や外観を取り戻すには、ガラス交換が最も確実な改善策です。
空き巣対策や防犯強化
こちらは安全な住まいのためにガラスを防犯向けのガラスに取り替えるためのものです。空き巣が侵入経路としてよく使用するのが、窓ガラスを割ってクレセント鍵を開ける方法です。たとえ人が入れるサイズにまでガラスを割らなくても、窓を開錠してしまえば比較的簡単に家に入れてしまいます。
防犯ガラスが組み込まれた窓はガラスを貫通することが難しく、たとえハンマー等で思いっ切り叩いてもヒビが入るだけで中に入ることはできません。
窓が大きい傾向にある築20年~30年以上の住宅については、防犯目的のためにガラスを交換することも検討の余地は十分にあると言って良いでしょう。
窓ガラスの交換方法|状況別の対応パターン
ここまで窓ガラスを交換する理由についてまとめてみましたが、実際に「ガラスを交換しましょう」と言っても、交換する方法はいくつもあります。そこで窓ガラスの交換方法について解説していきましょう。
ガラスのみの交換
一番イメージしやすいのは、ガラスだけを交換することです。
窓というのはガラス面材の部分と枠(フレーム)の部分で構成されており、ガラスを囲むように枠が四方に取付けられています。枠を外して新しいガラスをはめ込めば良いため作業も容易です。
特に断熱性能の向上や防犯性能のアップを目的としないのであれば、単純に取り替えるだけで問題はありません。ただし、複数の目的がある場合には何点か注意が必要です。
ガラス交換の注意点
1.断熱性能向上が目的の場合
注意点の一つは断熱性能をアップするためのガラス交換の場合です。断熱ガラスは高性能なガラスをはめ込むことで窓の性能を向上させるものですが、実は期待どおりの性能を得られないことが多いです。原因は単純で、ガラスの性能が向上しても枠の性能が向上しないことにあります。
年数が経過した住宅に多く採用されるアルミサッシは、断熱性能が非常に低い素材です。ガラスの性能がアップしても枠は古いまま残るので、窓全体で見たときの性能値が想像以上に上がりにくくなってしまうのです。
ガラス面では結露がしなくなったものの、フレーム部分は依然として大量の結露が発生しているという事例が後を絶ちません。

効果について尋ねてみると「多少は変わったけれども…」という反応で、フレームがアルミのままであったことが何度もあります。
2.網入りガラスの断熱化の場合
網入りガラスを断熱性能の高いガラスに変えようとする場合には、交換そのものが出来ない場合が出てきますので、特に注意しなければなりません。
「網入り+断熱」のガラスの厚みが大きくなり、古いフレームに収まらなくなる可能性が潜んでいるからです。網入りガラスは火災時のガラス飛散防止を目的として金網がガラスに挟まれる形状をしており、この時点でガラスが2枚使用されています。
それとは別に断熱性能向上のための二重構造も別で構成される都合上、最終的には3枚のガラスが組み合わされており、合計の厚みが9mm~10mm程度になります。
年数の経過した一戸建て住宅の窓のフレームは、ガラスをはめる溝がこの厚みより小さく設計されていることが多いため、そもそもはめ込むことができなくなってしまうのです。このような条件の場合には、ガラス交換が適さないと考え、別の方法を模索する必要があります。
サッシごと交換(はつり工法)
ふたつ目の方法は、窓のフレームごと交換をする方法です。壁に接合された古いアルミフレームごと窓を取り外して、新しい窓とそっくり入れ替えるリフォーム工事で、「はつり工法」と呼ばれています。
※はつりとは外壁などを切る、削る、壊す作業のことを指す用語です


はつり工法では、高性能Low-E複層ガラスや真空ガラスと樹脂製またはアルミ樹脂複合サッシへ窓を丸ごと交換でき、溝幅の制約を気にせず断熱性能を大幅に向上させられます。
しかし、壁を剥がしてフレームを撤去する大掛かりな作業になるため、外壁・大工・内装など複数の職種が関わり、小窓1カ所でも数日の工期が必要で、費用も50〜100万円を超えることが珍しくありません。
- 枠を樹脂サッシやアルミ樹脂複合サッシへ替え、高性能な Low-E 複層ガラス・真空ガラスを組み込めるため、窓全体の断熱・防露性能を大幅に底上げできる。
- ガラス溝幅の制約を受けず、ほぼすべての既存窓に対応。
- 壁を削る手間が大きく、外壁業者・大工・内装クロス職人など複数の職種が必要。
- 工期は小窓1カ所でも数日、費用は50〜100万円超が一般的で、他工法に比べて高額。
全面改修や大規模リフォームを検討している場合や、交換する窓の種類や住宅の立地条件などに特別な事情がある場合に採用されれるケースが多い工法です。
カバー工法
カバー工法は、古いフレームを残したままガラスとガラス枠だけを外し、その上から新しい樹脂製やアルミ樹脂複合のフレームを覆いかぶせて高性能ガラスをはめ込む工法です。
壁を削る必要がないので作業は窓専門業者だけで完結し、小窓1カ所なら半日ほどで終わり、費用もはつり工法より大幅に抑えられます。現在、戸建ての窓交換ではこの方法が主流になりつつあります。
- 壁を削らずに施工できるので工期が短い:小窓1カ所なら半日ほどで完了
- 費用を大幅に抑えられる:はつり工法と比べて職人や工程が少なく、負担が軽くなる
- 専門業者だけで完結する:窓業者が単独で施工できるため段取りがスムーズ
- 断熱・防露性能をしっかり高められる:樹脂枠+Low-E複層の組み合わせで窓全体の性能を底上げ
一方で、カバー工法の商品は防火設備としての認定を受けていないため、準防火地域以上に建つ住宅には適用できません。都市部の密集地では法規上、開口部に防火性能が求められることが多く、この場合は壁をはつるフレームごと交換(はつり工法)が唯一の選択肢となります。
- 防火設備として認定された商品がない:準防火地域以上のエリアでは法規上使えない
- 開口部がわずかに小さくなる:新しいフレームを重ねる分、採光・通風面積が数センチ縮まる
- 既存フレームの歪みや腐食がある場合は施工できないことがある

内窓の取付け
これはガラスの交換とはやや異なりますが、窓の断熱や防犯の向上という意味で合わせてご紹介いたします。
内窓は既存の窓を残し、室内側にもう一枚の窓を取り付けるリフォームです。二重窓化によって空気層が生まれ、断熱・防露・防犯の効果が高まります。壁を触らないため1窓あたり30分〜1時間で施工が終わり、費用もカバー工法より抑えられるのが特徴です。


住宅の窓に断熱化や防犯性の向上を目的としたリフォームを実施する場合、たいていは内窓の設置を実施した方が費用対効果の面で圧倒的に優れていると言っても良いでしょう。
- 短工期・低コスト:壁を触らないため工事が早く、費用対効果が高い
- 高い断熱・防音・防犯性能:空気層が熱と音を遮り、二重ロックで侵入抑止にもなる
- 補助金の利用例が多い:先進的窓リノベなど国や自治体の支援制度を活用しやすい
とはいえ、内窓も万能ではありません。
二重窓化で開閉がワンステップ増え、窓枠に置いていた小物は移動が必要になります。ルーバー窓などハンドル形状の窓は取り付けが難しく、場合によっては FIX(はめ殺し)窓に限定されることもあります。
- 開閉の手間が増える:掃き出し窓や頻繁に開ける窓では煩わしさを感じやすい
- 窓枠スペースが使えなくなる:出窓やキッチンまわりで小物が置けなくなるケースがある
- 設置できない窓もある:ルーバー窓などハンドル形状によっては取付が難しい

選べるガラスやサッシの種類と特徴【目的別】
では、ここからはガラスを交換する場合の種類について解説していきます。代表的なガラスの種類やサッシの素材の特徴と選び方を見ていきましょう。
断熱を目的とする際のガラス
断熱を目的としてガラスを選択する場合、単板ガラスでは性能が不足していると言わざるを得ません。
最低でも複層ガラスやLow-E複層ガラスを選択した方が良いですし、現在ではより断熱性能を高めるためにガス入りLow-E複層ガラスやトリプルガラス、真空ガラスなどの超高性能ガラスも開発されています。
ガス入りLow-E複層ガラスまでなら現代の住宅向けに流通しているので、極端に値段が高くなることもありません。




※断面画像はYKK APより
トリプルガラスや真空ガラスについては、断熱性能の向上を特に重視する場合に選択するものになってきますが、場合によってはメリットがあまり得られないこともありますので、導入にあたっては専門の窓業者に問い合わせしてみた方が良いでしょう。
防犯を目的とする際のガラス
防犯を目的としたいわゆる防犯ガラスについても種類があります。防犯用の中間膜をガラスで挟み込んだ防犯ガラス(安全合わせガラス)の他に、断熱性能も考慮した防犯用の複層ガラス(安全合わせ複層ガラス)などもあります。


※断面画像はYKK APより
防犯性の向上のみを目的とする場合には、ガラスのみの交換で防犯合わせガラスを導入したり、断熱性も合わせて向上するならカバー工法や内窓で安全合わせ複層ガラスを検討するなど、ご自身の目的によって使い分けを考えていきましょう。
サッシの違いについて
前の章でも少し触れましたが、サッシの種類も現代では様々な種類が登場しています。アルミサッシは性能が不足しているため、ガラスだけの取替えで目的を果たせないとお感じでしたら一緒に交換することをオススメします。
熱伝導率(W/m·K) | |
---|---|
アルミ | 約200 |
樹脂 | 約0.2 |
木材 | 約0.1~0.2 |
現在では断熱性能の向上を目的としてアルミ樹脂複合サッシや、樹脂サッシなどの高性能サッシがありますので、カバー工法やはつり工法でのリフォームを検討している場合にはこちらを選ぶようにしましょう。
断熱性能が高まれば結露の防止だけでなく、気密性能が向上しスキマ風の減少や防音効果も得られるなど複数のメリットが生まれますので、ある程度は高性能な製品をチョイスすべきです。
また現在注目を集めているのが、木製サッシです。断熱リフォームの匠では今のところ取り扱いがありませんが、断熱性能に加えて質感が優れているため検討をしている方も多いのではないでしょうか。

窓ガラス交換の費用相場
さて、ガラスを交換する場合にはどの程度の費用がかかってくるのでしょうか?
割れやヒビに対応するための単純な交換作業であれば、ガラスもそれほど高くはありませんので、数千円~数万円程度で可能です。
とはいえ、窓は設置されている位置や形状、サイズが大きく異なりますので、一概には言えない内容にはなっております。あくまでも目安として一覧を作成しましたので、参考程度に留めていただければと思います。
小窓 | 腰高窓 | 掃出し窓 | |
---|---|---|---|
単板 | 12,000円 | 20,000円 | 35,000円 |
防犯 | 35,000円 | 50,000円 | 95,000円 |
真空 | 55,000円 | 85,000円 | 115,000円 |
小窓 | 腰高窓 | 掃出し窓 | |
---|---|---|---|
断熱 | 280,000円 | 330,000円 | 550,000円 |
防犯 | 300,000円 | 350,000円 | 650,000円 |
小窓 | 腰高窓 | 掃出し窓 | |
---|---|---|---|
断熱 | 155,000円 | 205,000円 | 355,000円 |
防犯 | 205,000円 | 255,000円 | 455,000円 |
小窓 | 腰高窓 | 掃出し窓 | |
---|---|---|---|
断熱 | 45,000円 | 65,000円 | 55,000円 |
防犯 | 65,000円 | 95,000円 | 315,000円 |
実際はこの金額に加え、調査費用や材料の運搬費用がかかることが多いですので、このままの値段で見積もりが作成されることはほぼありません。
また、これらの費用はあくまでも一般的なサイズ・ガラス種類を想定した場合の値段であり、住宅それぞれの事情や業者の仕入れ価格によって変わってきます。

【ケース別】こんなときはこう交換するのがおすすめ
窓リフォームは目的に応じて最適な工法やガラスの種類が変わります。ここでは、よくあるシチュエーション別に、どんな方法が向いているかを簡単にご紹介します。
- ①築20年で冬場の寒さがひどい
- 室内側に内窓+Low-E複層ガラスを設置することで、断熱性を大幅に向上。結露対策に効果的です。
- ②ガラスが突然割れてしまった
- 緊急対応が必要なため、まずはガラスの交換を。フレームに問題がなければ短時間・低コストで対応可能です。
- ③西日がきつく、夏の暑さがつらい
- 遮熱タイプのLow-Eガラス+内窓の組み合わせがおすすめ。日射熱をカットし、冷房効率を高めます。
- ④空き巣対策を強化したい
- 防犯合わせガラスへの交換や、内窓の設置で侵入を防ぎやすくなります。
- ⑤既存のアルミサッシの結露が気になる
- ガラス交換だけでは効果が限定的なため、サッシごと断熱タイプに交換(カバー工法)を検討すると効果的です。内窓の設置も効果があります。
それぞれのケースに応じた最適な方法を知ることで、無駄な出費を避けながら効果の高いリフォームが可能になります。迷ったら、現地調査を行ってくれる専門業者に相談してみましょう。
まとめ
窓ガラスやサッシの交換は、「割れてしまったから」だけでなく、断熱・防犯・結露対策など、暮らしの質を高めるための有効な手段です。
交換方法には、ガラスだけを入れ替えるシンプルな方法から、サッシごと取り替える本格的な工法、さらに手軽な内窓の設置まで、目的や予算に応じてさまざまな選択肢があります。
断熱性能をしっかり高めたいのか、防犯性を重視したいのか、あるいは補助金を活用して賢くリフォームしたいのか、ご自身の住まいの課題に合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。
迷ったときは、施工経験が豊富で相談にのってくれる専門業者に現地調査を依頼し、最適なプランを一緒に考えてみましょう。快適で安心な住まいづくりの第一歩になります。


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1974年の創業から50年を超える歴史を持ち、住宅メーカーなど1200社以上の住宅のプロとも取引実績を持つ当社。日本でも数少ない断熱リフォーム専門店として、断熱工事に関するあらゆるお困りごとを解消すべく、技術とサービスを磨いて参りました。断熱性能は快適な暮らしを守る影の立役者。私どもはその裏方の仕事に誇りを持ち、期待を超える品質でお応えします。
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