マンションの断熱リフォーム完全ガイド|最適な方法と内窓の効果|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2025.05.07

内窓・窓リフォーム断熱リフォーム

マンションの断熱リフォーム完全ガイド|最適な方法と内窓の効果

WRITER

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廣澤 健一郎

環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。

「夏場になると部屋がすごく暑くなる」
「暖房をつけているのに部屋がなかなか暖まらない」
「窓際が冷えて落ち着かない」

夏や冬になると、マンションの暑さや寒さに悩む声が多く寄せられます。こうしたお悩みは、実は「断熱性能の不足」が原因かもしれません。

戸建てと違い、マンションではリフォームに制約があるケースも少なくありませんが、それでも効果的な断熱方法は存在します。本記事では、マンション特有の事情を踏まえながら、最も現実的かつ効果的な断熱リフォーム方法として注目されている「内窓」について詳しくご紹介します。

マンションが寒い理由と断熱の重要性

「マンションは気密性が高いから、寒さとは無縁では?」と思われがちですが、実際には冬の寒さに悩む方が少なくありません。その原因は、室内の熱がさまざまな場所から外へ逃げてしまっていることにあります。

熱の逃げ道は「窓・壁・床・天井」

室内で暖房をつけて空気を暖めても、その熱は時間とともに外へと流出していきます。熱は主に以下の場所から失われます。

窓やドアなどの開口部
マンションの外窓と玄関

外の出入り口となる窓・玄関ドアは断熱的に弱点となる部分。
外気に接する壁や天井
マンションの天井と外壁

外気に接する壁や最上階の天井は熱の影響を受けやすい。
床下からの冷気
マンションの床

1階の床や、下が駐車場になっている場合も外気の影響を受けやすい。

 
中でも特に注意すべきは「窓・ドアなどの開口部」です。住宅の構造や面積比を考えると小さな部分に見えますが、実際には熱流出全体の約50%以上を占めるとも言われており、断熱の大きな弱点となっています。

コンクリート構造の落とし穴

多くのマンションで採用されている鉄筋コンクリート構造には、意外な落とし穴も。コンクリートは構造材としては優れていますが、断熱性能が高いわけではありません。さらに、分厚いコンクリートは熱を蓄える性質(蓄熱性)があるために、夏場は日が暮れた後になってもコンクリートから熱が室内へと放出され続け、室内温度を上げる場合があります。

そのため、一度室温が上がってしまうと、冷房を効かせてもなかなか涼しくならない、という状態になりがちです。

最上階・角部屋は寒くなりやすい?

特に注意が必要なのが「最上階」や「角部屋」です。これらの部屋は外気に接する面積が多いため、寒さや暑さの影響を受けやすい傾向にあります。断熱対策が不十分な場合、真冬や真夏に居室の快適性が大きく損なわれることもあります。

最上階と角部屋

このように、マンションの室温が不快に感じられる場合、その多くは建物構造と熱の移動に原因があります。「どこから熱が逃げているのか」を正しく理解することが、最適な断熱リフォームを行う第一歩です。

マンションの断熱リフォームの主な方法

マンションの寒さ対策として断熱リフォームを検討する際、いくつかの方法があります。それぞれに特徴や費用感、効果に違いがあるため、ご自宅の状況やご予算に応じて選択することが重要です。以下に、代表的な4つの断熱対策をご紹介します。

1.カーテンや断熱シートの活用(手軽だが効果は限定的)

一番お手軽と言えるのが、断熱カーテンや窓用断熱シートを使う方法です。

今よりも厚手のカーテンを使用して冷放射を防ぐことで、暖房の効き目を高めることが可能です。窓用の断熱シートもホームセンター等で販売されていますので、比較的安価に調達をすることができます。まず最初に効果があるか試してみるのには適していると言えるでしょう。

カーテン

(写真)今使っているカーテンよりも厚手のもので対策する。断熱効果の高いカーテンも売られている。

(写真)断熱シートや緩衝材も窓に貼り付けて使えば簡易的な断熱対策となる。

 
一方でカーテンや窓用断熱シートの特性上、断熱効果は限定的です。カーテンは際(きわ)の部分からの冷気を防ぐことが難しいので、窓からの冷気を完全には防げません。

むしろ、窓の両脇から冷たい風が吹き出してくるように感じる方も多いのも事実です。あくまでも簡易的な対処法であることは忘れないようにしましょう。

メリット
・費用が安い(数千円〜)
・工事不要、すぐに取り入れられる
・お試し感覚で導入可能
デメリット
・効果は限定的(冷気の侵入を完全に防げない)
・窓周囲からの冷気が残ることも多い
・見た目に影響する場合も

2.床・壁の断熱(壁の内側に断熱材を入れる)

ふたつ目の対策が、壁や床に断熱材を追加することです。いわゆるリフォーム工事を施すことになりますね。

壁や床などの広い範囲を断熱材で覆うことで、室内からの熱の逃げを大幅に低減することが可能です。住宅の保温効果が高まることになりますので、少ない暖房でも暖かさを保つことができ、快適性は格段に向上できます。

壁断熱リフォーム

(写真)壁の内部に断熱材を施工することで断熱性を高める。
床の断熱

(写真)床の隙間にも断熱材を入れて断熱性能を高めることができる。

 
反面、大掛かりな工事になりますので、費用はかなりの金額になることを覚悟しなければなりません。100万円を大きく超えるようなリフォーム工事になることもしばしばです。

また、壁や床のリフォームでは、大型家具や荷物の移動が必要になります。その際には運搬や一時保管の費用が発生する可能性があり、さらに仮住まいへの引っ越しを伴うこともあります。

このように、工事以外にもさまざまな負担がかかるため、気軽に決断できる内容ではありません。

メリット
・保温性が高まり、快適な室温を維持しやすくなる
・範囲が広いため、断熱効果が全体に及ぶ
デメリット
・工事が大がかりで、費用が高額(100万円〜のケースも)
・大型家具の移動や仮住まいが必要になることも
・工期が長く、生活への影響が大きい

3.外窓交換・玄関交換(マンションでは制約が多い)

3つ目が、先ほども熱の移動が大きいと説明した窓のリフォーム工事です。

窓からの冷たさが室内の寒さの最大原因である以上、根本的な解決をするには窓ごと断熱性の高いものに交換する方法が最も理にかなっていると言えますよね。

マンションの窓交換

窓が断熱性の高いタイプに取り替えられれば、窓からの熱の逃げやコールドドラフト(冷気が床面を這うように侵入する現象)を押さえられるため、冷暖房の効果も結果的に高まることになります。

また、窓のリフォーム工事には補助金が受け取れる場合も多いので、検討する価値は充分にあると言えるでしょう。

マンション共有部に該当するため許可が必要

ただし、こちらにも問題点は潜んでいます。多くのマンションでは管理規約というものが定められており、ほとんどの場合、リフォーム工事をする際のルールも設定されています。マンションは「専有部」と「共有部」に分かれており、共有部には勝手にリフォームを施すことはできません。

マンションの外窓は共有部

外気に接する窓や玄関は「共有部」とされていますので、寒くて交換したくても勝手に取り替えてしまうわけにはいかないわけですね。その場合、管理組合に相談・申請を出して、交換をしても良いかなどを事前に了解を取る必要が出てくることになります。

また、よくある事例として、マンション全体の景観を損ねないように交換する窓の形状や色に制限がかかることもありますので、その意味でも事前の確認は欠かせません。マンションの窓を交換する際には、交換しても問題がないかどうかをしっかりと確認するようにしてください。

メリット
・大きな断熱効果が得られる
・補助金制度の対象になることが多い
デメリット
・マンションでは「共有部」にあたり、管理規約の制限を受ける
・施工のためには管理組合の許可や申請手続きが必要
・外観(窓の色・形状)に制限があるケースも多い

4.内窓の設置(最も効果的でマンションでも施工可能)

マンションにおいて最も効果的な断熱リフォーム方法は、内窓を設置することによる断熱性の向上です。前述のとおり、マンションの窓は共有部となるため、自由にリフォームすることはできません。

ですが内窓の設置であれば話は別です。内窓の設置は「専有部」における工事となるため、管理規約の制限を受けることが自体が少ない箇所となります。今ある窓を取り外すことがなく、その内側に新たに窓を設置しますので、共有部ではないという理屈ですね。

内窓の素材

(写真)内窓を設置したマンションの窓。
内窓の構造

(写真)内窓の構造。

 
また、内窓にはそれ以外にもメリットがいくつかあります。単純に、今ある窓がそのまま残って二重窓となるわけなので、もとの窓を交換するよりも総合的な窓の断熱性能が高くなる傾向にあるのです。

その副次的な効果として、窓の結露の減少や、気密性の向上による防音性能の向上など、マンションで生活する上での「困った」が一度に解決することになります。

窓の交換と同様に補助金の交付を受けられることも多いため、マンションの断熱化となると最優先で考えても良いのが「内窓の設置」と言えそうですね。

メリット
・窓の断熱性が大きく向上
・管理規約の制限を受けにくく、施工しやすい
・結露防止、防音効果も期待できる
・工期が短く、1日で完了するケースがほとんど
・補助金対象になりやすい(先進的窓リノベ事業など)
デメリット
・窓が2つになるため開け閉めの手間が増える
・部屋が少しだけ狭くなる

マンションの内窓リフォームの流れと費用相場

前章でご紹介したとおり、内窓の設置はマンションの断熱リフォームにおいて、最も現実的かつ効果が高い選択肢です。施工のしやすさや費用対効果、さらには補助金の活用可能性まで含めて、非常にバランスの取れた方法といえるでしょう。

ここからは、そんな内窓リフォームを実際に検討・依頼する際に気になる「工事の流れ」と「費用の目安」についてご紹介していきます。初めての方でも安心して進められるように、具体的なステップを順を追って解説します。

施工の流れ

内窓の施工をする場合の大まかな流れは以下のとおりです。

1.窓の調査・仮採寸 専門スタッフがご自宅を訪問し、窓の形状やサイズ、設置の可否を確認します。
2.お見積もりの提示 調査内容をもとに、内窓の種類や数量に応じた費用をご案内します。
3.工事のご依頼(発注) 内容にご納得いただければ、正式に工事をご依頼いただきます。
4.本採寸 正確なサイズで製品を手配するため、細かい寸法をあらためて計測します。
5.工事の実施 内窓を取付ける作業を行います。通常は1カ所あたり30分〜1時間程度で完了します。

 
まずは内窓の設置が可能なのか等、事前にお見積もりのために調査にお伺いし、工事費用の金額を計算します。ご提示の内容で問題がなければ、実際に工事に向けて段取りを進めていくことになります。

工事そのものは1ヶ所あたり30分~1時間程度と、大半の場合は1日で施工が完了します。工事に必要な所要時間が短い点も、内窓工事の大きな利点のひとつですね。

内窓の選び方(ガラスの種類・枠の材質)

忘れてはならないのが、内窓を構成するガラス選びも欠かせないポイントであるという点です。

内窓はもともとが断熱を目的としていると言っても良い製品ですので、断熱性に優れたガラスや材質が基本的には使用されています。ですが、ガラス自体も各ガラスメーカーがより高性能なものを開発するなど、選択肢の幅が増えています。

内窓に使用されるガラスは一般的に以下の5種類に分類されます。

単板ガラス
単板ガラス
断熱性能:低
1枚ガラス。安価だが断熱性は最も低い。
複層ガラス
複層ガラス
断熱性能:普通
2枚のガラスの間に空気層を挟んで断熱性を高めた一般的なタイプ。
Low-E複層ガラス
Low-E複層ガラス遮熱タイプ
断熱性能:高
ガラスに特殊な金属膜をコーティングし、断熱・遮熱効果を向上させたタイプ。
ガス入りLow-E複層ガラス
断熱性能:高
空気層にアルゴンガスなどを封入し、さらに断熱性能を強化した高性能タイプ。
真空ガラス
真空ガラス
断熱性能:高
ガラスの間に真空層を作り、熱の移動をほぼ遮断する最上級の断熱ガラス。

※ガラス断面画像はYKK APより

上の表では、下の種類になるほど性能が高まります。内窓を設置するのであれば最低でも複層ガラス、できればLow-E複層ガラス以上の性能がおすすめですね。

また、国の補助金として「先進的窓リノベ事業」と呼ばれる制度があり、これは高性能な窓に対してより多くの補助金を交付する仕組みになっています。この制度を最大限活用するには、ガス入りLow-E複層ガラスなど、高性能な部類のガラスを選択した方が良いことになります。

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枠の素材選択も重要

枠(フレーム)部分の材料にも気を使う必要があります。

枠の部分が金属で造られている場合、枠の部分の熱伝導率(熱が伝わりやすいかどうか)が非常に高く、断熱という本来の目的を果たせない製品ということになります。

内窓製品の多くは、断熱性能を考慮して枠の部分は樹脂性となっておりますが、一応は金属でないかどうかを確認する必要はあるかもしれませんね。

内窓の費用相場

内窓リフォームの費用は、以下の2つに大きく分かれます。

  • 材料費(ガラス・枠・副資材など)
  • 工賃(取付作業・出張費・運搬費など)

標準的なケースでは、1窓あたり8万〜10万円程度が目安です。窓が大きい場合や、高性能ガラスを選ぶ場合は、これより高くなることもあります。

また、掃き出し窓(バルコニー用)か、腰高窓かといった形状によっても費用が変わります。詳細な費用は業者に見積もりを依頼して確かめる必要がありますね。

初期費用は決して安くありませんが、補助金の活用によって大幅に負担を軽減できる場合があります。とくに「先進的窓リノベ事業」では、条件を満たせば費用の4〜5割が補助されるケースもあり、実質的なコストパフォーマンスは非常に高いといえます。

廣澤
廣澤
私自身、窓の工事のご依頼は数年前よりも大きく増えていると感じますし、お客様も「補助金があると聞いて頼んでみようと思った」という方は非常に多くなったと思っています。

マンションの内窓リフォームの施工事例

ここで、断熱リフォームの匠が実際に施工を行ったマンションでの内窓リフォーム事例をご紹介します。お客様のリアルな声を通して、工事後の暮らしの変化や満足度をぜひご確認ください。

事例1:杉並区のお客様
家中の窓に内窓を設置してから2週間が経ちました。9月でもまだまだ猛暑が続く中、これまでは一日中(寝てる間も)エアコンつけっぱなしでしたが、今は一度部屋を冷やしたらその後はエアコンを消して過ごすことができるようになりました。特に朝起きた時の部屋中の蒸し暑さがなく、快適です。とても綺麗に施工していただき、圧迫感もなく大変満足です。補助金についてもスムーズに進めていただきとても感謝しています。

施工前

(写真)施工前。
施工後

(写真)施工後。
事例2:練馬区のお客様
マンションの内窓を三箇所施工いただきました。見積依頼〜施工完了まで、何度もやり取りをしましたがレスポンスも早かったです。また、補助金申請や細かな施工の段取りなども説明も丁寧でした。施工当日も手早く2名で設置いただけました。
まだ1週間しか経っていないので、真夏の遮熱効果や断熱効果を実感するのはこれからですが、遮音効果はすでに実感しており、夜の睡眠も深くなりました。本当に設置してよかった!もしご近所で内窓の設置希望の方がいれば、オススメしようと思います。

施工前

(写真)施工前。
施工後

(写真)施工後。
事例3:調布市のお客様
以前から気になっていた内窓工事を、ホームページや口コミを見てこちらの会社に4部屋お願いする事にしました。調査・施工・連絡事項を含め、丁寧でとても感じ良く対応していただきました。
南側ベランダ掃き出し窓の近くに寄ってみるとよく分かりますが、内窓のお陰で猛暑の中でも断熱効果を肌で感じ取る事ができます。また換気小窓からの隙間風の音が気になっていましたが、今では全く聞こえずとても静かに眠る事ができて助かっています。またマンションの事前申請にも、迅速に対応していただき本当にありがとうございました。

施工前

(写真)施工前。
施工後

(写真)施工後。

まとめ|マンションの断熱対策に内窓が最適な理由

マンションの寒さ対策には、さまざまな方法があります。手軽なものから本格的な工事まで選択肢は多いですが、マンション特有の制約を考慮すると、断熱性と施工性のバランスが取れた「内窓リフォーム」が最も現実的で効果的な方法だといえます。

内窓の設置は次のようなメリットがあります。

  • 窓からの熱流出を大幅に抑制
  • 結露の発生を軽減し、カビやダニの対策にも効果的
  • 外の音が気にならなくなり、防音性も向上
  • 工事は1日で完了することが多く、生活への影響が少ない
  • 国の補助金を活用することで、費用負担も軽減可能

「冷暖房が効きにくい」「冬の結露に悩んでいる」「静かな環境で過ごしたい」。そんなお悩みをお持ちの方には、まず窓の断熱化から始めることをおすすめします。

廣澤
廣澤
断熱リフォームの匠では工事前に必ず無料断熱調査を実施しています。断熱リフォームや補助金のことなど、お気軽にご相談ください!
非破壊工法の断熱リフォームで日本トップクラスの実績
非破壊断熱工法の専門店
首都圏で年間200棟の施工実績
業界初の10年間工事品質保証
補助金・助成金の申請も代行
窓・床下・天井を壊さず断熱

1974年の創業から50年を超える歴史を持ち、住宅メーカーなど1200社以上の住宅のプロとも取引実績を持つ当社。日本でも数少ない断熱リフォーム専門店として、断熱工事に関するあらゆるお困りごとを解消すべく、技術とサービスを磨いて参りました。断熱性能は快適な暮らしを守る影の立役者。私どもはその裏方の仕事に誇りを持ち、期待を超える品質でお応えします。

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