窓の防犯対策はどうする?空き巣に狙われやすい理由と断熱も両立できるリフォーム方法を解説|断熱リフォームの匠
コラム
投稿日 2025.12.16
内窓・窓リフォーム
窓の防犯対策はどうする?空き巣に狙われやすい理由と断熱も両立できるリフォーム方法を解説
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廣澤 健一郎
環境省認定うちエコ診断士
地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。
窓リフォームを検討する理由は、断熱や結露対策だけではありません。実は近年「防犯性を高めたい」という目的から、窓の見直しを考える方も増えています。
警察庁の統計を見ても、住宅への侵入窃盗は窓からの侵入が最も多いとされており、特に一戸建て住宅では、ガラスを破って鍵を開ける手口がいまだ主流です。
「補助錠をつければ十分?」
「防犯ガラスって本当に効果がある?」
そうした疑問を持ちながらも、せっかく工事をするなら 防犯だけでなく、断熱性能も一緒に高めたいと考える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、窓が空き巣に狙われやすい理由、窓の防犯対策として有効なリフォーム方法、防犯と断熱を両立できるプロ目線の窓の選び方をわかりやすく解説します。「とりあえずの防犯対策」で終わらせず、住まい全体の快適性と安心を高めるヒントとして、ぜひ参考にしてください。
窓からの侵入が5割以上?防犯対策が必要な理由
住宅の防犯対策を考えるうえで、まず知っておきたいのが「侵入経路」です。結論から言うと、住宅への侵入窃盗で最も多い侵入口は「窓」です。

警察庁の2024年の統計によると、一戸建て住宅への侵入窃盗のうち52.9%(6,596件)が窓からの侵入となっています。これは、2位の表出入口(玄関)の22.0%(2,739件)を大きく引き離して最も多いです。

窓からの侵入の手口として多いのは、窓ガラスを割って鍵(クレセント錠)を開ける「ガラス破り」という手口で35.7%(4,475件)が該当します。
ガラス破りとは、窓ガラスを割って室内側の鍵に手を伸ばし、窓を開けて侵入する手口のことです。ドライバーやハンマーでガラスの一部を割るだけで鍵を開けられるため、短時間で侵入できるのが特徴です。特に一戸建て住宅では注意が必要とされています。
また、侵入手口で最も多いのは、鍵がかかっていない「無締り」ですが、鍵を閉めていても窓ガラスが簡単に割れる状態であれば、十分な防犯対策とは言えません。裏を返せば、窓からの侵入をしにくくするだけでも、空き巣被害のリスクは大きく下げられるということになります。
空き巣・窃盗犯に狙われやすい窓とは
空き巣や侵入窃盗犯は侵入にあまり時間をかけたくないという心理があるため、犯行前には周囲の環境や窓の状態を下見し「短時間で侵入できそうな窓」を狙う傾向があります。
特に狙われやすい窓は掃き出し窓です。掃き出し窓は人が出入りできるサイズがあり、ガラスの一部を割って鍵を開ければ、そのまま侵入できてしまいます。
周辺環境も重要な判断材料に
窓そのものだけでなく、周辺環境も重要な判断材料になります。庭にブロック塀や樹木があり、道路からの視界を遮る形になっている住宅を空き巣は好みます。近隣から見えない位置の窓を破ることで発覚を遅らせて犯行に及ぶという理屈です。
- 道路や隣家から見えにくい位置にある窓
- 庭木や塀で視界が遮られている窓
- 夜間に人通りや街灯が少ない場所の窓
一方で、トイレや浴室などの小窓は侵入に使われにくいケースもありますが、窓のサイズや設置状況によっては侵入経路になる可能性もゼロではありません。
つまり、「大きな窓だけ対策すれば安心」というわけではなく、住まい全体の窓を見渡した防犯対策が必要だと言えるでしょう。
窓の防犯対策に有効なリフォーム方法
窓からの侵入を防ぐための防犯対策には、いくつかの方法があります。重要なのは、「完全に侵入を不可能にする」ことではなく、侵入に時間と手間がかかる窓にすることです。
空き巣や侵入窃盗犯は、犯行に時間がかかると判断した時点で、侵入を諦める傾向があります。そのため、窓の防犯対策では「破りにくい」「開けにくい」「目立ちやすい」状態をつくることがポイントになります。ここでは、窓の防犯対策として代表的なリフォーム方法を紹介します。
方法1.防犯合わせガラスに交換する
まずは、ガラスを破られない防犯合わせガラスに交換する対策が最も有効です。
防犯合わせガラスは、2枚のガラスの間に特殊な中間膜を挟み込んだ構造をしています。ハンマーなどで強い衝撃を加えても、ガラスにヒビが入るだけで貫通しにくく、穴をあけるには相当な時間と力が必要です。
仮にガラスを叩き続けたとしても、大きな音が発生するため、周囲に気づかれるリスクが高くなり、空き巣が犯行を断念する可能性が高まります。
なお、市販の防犯フィルムもガラス破り対策として一定の効果があります。ただし、部分的に貼るだけでは効果が薄く、ガラス全面に貼ることが重要です。簡易的な対策として考える場合は、貼り方にも注意が必要でしょう。
方法2.補助錠を設置する(ツーロック化)
窓に補助錠を取り付け、ツーロックにする方法も有効です。補助錠を設置することで、たとえガラスを割られても、すぐに窓を開けられない状態をつくることができます。これも「侵入に時間をかけさせる」対策のひとつです。
ただし、注意点もあります。ガラスを割った際に手が届く位置に補助錠があると、簡単に解除されてしまう可能性があります。補助錠は、外から手を入れても届きにくい位置、窓の開閉時に無理なく操作できる位置を意識して設置することが大切です。
また、毎日頻繁に開閉する窓では、操作が少し面倒に感じることもあるため、使用頻度とのバランスを考えて選ぶとよいでしょう。窓のレールに設置する商品や、窓枠(フレーム)に貼り付けて使うタイプがあります。
方法3.シャッター・雨戸を活用する
シャッターや雨戸を閉めることも、非常に有効な防犯対策です。シャッターが閉まっていればガラスを割ることができないため、侵入のハードルは一気に高くなります。
ただし、日中に常時閉めていると、室内が暗くなるというデメリットもあります。そのため、時間帯や生活スタイルに応じて使い分けるのが現実的な対策と言えるでしょう。
方法4.内窓を設置して二重窓にする
内窓を設置して二重窓にする対策は、実は意外と費用対効果が高く防犯性の向上にも役立ちます。二重窓になると、仮に窓のガラスを割って鍵を開けようとしても、奥にもう1枚の窓がある形になります。
これは空き巣の視点からすると、「侵入に時間がかかる窓」ということになりますので、侵入を諦める可能性が高くなります。
より効果的な対策として、内窓のガラスを防犯合わせガラスにすることも可能です。内窓のガラスを貫通出来なければ、最終的に侵入されることはありません。
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防犯対策が断熱対策にもなる!防犯と相性の良い断熱窓の選び方
「防犯対策の記事なのに、なぜ断熱の話が出てくるの?」そう感じた方もいるかもしれません。しかし、窓の防犯と断熱は同時に対策しやすい分野です。窓は、熱の出入りが最も大きい場所であると同時に、空き巣の侵入口にもなりやすい場所だからです。
せっかく窓のリフォームを行うのであれば、防犯だけで終わらせず、住まいの快適性も一緒に高めるという視点を持つことで、費用対効果の高いリフォームにつながります。
防犯と断熱を両立するなら「内窓」が有効
防犯と断熱を両立しやすいリフォームとして、特におすすめなのが内窓の設置です。内窓を設置して二重窓にすることで、以下の効果を同時に得ることができます。
- 外窓+内窓の二重構造になり、侵入に時間がかかる
- 窓の断熱性能が大幅に向上する
- 外からの騒音を軽減できる
防犯の観点では、仮に外側の窓ガラスを割られてしまっても、さらに内窓を破らなければ侵入できない状態になるため、空き巣にとっては非常にリスクの高い窓になります。
ガラス選びがポイント「断熱+防犯を意識する」
内窓の効果を最大限に活かすためには、ガラスの選び方も重要です。
例えば、Low-E複層ガラスは「断熱性能を高め冷暖房効率を改善する」、安全合わせガラスは「ガラス破りに強く、防犯性能を向上する」といった特徴を持ちます。
※画像はYKK AP画像データより引用
これらを組み合わせたLow-E複層+安全合わせガラス(Low-E安全合わせ複層ガラス)を選ぶことで、断熱性能と防犯性能を同時に高めることが可能になります。
普段は断熱窓として室内の快適性を保ち、万が一のときには侵入を防ぐ役割も果たす。まさに「一石二鳥」の窓リフォームと言えるでしょう。
補助金を活用すれば、防犯窓リフォームの負担も軽減できる
断熱性能の高い窓リフォームは、国の省エネ政策の一環として補助金の対象になるケースがあります。代表的なものが、先進的窓リノベ事業などの断熱窓向け補助金です。
これらの制度を活用すれば、「防犯対策のために内窓を設置した結果、補助金も使えた」という形になり、費用負担を抑えながら防犯性と断熱性を高めることができます。
防犯目的で窓を検討している場合でも、断熱性能を満たす窓を選ぶことで、補助金が使える可能性があるという点は、ぜひ知っておきたいポイントです。
防犯窓リフォーム・対策の費用相場
窓の防犯対策を考えるうえで、やはり気になるのが費用面ではないでしょうか。防犯対策にはさまざまな方法がありますが、対策内容によって費用も効果も大きく異なります。ここでは、代表的な窓の防犯リフォームについて、おおよその費用相場と注意点を紹介します。
| 防犯ガラスへの交換 | 5万〜15万円 |
|---|---|
| 補助錠の設置 | 数百円〜数千円 |
| シャッターの新設 | 20万〜40万円 |
| 内窓の設置 | 15万〜20万円 |
防犯合わせガラスへの交換費用
窓ガラスだけを防犯合わせガラスに交換する場合、掃き出し窓1か所あたりの費用相場は、おおよそ5万円〜15万円程度が目安になります。
防犯合わせガラスは、2枚のガラスの間に中間膜を挟んだ構造のため、一般的な単板ガラスと比べて重量が増します。
そのため、窓のサイズが大きい場合や、既存のサッシや戸車が古い場合には、開閉が重くなる、戸車の劣化が進むといった影響が出る可能性もあります。窓の状態によっては、ガラス交換だけでなく、内窓設置や窓全体の見直しを検討したほうが良いケースもあります。
補助錠の設置費用
補助錠の設置は最も手軽にできる防犯対策のひとつです。市販品を使用する場合、数百円〜数千円で導入することが可能です。100円ショップで売られていることもあります。また、業者に施工を依頼する場合は、数万円程度かかることを想定しましょう。
費用を抑えて対策できる反面、設置位置によっては効果が限定的になる点や、開閉の手間が増える点には注意が必要です。あくまで「簡易的な防犯対策」として考え、他の対策と組み合わせるのがおすすめです。
シャッター・雨戸の新設費用
シャッターは閉めるだけなので費用はかかりませんが、もとからシャッターがついていない窓にシャッターを新設する場合には20万円~40万円程度が必要になります。
内窓の設置費用
内窓を掃き出し窓に設置する場合、1ヶ所あたり、15万円~20万円程度の費用が必要になります。
他の対策と比べて特段に安いというわけではありませんが、他の効果も同時に得られるため、副次的な効果も合わせて考えた場合には非常にお得な対策です。
先述のLow-E安全合わせ複層ガラスなどの上位商品を選択すると費用はもう少し上がりますが、検討する余地は十分にあります。
まとめ
今回は窓の防犯対策について、空き巣に狙われやすい理由から具体的なリフォーム方法、費用相場までを解説しました。
住宅への侵入窃盗では、窓からの侵入が非常に多いという現実があります。特に、ガラスを割って鍵を開ける「ガラス破り」は、今もなお多く使われている手口です。
そのため、窓の防犯対策では「侵入に時間と手間がかかる窓にすること」が重要になります。防犯対策の方法としては、さまざまな選択肢があります。
- 防犯合わせガラスへの交換
- 補助錠によるツーロック化
- シャッターや雨戸の活用
- 内窓を設置して二重窓にする
中でも内窓の設置は、防犯性の向上だけでなく、断熱・防音・結露対策といった住まいの快適性も同時に高められる点が大きなメリットです。断熱性能の高い窓を選べば、補助金を活用できる可能性がある点も見逃せません。
防犯対策というと、「とりあえず最低限の対策をする」という考え方になりがちですが、せっかく窓を見直すのであれば、防犯だけで終わらせず、暮らし全体の安心と快適性を高める視点を持つことが大切です。
どの対策が最適かは、窓の位置や大きさ、周辺環境、生活スタイルによって異なります。不安を感じる窓がある場合は、専門家に相談しながら、自宅に合った防犯・断熱リフォームを検討してみてはいかがでしょうか。
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