床断熱のカビのリスクはこうやって確かめる!プロが徹底解説|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2020.06.19 / 更新日 2021.05.24

断熱リフォーム断熱材

床断熱のカビのリスクはこうやって確かめる!プロが徹底解説

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

「床断熱にカビが生えないかどうか心配です。床断熱のカビのリスクや構造部分で注意することを知りたいです」

 
このような疑問にお答えします。このページを読んでいただくと

  • 床断熱のカビのリスクの決まり方
  • 床下環境のカビのリスクを判断する方法
  • 床断熱にカビの発生を抑える方法

これらについて知ることができます。

床断熱のカビのリスクの決まり方

床断熱のカビのリスクは

  • 床下の湿気
  • 断熱材の素材
  • 季節の影響

によって決まります。それぞれについてもう少し詳しくご紹介していきます。

床下の湿気

多くの人がイメージする通り、カビの起きやすさに最も大きく関係しているのは「湿度」です。床下の湿度の高さの決める要因は

  • 床下の構造
  • 元々の立地条件
  • 通気口や基礎パッキン
  • 築年数

などです。

床下の構造

床下が土壌であれば湿気がたまりやすく、その分カビが育ちやすい環境が整っていることになります。

元々の立地条件

地下水位が高い場所だったり、敷地が周りの建物より低かったり、元々が湿地であったような場所に建っている住宅には湿気が溜まりやすい傾向があります。

通気口や基礎パッキン

通気口や基礎パッキンは床下の空気を流通させて湿気を建物の内側に溜めにくくする役割を持っています。しかし通気口の目の前に雑草が生い茂っていたり、荷物が置かれていると空気の流通が悪くなり湿気が溜まりやすくなってしまいます。

築年数

基本的にコンクリートは湿気対策になりますが、築年数が浅い建物のコンクリートは内部に水分を大量に含んでいるため、新築~築1年ほどの間はコンクリートも湿気の原因になることがあります。

断熱材の素材

床断熱の素材によっては水分が表面に付着した時にカビが発生しやすいものもあります。例えば、水気を通しにくい押出法ポリスチレンフォームに比べ、グラスウールやロックウールなどの繊維系の断熱材は繊維と繊維の間に水分が入り込むと中々外に抜け出すことができません。そのため、もし断熱材の表面に水分が継続的に付着するような状況だとカビの菌の温床となってしまう可能性があります。

季節の影響

夏の暑い日には床下で結露による水分が発生しやすくなることがあります。これは通気口や基礎パッキンから入ってきた外の暖かい空気がひんやりとした床下で冷やされることにより結露を起こすことがあります。ちなみにですが冬場は部屋の中の暖かい空気が壁の中に入り込んで冷やされることにより結露を起こしてしまう場合がありますが、こちらも壁内でのカビの原因となることがあります。

床断熱のカビのリスクを判断する方法

カビの生えた床断熱

実際に床断熱にカビのリスクがあるかどうかを判断するには

  • 押入れなどからカビのニオイが漂ってこないか調べる
  • 根太や大引きなどの構造体を目視で確認する
  • 含水率計を用いて床下木材の含水率を利用する

などの方法があります。

押入れからカビのニオイが漂ってこないか調べる

もし押し入れが「カビ臭い」と感じてしまうようであれば床下がカビの菌が繁殖しやすい状態になっている可能性が考えられ、その分断熱材のカビのリスクも大きくなります。まずは実際に床下の状況を確かめてみることをおすすめします。

根太や大引きなどの構造体を目視で確認する

床下では根太や大引きなどの木材が使用されていますが、もしそれらの部材にカビが生えているようなら注意が必要です。床下ではカビが繁殖しやすい環境が整っており、断熱材のカビだけでなくシロアリのリスクも考慮する必要があると考えられます。

シロアリは木材だけでなく断熱材もかじってしまうので最悪断熱材が木材もろとも被害に遭ってしまうことも考えられます。また、床下に通気口の窓から木の葉が入り込んで溜まっているような場所でもカビが発生しやすい傾向にあります。

床下の湿度や木材の含水率を調べる

床下でのカビのおきやすさを調べるには、実際に床下の環境を数値で表すことで分析ができます。木材がどれくらい水分を含んでいるかの指標である「含水率」を調べるのが効果的です。湿度は60%を超えると急速にカビの発生が起こりやすくなります。

含水率は20%を超えるとカビだけでなく木材そのものをボロボロにしてしまう「腐朽」を起こす菌の発生にもつながります。

床断熱のカビのリスクを抑える方法

床下換気扇

ここからは床断熱にカビが発生するリスクを抑える方法についてご紹介していきます。有効な対策としては

  • 通気口の前に荷物を置かない
  • 床下の湿気対策を行う

などが挙げられます。

通気口の前に荷物を置かない

通気口を塞いでしまうことで床下の空気の流れが悪くなり、床断熱のカビの発生につながってしまいます。建物の外周をチェックしてみて、もし荷物が置かれているようでしたら、壁際から少し離して置くようにしましょう。また、雑草も同様に通気口を塞いでしまう原因になりますので、たくさん生えているようなら刈り取ってしまいましょう。除草シートを敷いておけば新しく生えてくるのを防ぐことができます。

床下の湿気対策を行う

諸々の理由から建物が元々床下に湿気が溜まりやすくなっている場合もありますので、そのような場合には床下の状況を改善するための対策も必要です。床下の湿気対策としては

  • 防湿シートを敷く
  • 床下換気扇を設置する

などの方法で対策を行うことができます。

ちなみに床下がコンクリートで築年数が浅い場合は建物そのものが多くの水分を含んでしまっている状態ですが、これは経年で段々改善されていきますので無理に上記の対策を行う必要はありません。もしどうしても気になるようであれば台所や洗面所の点検口から床下に乾燥剤を設置して定期的な交換を行う、などの方法をおすすめします。

防湿シートを敷く

もし床下が土壌でむき出しになっているのであれば防湿シートを敷く事で地面からの湿気を抑えることができます。

床下換気扇を設置する

床下換気扇を設置することで床下の空気を循環させて1箇所に溜まってしまうことを防ぎます。床下換気扇には床下と外の空気の入れ替えを行う「給排気型」とその場の空気の流れを良くする「拡散型」があり、これらを組み合わせて設置することで効果を発揮します。

まとめ

今回は床断熱のカビのリスクについてご紹介してきました。元々床断熱は床下空間というある程度の広くて空気の流れが確保されている環境に設置されていることもあり、壁断熱に比べてカビのリスクは小さいです。しかし、様々な要因が組み合わさることによりカビが派生してしまうこともあるので一度現在の状態を正確に把握することが望ましいでしょう。

断熱リフォームの匠では現在の床下の断熱性能を調査するための無料断熱診断を行なっています。断熱材の状態だけでなく、配管の水漏れや木材の腐朽なども併せて確認することができますので、興味がある方は是非ご相談ください!