アルミ樹脂複合サッシと樹脂サッシの違いとは?断熱性能・費用・選び方を徹底比較|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2025.08.22

内窓・窓リフォーム

アルミ樹脂複合サッシと樹脂サッシの違いとは?断熱性能・費用・選び方を徹底比較

WRITER

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廣澤 健一郎

環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。

「アルミ樹脂と樹脂サッシの違いって何?」
「複合サッシと樹脂サッシ、どちらを選ぶべき?」

窓リフォームを検討している方なら、一度はこんな疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。

実は、窓というのは夏場の暑さや冬場の寒さがもっとも侵入してくる場所と言われています。そのため、窓の断熱性能を高めることは、冷暖房の効き目を向上させ、住まいの快適性を大きく左右する重要なポイントなのです。

窓は大部分を占める「ガラス」だけでなく、それを支える「サッシ(枠)」によって性能が決まります。ガラスを高性能なものに交換しても、サッシの性能が低ければ窓全体としての断熱性は十分に発揮できません。そこで今回は、窓の性能を大きく左右するサッシに注目し、現在主流となりつつあるアルミ樹脂複合サッシと樹脂サッシの違いや特徴を詳しく解説していきます。

アルミ樹脂複合サッシ・樹脂サッシとはどんなサッシ?

サッシとは

サッシとは、窓においてガラスをはめ込むフレーム部分を指します。壁に接合されている「枠(わく)」と、ガラスの周囲を囲う「框(かまち)」を合わせてサッシと呼び、窓の開閉やガラスの固定、さらには雨風の侵入を防ぐ役割を担っています。

かつて日本の住宅では、価格が安く、加工や施工がしやすいアルミサッシが主流でした。しかしアルミは熱を非常に通しやすいという弱点があり、断熱性能が低いことが問題視されるようになりました。

その課題を解決するために登場したのがアルミ樹脂複合サッシと樹脂サッシです。いずれも窓の断熱性能を高めることを目的に開発され、現在ではリフォームや新築で広く採用されています。

アルミ樹脂複合サッシ(アルミ樹脂)

アルミ樹脂複合サッシは、屋外側をアルミ、室内側を樹脂で構成したサッシです。外側のアルミは雨風や紫外線に強く、高い耐久性を持っています。一方で、室内側に使われている樹脂はアルミに比べて熱をほとんど通さないため、断熱性を高め、結露の発生を抑える効果があります。

アルミ樹脂複合サッシ内側

(写真)アルミ樹脂複合サッシの室内側。樹脂が使われている。
アルミ樹脂複合サッシ外側

(写真)アルミ樹脂複合サッシ室外側。アルミが使われている。

 
従来のアルミサッシと比べると断熱性能は格段に向上しますが、外側にアルミを使用している分、オール樹脂サッシほどの断熱性は得られません。そのため、コストと性能のバランスを重視したい場合に選ばれることが多いサッシです。

現在の築10年前後の住宅では、このアルミ樹脂複合サッシが標準仕様として採用されているケースが多く、とくに建売住宅で広く普及しています。

【ひとこと解説】アルミ樹脂複合サッシとは

外側に耐久性のあるアルミ、内側に断熱性の高い樹脂を組み合わせ、価格と性能のバランスに優れたサッシ

樹脂サッシ(オール樹脂)

樹脂サッシは、外側・内側の両方を樹脂で構成したサッシです。樹脂の熱伝導率はアルミの約1/1000と非常に低く、窓の断熱性能を大幅に高めることができます。

外気に触れる部分まで樹脂で覆われているため、夏の猛暑や冬の厳しい寒さでも室内の温度を保ちやすく、冷暖房効率の向上にもつながります。さらに、使用されているのは耐候性の高い塩ビ(ポリ塩化ビニル)で、紫外線による劣化が少なく、長期間安心して使えるのも特徴です。

内窓

(写真)内窓は樹脂サッシが使われることが多い。
カバー工法

(写真)カバー工法でリフォームされた窓。樹脂が使われている。

 
一方で、アルミに比べると強度がやや劣るため、枠を少し太めに設計する必要があり、見た目がやや重厚に感じられる場合もあります。それでも断熱性能の高さから、注文住宅や断熱リフォームにおいて樹脂サッシを採用するケースは年々増えています。

【ひとこと解説】樹脂サッシとは

外側も内側も樹脂を使用した、断熱性能に最も優れ、結露を防ぎやすい高性能なサッシ

アルミ樹脂複合サッシと樹脂サッシの違い

ここからは、アルミ樹脂複合サッシと樹脂サッシを性能や特徴ごとに比較してみましょう。

断熱性能

断熱性能に関しては、外側まで樹脂で覆われた樹脂サッシの方が明らかに優れています。樹脂はアルミの約1/1000しか熱を通さないため、窓からの熱の出入りを大幅に抑えることが可能です。

アルミ樹脂複合サッシと樹脂サッシの性能の比較
※YKK APマドリモ断熱窓のカタログから抜粋

アルミ樹脂複合サッシ:古いアルミサッシと比べれば約3倍の断熱性能
樹脂サッシ:さらに性能が向上し、熱の出入りを約1/4に抑制
廣澤
廣澤
冷暖房効率の改善や光熱費削減を重視するなら、樹脂サッシの方が有利といえるでしょう。

気密・防音性能

断熱性の高いサッシに交換すると、気密性や防音性も向上します。スキマ風を防ぎ、外の騒音を減らす効果も期待できますが、この点についてはアルミ樹脂複合サッシと樹脂サッシで大きな差はありません。

廣澤
廣澤
気密や防音については、どちらを選んでもしっかり効果を実感できます。騒音やスキマ風に悩んでいる方には大きなメリットです。

デザイン性

デザイン性に関しては、アルミ樹脂複合サッシがやや有利です。アルミは強度が高いため、サッシ枠を細く設計でき、スッキリとしたシャープな印象に仕上げられます。

一方で樹脂は強度を確保するために枠を太めにする必要があり、見た目がやや重厚になる傾向があります。特にリフォーム工事で採用されるカバー工法では、枠が一回り小さくなるため、デザインや採光性を重視する方は注意が必要です。

廣澤
廣澤
スッキリした見た目を重視するならアルミ樹脂複合サッシがおすすめです。ただ、断熱性を優先するなら多少の見た目より性能重視で考えてみても良いと思います。

耐久性

耐久性ではアルミ樹脂複合サッシが有利です。アルミは長年の使用でも劣化が少なく、強度の面でも信頼性があります。

ただし、樹脂サッシも紫外線や雨風に強い素材を使っており、30年以上使用しても性能を大きく損なわないという実験結果もあります。つまり「アルミの方がやや有利」ではあるものの、樹脂サッシが特別弱いということはありません。

廣澤
廣澤
アルミは丈夫で長持ちするのが魅力ですが、樹脂サッシも十分に耐久性があります。よほど過酷な環境でない限り、大きな差を心配する必要はありません。

価格はどれくらい?

価格については明確に違いが現れてきます。繰り返しになりますが、アルミは比較的安価で加工も容易なため、製品として製造する場合にもコストが抑えられるのです。

アルミ樹脂複合サッシと樹脂サッシの価格比較
※材料の参考価格は商品カタログからの抜粋(定価)であり、実際の販売価格とは異なる場合がありますのでご了承ください。

アルミ樹脂複合サッシが選ばれるケース

価格を見比べると、樹脂サッシよりもアルミ樹脂複合サッシの方が手頃です。そのため、新築住宅や建売住宅で広く採用されている理由のひとつになっています。

ポイントは、費用を抑えられる一方で断熱性能はやや劣るという点です。「今後長くこの家に住む予定はない」「数年後に売却や解体を考えている」といったケースでは、高額な樹脂サッシを選ばず、アルミ樹脂複合サッシで十分と言えるでしょう。

廣澤
廣澤
短期的な快適さを求めるだけなら、コストを抑えられるアルミ樹脂複合サッシも賢い選択です。

樹脂サッシが選ばれるケース

一方で、窓の断熱リフォームを検討する多くの方は「これからも長く快適に暮らしたい」と考えているものです。その場合は、基本的には断熱性能に優れる樹脂サッシを選ぶのがおすすめです。

実際に断熱リフォームの匠にご依頼いただくお客様の多くも、「家を大切にしたい」という想いで樹脂サッシを選ばれています。

廣澤
廣澤
長く住む家なら、断熱性の高い樹脂サッシを選ぶことで光熱費の削減や快適性の向上を実感できます。

断熱リフォームをする際には、家をどのように使っていきたいかを踏まえて検討することが大切です。業者に希望を伝えることで、自分の考えが整理され、最適なリフォームプランを提案してもらえるでしょう。

リフォームの場合は補助金が使える

窓のサッシをリフォームする際には、補助金を活用することで工事費用の一部を軽減することができます。ここでは代表的な補助金制度を2つご紹介します。

先進的窓リノベ事業

先進的窓リノベ事業は、その名のとおり窓の断熱化に特化した補助制度です。補助を受けるにはかなり高性能な窓を設置する必要があり、アルミ樹脂複合サッシでは要件を満たせない、あるいは対応製品が限られるケースもあります。

その分、交付される補助金額は大きく設定されており、窓の断熱リフォームをするなら必ず検討すべき制度といえるでしょう。

●先進的窓リノベ事業の詳細コラムはこちら
先進的窓リノベ2025事業を徹底解説!内窓リフォームに使える補助金

子育てグリーン住宅支援事業

子育てグリーン住宅支援事業は、子育て世帯の住宅を快適にすることを目的とした制度です。窓リフォームのほか、壁や床・天井の断熱改修、防音・防犯工事、高効率の給湯設備など、幅広い工事が対象となっています。

こちらは「広く浅く」支援する制度であるため、窓の断熱性能がある程度確保されていれば補助を受けられますが、受け取れる金額は「窓リノベ」ほど大きくはなく、半分以下になるケースが多いのが実情です。

補助金を活用する前提で考えると、樹脂サッシを選んだ方が結果的に自己負担額が小さくなるケースがあります。逆にアルミ樹脂複合サッシでは補助要件を満たせず、想定よりも費用が高くついてしまうこともあるため、工事費用と補助金の見込み額をあわせて確認し、トータルでどちらが有利かを判断することが大切です。

廣澤
廣澤
補助金制度は複雑で条件も細かいため、リフォーム業者に見積もりを依頼する際には補助金の適用可否や見込み額も必ず確認しましょう。補助金に詳しい業者であれば、見積書と一緒に補助金額をシミュレーションしてくれるので、遠慮なく尋ねてみることをおすすめします。

どちらを選ぶべき?

断熱性能の向上を目的とするならば、基本的には性能値が高い樹脂窓を採用してリフォームすることをオススメします

例外として考えられるのが、マンションの窓を改修する場合です。特に高層マンションの場合には、窓が強い風にさらされますので、強度を確保するためにアルミ樹脂複合サッシを選択したほうが良いという場合もあります。

廣澤
廣澤
住宅の状況によっては樹脂サッシが向いていないということもありますので、専門業者に判断してもらうのが間違いないでしょう。

今回はサッシの解説のため説明を省きましたが、ガラスの性能も合わせて考えるようにしなけばなりません。窓はガラスとサッシで構成されているとお話しました通り、サッシだけでなくガラスの断熱性能も考えないと、窓の性能全体でみたときに効果が期待できなくなる場合もあるからです。

基本的には断熱性能の向上の観点からも樹脂サッシを検討しつつ、他の理由や住宅事情がある場合には選択肢としてアルミ樹脂複合サッシを考えるという方針が間違いがないのではと思います。

ガラスの断熱性に関する解説についてはこちらも合わせてお読みください。

まとめ

今回はアルミ樹脂複合サッシ・樹脂サッシについて、その違いと特徴を中心に解説しました。

窓は「ガラス」と「サッシ」で構成されており、そのサッシの素材によって性能が大きく変わります。特に断熱性能を重視するなら、外側まで樹脂で覆われた樹脂サッシが最も効果的です。

一方で、強度や価格のバランスを考えると、アルミ樹脂複合サッシも十分に選択肢になりますので、専門業者に窓を見てもらいながら意見を聞くようにしましょう。

また、マンションなど立地条件によってはアルミ樹脂複合サッシを使う方が適している場合もありますし、補助金を利用する場合には樹脂サッシの方が結果的にお得になるケースもあります。

窓のリフォームは「快適さ」と「費用」のバランスを見ながら検討しないといけませんので、ご自身の住まいにとって最適な選び方をするためにも、ぜひ一度専門業者に調査を依頼して、どういったリフォームが適しているのか聞いてみてくださいね。

廣澤
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